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モンゴル
(公開日:2013.09.19)

【遊牧民の子どもたちのための小学校教育プロジェクトC】モンゴルの地方の子どもたちの抱える問題〜ドルノド県支部より〜(2013.9.19)

 

こんにちは。ドルノド事務所でフィールドコーディネーターをしていますバイガルマーです。


(バイガルマー)

以前もこのプログで紹介させていただきましたが、ドルノド県は、ロシアと中国の2つの国と国境を持つ唯一の県です。特にドルノド県でも最も東に位置し、国境警備隊の駐屯地として、1972年に造られた村、ハルハ川村(旧スンベル村)を今回紹介したいと思います。

http://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=79


日本人には、「ノモンハン事件の跡地」としてよく知られていますハルハ川村は、ドルノド県内に14ある村の1つです。旧ソ連によって農業生産基地として移住が勧められ、ソ連軍も大勢駐屯していたので大変栄えていましたが、1990年の民主化以降旧ソ連軍も撤退し、今は「国境警備隊の村」としてだけ残り、約300世帯(約3000人)が住む大変静かな村となってしまいました。ドルノド県の住民の主な職業は牧畜ですが、ハルハ川村周辺は大変乾燥して水も極度に少なく、遊牧に向いていない土地柄、牧畜もあまり盛んではありません。ですがモンゴルで5番目に大きい淡水湖、ボイル湖が中国との国境をまたぐようにあり、ここには、約50世帯ほどの家族が漁業で生活を営んでいます。


(左:ハルハ川村周辺の光景、右:ボイル湖の様子)

2012年6月に開始した遊牧民の子どもたちの小学校教育を支援するプロジェクトで、私たちはこのハルハ川村立小学校を支援対象と選びました。いろいろ複雑な問題を抱えている村だと思ったからです。

(ハルハ川村立小学校;大変厳しい冬の寒さです。)

まず1つ目に、この独特の土地柄から来る貧困です。地元に主な産業はありません。首都から約1,000km、ドルノド県中心部からも350kmも離れたこの田舎には、仕事に就く機会もありません。ボイル湖の漁業で生計を立てている人がいることはお話ししましたが、彼らの収入はとても不安定です。村の中心部から70kmも離れており、特に冬場は交通が遮断され、孤立した状態となってしまいます。そのため、経済的な理由で十分な学業品が準備できず、それが原因で差別を受けたり、わずかな収入のために働かざるを得なかったりと、学校を中退するリスクを抱えている子どもがたくさんいます。 ハルハ川村立小学校の80-90%の子どもは男の子ですが、その背景には、「男の子には家計を手伝いをさせ、代わりに女の子には学歴をつけさせ、良い仕事を」と考える両親が多いことからです。女の子をもつ両親は、早いうちから娘をドルノド県の中心部など町に住む親せきや知り合いに預ける傾向があります。より高い学歴を身に付け、良い仕事を見つけ、少しでもこの苦しい生活から抜け出してほしい、という思いからだそうです。


(ハルハ川村立学校に併設されている寮で生活する子どもたち)

次に、国境警備隊として生活する家族の子どもたちです。通常、国境警備隊は家族で生活しています。このドルノド県には10か所の駐屯所があり、1ヶ所に2-3家族が住んでいます。駐屯所は、近い所でハルハ川村中心部から7Km、遠いところで200kmも離れている僻地にあります。その10か所の駐屯所には、未就学児童が合計30-40人いるといわれていますが、その子どもたちは幼稚園に通っていません。施設がないからです。中には、父親が単身で赴任し、母親と子どもは幼稚園や学校のある村に残ることもありますが、多くの親は、残念なことに、それほど幼稚園での教育を重要視していません。

学童期になると、親元を離れ寮生活を始めます。しかし、幼稚園に通っていなかったために、学校生活にはなかなか馴染めないことが多いのです。また、冬期休暇で駐屯所の家族の元に戻ると、寮生活の寂しさと、極寒の中では移動が難しいことから、学校に戻ってこない子どもも少なくありません。また国境警備隊は、赴任先の移動もあり、子どもはそのたびに転校を繰り返し、学校についていくのが難しくなることもあります。


(寮の子どもたち;冬場は家の中でも大変寒く、子どもたちは、家の中でもジャンバーを着ています。)

これらの問題を解決するのは難しいですが、せめて、「親元を離れても学校に通いたい」と頑張る子どもたちが、少しでも家庭の雰囲気のする寮で、楽しい生活が送れるように私たちの事業では、寮の一室を改修することを始めました。



これがその寮の一室です。私たちが訪問した時は、暖房設備が壊れていてとても寒く、誰も使っていませんでした。この部屋には、机やいすの他に、本やテレビ、DVD、またはゲームやおもちゃなどを置き、子どもたちが楽しい時間を過ごせるような空間を作りたいと思っています。そして、宿題や本読みをみんなでしたり、季節毎にはお楽しみ会やコンサートを開催したりできるように、寮や学校の先生に働き掛けていくつもりです。いずれは、寮の子どもたち、寮や学校の先生、そして近所の保護者が一緒になって、みんなで支えあう大きな家族を作り上げることが私の願いです。そうすればきっと、入学したての小さな子どもたちがホームシックになっても、「がんばろう!」と思えるはずです。


では最後になりましたが、私のチーム仲間を紹介します。この3人で、ドルノド事務所を運営していきます。今後ともご支援のほどよろしくお願いします。


(アリユンザヤ:ドルノド事務所・サポートオフィサー)

「私は、中学校の時、一時期寮に入っていました。時々上級生の子にいじめられたり、お金をせびられたりしました。だれにも相談もできず、とてもつらい思い出となりました。そんなつらい思いをすることなく、楽しい寮生活が送れる子どもが少しでも増えるように、このプロジェクトを通じて支援できること、とてもうれしく思っています」


(エンハバヤー:ドルノド事務所ドライバー)

 
(報告;モンゴル事務所 バイガルマー)

この事業は、世界銀行による「日本社会開発基金(JSDF: Japan Social Development Fund)の助成金により実施されています。

 

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