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日本/東日本大震災/福島
(公開日:2016.09.06)

【福島:放射能リテラシー(19)】「震災を風化させないためにも、ハンドブックを活用し、子どもたち、教員ともに考えていきたい」〜いわき市 教員向けワークショップのご報告〜

 

2016年8月19日(金)福島県いわき市教育委員会主催で、「放射線等に関する教育研修」が実施されました。参加者はいわき市の小中学校で放射線教育を担当する先生方約120名。終日の研修プログラムは、講義「放射線等に関する教育の計画」から始まり、放射線に関する科学的な理解を深めるための実験や、放射線教育の現状・実践例に続き、最後のパートで模擬授業として、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンより子ども向け放射能リテラシーハンドブック「みらいへのとびら」を使ったワークショップの紹介を行いました。

みらいへのとびら」は、主に10歳から15歳までの子どもを対象に、ひとりで学ぶセルフワークブックとしても、また、学校の授業や課外活動、学校外での子どもたちのグループ活動の一環としてワークショップ形式でも使うことができるように作られています。
9月にいわき市で全中学校全生徒向けの配布を予定しており、今回、実際に先生方にワークショップの模擬授業を体験していただくことで、それぞれの学校で「みらいへのとびら」を活用した授業を実施する具体的なイメージを持っていただけることを目的として進めました。その結果、実施後のアンケートでは約半数の先生から「興味があり、活用してみたい」という回答をいただくことができました。

それでは、当日の研修の様子を詳しくお伝えします。


とびら1「振り返ってみよう 覚えているかな、あのときのこと」
ワーク「自分の経験、自分の気持ち」

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの放射能リテラシー事業に関する紹介に続いて、早速、先生方にワーク「自分の経験、自分の気持ち」を体験していただきました。
ワークは8人ずつの14グループに分かれて実施。「2011年3月11日 東日本大震災」「2011年4月 新学期」「現在」それぞれの時点で「@体験したこと」「Aそのときの気持ち」「B知りたいこと・疑問」を、思いつくままに付箋に書いて、模造紙に貼ります。

(ワークの様子。実際に手を動かすと、どんどん意見が出てきます。)

「児童・生徒の安全確保」「避難所の設営対応」など。次々に貼り出されていく付箋からは、大変な状況の中、自分自身や家族だけでなく、生徒の事を気に掛ける先生方の心遣いや、自ら被災しながら避難所の運営にあたる当時の厳しい状況がありありと伝わってきました。また、ワークを通して「そんなことがあったなぁ」「あぁ、自分もそうだった!」と、お互いの意見に共感したり、積極的に新たな意見を出し合う雰囲気が醸成されていく様子がわかります。


とびら2「自分を守るために 放射能のこと、なにを知ればいいの?」

導入のワークを通して、自分の考えを付箋に書き出し、グループで共有するために模造紙に貼っていくというワークショップの形式に慣れていただいたあとは、放射能についての基本的なことを解説している「とびら2」のコーナーを簡単にご紹介。

(放射能リテラシーハンドブック「みらいへのとびら」10〜11ページ。)


「食べるときにどんなことに気をつければいいの?」「被ばくしたら、人から人にうつるの?」など、実際に子どもたちから出てきた質問をもとに、写真やイラストを多用してわかりやすく説明しています。


とびら3「自分の意見を持つ 放射能の問題、どう思う?」
ワーク「避難ってどんなこと?〜転校、引っ越し、家族、友だち〜」
続いて、原発事故の影響でたくさんの人が経験した「避難」をテーマにしたワークショップの実践。
避難した子、避難しなかった子、どちらにしても生活が大きく変わった子どもたちがたくさんいます。
先生方には、学校の授業でワークに参加する生徒の気持ちになって、ハンドブックに掲載している4人の子どもの話を読んで感じたことを書き出していただきました。
小学校高学年〜中学生の生徒たちだったら、どんなふうに感じるだろう。どんな意見が生徒から出るだろう。
「少し難しいかなぁ」という感想も聞こえましたが、セーブ・ザ・チルドレンが実施した中学生向けのワークショップで出た意見を掲載しているハンドブックのページを見ていただくと、それぞれ違う立場の子どもたちへの配慮や、困難な立場にいる子どもを勇気づける内容のコメントが並んでいて、子どもたちからもこんなにしっかりと意見が出るものなのかと、感嘆の声。


(放射能リテラシーハンドブック「みらいへのとびら」24ページ。セーブ・ザ・チルドレンが過去に実施したワークショップで、実際の中学生から出た意見。)

事後アンケートでは、「実際にクラスに避難してきている子がいる。その子たちの気持ちを知るうえで有効だと思う。」「避難について話し合うことはなかったので、良い機会だった。」などの感想が見られ、特に小学校高学年以上の先生から好評を得ることができました。

一通り意見を出したあとは、今回の模擬授業を通して得られた「教員としての気付き」を各グループ一言ずつ発表する準備。みなさん立ち上がって机を囲んで、とても熱心な話し合いが繰り広げられました。

(グループ全員の意見を整理するために、模造紙を取り囲む参加者。同じような内容の付箋をまとめたり、タイトルをつけたり、といった工夫も見られました。)


各グループからの発表では、「自分のクラスにも異なる立場の子がいる。それぞれの子どもへの配慮が必要だと思った。」「家族や友達とは話せない事もあると思う。教師として、そういった子の声に耳を傾けて、共感してあげたい。」など、クラスに持ち帰ってすぐにでも役立てていただけるような内容の気付きがたくさん出てきました。


参加した先生からのご感想

「ワークショップは子どもたちの心を知るには大変有効で素晴らしいものだと思った。」
「ワークショップでのグループ活動を通してコミュニケーションをとったり自分の気持ちを伝えることの大切さについて改めて感じた。」
「総合学習や学活等でこのワークショップを活用したい。」
「同世代の子たちの生の言葉がのっていることによって、子どもたちにもとりかかりやすいと思う。」
「震災を風化させないためにも、ハンドブックを活用し、子どもたち、教員ともに考えていきたい。」

震災を経験した子どもたちが、自分自身の健康や、自分の周りで起きている風評被害、避難などのさまざまな問題について、自分で考え、自分の言葉で語れるために、私たちは放射能リテラシー事業を進めてきました。今回の研修で、日々生徒に向き合っている学校の先生から、「みらいへのとびら」の活用について前向きなご意見を聞くことができたことは、大きな励みになりました。
これからも、ハンドブック「みらいへのとびら」や、ワークショップの普及に努めてまいりたいと思います。
 (報告:東京事務所 中谷・佐々木)

<放射能リテラシーワークショップについて>
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、福島プログラムの一環として、2013年9月から放射能リテラシープロジェクトを始めました。このプロジェクトは、福島の子どもたちが、放射能について学び、さまざまな情報や報道を読み解き、自分なりに判断する力を身につけることを目的としています。2014年度から福島県内の中学校や放課後児童クラブで実施したワークショップの実績をもとに、2016年4月に子ども向け放射能リテラシーハンドブック「みらいへのとびら」を発行。2016年度は福島市内の全中学校(5月)、いわき市内の全中学校(9月予定)の全生徒向けに配布しています。


 

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