1990年から2015年の間に5歳未満の乳幼児死亡率の3分の2の削減を目指すMDG4。その達成に向けて中国は順調に進んでいます。しかしながら、13億の人口を抱える中国では、人口数でみると、実に毎年38万人以上の子どもたちが5歳の誕生日を迎える前に命を落としているのが現状です。
雲南省南部の墨江県で働く小児科医、ウー・ウェイさん(右)。
ウーさんによると、墨江では、2008年だけで60人〜80人前後の子どもたちが5歳を迎える前に亡くなったという。
雲南省は中国の中でも最も経済・社会の発展が遅れている地域の一つで、母子の死亡率は国平均の2倍にのぼる。
子どもたちの死亡原因のうち70%は予防や治療が可能な病気です。
一般的に、都市部における医療サービスは地方よりも充実していますが、地域格差が大きい中国では、地方で暮らす家族や都市部で出稼ぎをしている世帯の多くが、貧困などを理由に基礎的な医療を受けることができずにいます。
【出稼ぎ世帯が抱える母子保健の問題】
都市部で暮らす出稼ぎ世帯の家族や子どもたちは、貧困による不適切な栄養状態に加え、頻繁な移動や仮住まいの生活、医療保険未加入などにより、病気にかかりやすい環境におかれています。
例えば、都市部で暮らす出稼ぎ世帯の子どもたちは、たった45%しか基礎医療保険に入ることができていません。これらの子どもたちは、はしかや破傷風、栄養不良にかかる率が非常に高く、一般の都市部の子どもたちに比べ、5歳未満の死亡率が6.6倍という高さとなっています。また、出稼ぎ世帯における妊婦の死亡率も、都市部の住民に比べて2〜5倍にものぼります。これは、出稼ぎ世帯の女性が、妊娠時に定期健診を受けなかったり、出産時に専門家の立会を伴わなかったりすることが要因となっています。
【セーブ・ザ・チルドレンの支援活動】
セーブ・ザ・チルドレンは中国において1980年代後半から支援活動を行っています。子どもの権利を推進する中国における最大のNGOとして、保健、教育、子どもの保護、災害時の緊急支援など様々な分野で子ども支援に取り組んでいます。特に保健分野では、地方で暮らす子どもたちや出稼ぎ家庭の子どもたちが必要な医療を受けられるよう、地元政府や地域住民と密に連携し、医師のトレーニング、母子保健や栄養に関する意識の啓発、政策提言など多岐にわたる活動で、子どもたちの健康改善に取り組んでいます。
セーブ・ザ・チルドレンが事業を展開する雲南省の小学生たち。
子どもたちは、学校で学んだ保健や栄養に関する知識を親に伝える大切な役割を果たします。
(写真:Tul Pinkaew/Save the Children)
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの中国における活動についてはこちらもご覧ください。
【中国の子どもたち 基礎情報】
【知っていますか?中国ってこんな国】
(参考:外務省、ユニセフ、ユネスコ統計など)