令和元年 台風19号 子どもたちへの緊急支援にご協力ください
10月12日に上陸した台風19号による甚大な被害が各地で報告されています。
内閣府の発表では、「令和元年台風第 19 号に伴う災害により、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じており、継続的に救助を必要としている」ことから、14都県391市区町村に災害救助法が適用されました(10月19日 21時15分時点)。また、政府は台風19号による被害を「激甚災害」と大規模災害復興法に基づく「非常災害」に指定することを決定しました。(10月29日)。
10月12日に上陸した台風19号による甚大な被害が各地で報告されています。
内閣府の発表では、「令和元年台風第 19 号に伴う災害により、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じており、継続的に救助を必要としている」ことから、14都県391市区町村に災害救助法が適用されました(10月19日 21時15分時点)。また、政府は台風19号による被害を「激甚災害」と大規模災害復興法に基づく「非常災害」に指定することを決定しました。(10月29日)。
人的被害、全壊・半壊・床上浸水等の家屋被害も多数発生しており、子どもたちがさまざまな困難に直面していることが懸念されます。

そこで、セーブ・ザ・チルドレンは、東日本大震災・西日本豪雨をはじめとする国内で発生した自然災害における緊急支援の知見をもとに、10月17日から宮城県・福島県を中心に緊急支援活動を行っています。
そこで、セーブ・ザ・チルドレンは、東日本大震災・西日本豪雨をはじめとする国内で発生した自然災害における緊急支援の知見をもとに、10月17日から宮城県・福島県を中心に緊急支援活動を行っています。
また、これまでの緊急支援の活動から、避難所における子ども特有の物品提供や子どもたちの安心安全な居場所「こどもひろば」の設置、緊急下における子どものこころのケア「子どものための心理的応急処置(子どものためのPFA)」の情報提供、学用品支援、学校・子ども関連施設の備品提供といった活動を実施・予定しています。
子どもたちや保護者、地域の声に耳を傾けながら、子どもたちの日常性を回復し、災害時における子どもの権利保障を実現するために活動を展開していきます。
※企業・団体様からのご寄付はこちら
今、あなたのご支援が必要です。ご協力をお願いします。
セーブ・ザ・チルドレンは台風19号緊急支援活動を行っています。

台風19号 福島県内で初動調査を実施
-初動調査1日目(10/17)
セーブ・ザ・チルドレンは、台風19号による子ども支援のニーズを把握するために、17日、福島県福島市といわき市で初動調査を行いました。
福島市では、子ども支援の関連団体や県庁を訪問。県内各地の被災状況を把握するとともに、子どもたちへ支援を開始することになった場合、どのように地域の団体と連携できるか可能性を検討しました。いわき市では、行政や放課後児童クラブ、児童養護施設、避難所を訪問したほか、断水が続く状況で、保育の再開を懸念している放課後児童クラブに対し、給水タンクを提供しました。子どもたちが手を洗うために活用される予定です。
台風19号 福島県内で初動調査を実施
-初動調査1日目(10/17)
セーブ・ザ・チルドレンは、台風19号による子ども支援のニーズを把握するために、17日、福島県福島市といわき市で初動調査を行いました。
福島市では、子ども支援の関連団体や県庁を訪問。県内各地の被災状況を把握するとともに、子どもたちへ支援を開始することになった場合、どのように地域の団体と連携できるか可能性を検討しました。いわき市では、行政や放課後児童クラブ、児童養護施設、避難所を訪問したほか、断水が続く状況で、保育の再開を懸念している放課後児童クラブに対し、給水タンクを提供しました。子どもたちが手を洗うために活用される予定です。
また、いわき市内の避難所で、子どもや保護者に対して聞き取りを実施し、現状や課題を聞き取りました。
幼稚園児と小学生の子どもがいる父親は、「片づけをしなければいけないが、学校や幼稚園も再開しておらず子どもたちが過ごすところがないので、片づけのところまで一緒に行っている。子どもたちもストレスがたまっているのか夜泣きをするようになった」と話しました。
中学1年の男子は、「今日から学校が再開して友だちに会えてちょっと安心した。今避難所で気になることは勉強」。
高校1年の女子と物資を届けに来ていたその友人親子は、「被災している間も友だちとSNSを使ってやり取りをしていて安心だった。これから高校が再開したときに通学路が変わっていつもより時間が長くなるのが心配」と話しました。
また、小学生と中学生の4人の子どもがいる母親は、「子どもが使うものもほとんど浸水してしまった。中学生の制服はクリーニングに出したが、学校に関わるものなどできるだけもとに戻してあげたい。中学3年の子どもは受験生だが、勉強道具や問題集がないことも気がかり」と話しました。
さらに、「子どもたちも片づけに連れて行くが、車の中で待っているような状態で遊べず、爪をかむなどストレスがたまってきている。避難所では大人に対しての配慮はなされていると思うが、子どもに対してはまだ十分ではないと思う。物資の中にも子ども用の文房具などがあればよいし、子どもたちが遊べるような空間もほしい」といった声が上がりました。
避難生活が続き、学校などが完全に再開していない中で、子ども向けの物資や子どもの居場所の必要性や、断水の影響によるニーズなどを確認することができました。10月18日も調査を続け、できるだけ早く子どもたちのための支援活動を展開していきます。

台風19号 子ども用緊急物資や衛生用品の支援
-初動調査2日目(10/18)福島県いわき市
台風19号 子ども用緊急物資や衛生用品の支援
-初動調査2日目(10/18)福島県いわき市
午前中は、いわき市で放課後児童クラブと、障害のある子どもたちのための施設を運営するNPOを訪問し、事前にニーズを聞き取っていた水タンクや除菌シート・歯磨きシートなどの衛生用品を提供。放課後児童クラブは床上まで浸水し、子どもたちが生活する空間も泥をかぶってしまいましたが、指導員のみなさんが懸命に復旧にあたっていました。「拭いても拭いても床から水がにじみ出てきており、においもある」「放課後児童クラブは子どもたちの生活と命を支える大切な場所。再開したときに子どもたちの保育環境を守れるのかが心配」と不安の声も。
障害のある子どもたちのための施設を運営するNPOは、施設自体は無事だったものの断水が続いており、施設長が自ら水を確保するために奔走していました。施設長は、「台風後、子どもたちはいつもよりもざわざわしているようにも見える。職員が子どもたちを支えている分、自分は水を確保して少しでも環境を整えたい」と話していました。
提供したタンクや除菌シートは、それぞれの提供先で、断水の中でも子どもたちが安全に過ごせるよう活用されます。
その後、前日に避難所で聞き取った子ども向け物品に対する子どもや保護者のニーズを受け、いわき市役所災害対策本部などを訪問。18日夜から週末にかけて懸念されていた大雨を前に、避難所でも子どもたちが遊べるように、災害対策本部と支援物資の調整を行いました。
担当課から特に子どもの多い避難所2ヶ所が提案され、避難所で避難生活する子どもたちが、週末に雨が降る間も不安を感じないよう、室内で遊べる物品(鉛筆やクレヨン、お絵かき帳、折り紙、絵本、なぞなぞの本、トランプ、かるた、けん玉など)を、子ども向け緊急支援物品として、避難所2ヶ所へ届けました。
18日午後からは、避難準備や避難勧告が発令されており、避難所も多くの人が避難して来ており混乱した様子でしたが、避難所2ヶ所のうち1ヶ所では、子どもたちへ直接届けることができました。子どもたちの中には、受け取ってすぐに絵を描き始める子もいました。
小学2年生の少女に、手渡しながらほかに必要なものがないか尋ねてみると、一緒にいた祖母から、「絵本。この子は絵本も好きだったんだけど避難所にはなくてね」という声がありました。そこで、避難所に設置用として準備していた絵本を見せながら、読みたいものを聞くと、じっくり絵本を見比べながら、自身で2冊を選び、大切そうにぎゅっと抱えていました。

台風19号 子ども用緊急物資や衛生用品の支援
-初動調査2日目(10/18)宮城県丸森町
宮城県丸森町では、行政や社会福祉協議会などを訪問し、町内の学校や保育園などの被害状況や今後の支援の必要性などについて話を聞きました。
台風19号 子ども用緊急物資や衛生用品の支援
-初動調査2日目(10/18)宮城県丸森町
宮城県丸森町では、行政や社会福祉協議会などを訪問し、町内の学校や保育園などの被害状況や今後の支援の必要性などについて話を聞きました。
また、浸水被害を受けた町内のこども園では断水が続いており、片づけを行っているこども園の先生たちの手洗いや飲料用に、給水タンクの提供もしました。
丸森町では、来週から、比較的被害の少なかったこども園が、大きな被害を受けたこども園に通っていた子どもたちや先生を受け入れ、午前保育を再開の予定です。しかし、断水と、さまざまな備品も足りない状況での再開になります。
セーブ・ザ・チルドレンが話を聞いたこども園の先生たちからは、「大変な状況だけど、被害を受けた子ども、その親のためにもなんとか保育をスタートさせたい」という話の一方で、「断水の中でのスタートになるので、衛生面なども心配」、「断水で食事を出せないため、午前しか保育ができない」「大変な状況な上、2つのこども園の子どもが集まるため約300人の子どもの保育になるのでそこも心配」など、不安の声も聞かれました。
こども園の先生たちの中には、自身も被災した人も多く、保育の再開に向けた衛生用品や、簡易食など物資の必要性に加えて、先生たちのサポートの必要性なども確認することができました。
学校や学童が被害を受けた地域では、子どもの居場所の必要性や、学校や保育園までの安全なアクセスに関する課題がみえてきました。
セーブ・ザ・チルドレンは、2日間の初動調査で把握した子どもたちの状況や必要とされる支援をもとに、被災前の日常を子どもたちが取り戻せるよう、子ども支援に関係する各所と調整したり、共同したりしながら活動を展開していきます。

浸水した校舎、避難所生活の高校生、保育を再開したこども園
―2回目の聞き取り調査(10/23)宮城県丸森町
浸水した校舎、避難所生活の高校生、保育を再開したこども園
―2回目の聞き取り調査(10/23)宮城県丸森町
校舎1階が浸水した小学校
まず、丸森町の中でも浸水被害の大きかった地域の一つを訪問。1階まで浸水した小学校や放課後児童クラブを視察しました。被災した小学校は、別の小学校に間借りする形で授業を再開しており、教職員の人たちが一時的に利用している校舎へ荷物の運び入れをしていました。
話を聞いた学校事務職員の人は、「今日から学校が再開したため具体的な状況把握は今後になるが、学用品や被災就学援助等のニーズもあるのではないか」と話していました。
こども園での保育再開へ向けて必要な支援
続いて、18日に実施した1回目の調査で聞き取ったニーズをもとに、こども園へおむつとおしりふきを提供しました。約1週間ぶりに保育が再開した初日だったため、再開にともなって必要となる支援について話を聞きました。
園長先生からは、「保育の本格再開に向けて給食の用意が必要となるが、断水が続いているため紙の食器が必要となる」、「仮設トイレが設置されているものの仮設トイレ用の消毒液が不足していて、子どもたちの衛生環境を守れるか懸念している」という話がありました。
また、このこども園では、1回目の調査の際に、緊急下の子どものこころのケアに関する情報提供や研修を必要とする声が聞かれたため、セーブ・ザ・チルドレンが平時から連携する地元の精神保健医療者と連携し、23日午後に、約50人の保育士の人たちを対象とした「子どものための心理的応急処置(子どものためのPFA)」研修を実施しました。
講師を務めたみやぎ心のケアセンターの福地成医師は、「みなさん熱心に研修を受けられていて、今起きている子どもたちへの懸念をワークや質問でも多くあげており、涙ぐまれている教職員もいらっしゃった」と振り返っていました。
放課後児童クラブ再開初日の様子
その後、断水の影響を受けている放課後児童クラブを訪問。放課後児童クラブもこの日(23日)が再開初日であり、再開にともなって必要となる飲料水や除菌シート、バケツなどのニーズを聞き取り、支援可能なものは当日中に提供をしました。
被災した放課後児童クラブから子どもたちを受け入れることになったある放課後児童クラブでは、「保育を開始した直後は子どもたちがざわざわしている様子が見られたが、全体で話をする時間を設けたところ今は落ち着いていると思う。ただ、人数も増えている中で今後の保育をどのようにしていくかは考えないといけない」という状況が共有されました。
また、セーブ・ザ・チルドレンは、丸森町での活動と並行して、10月18日に調査を実施した福島県いわき市の放課後児童クラブに対しても、飲料水や衛生用品などの支援を続けています。
徒歩1時間弱かかる通学-避難所で聞いた子どもの声
夕方には、避難所を訪問し子どもたちの状況も確認しました。
高校3年生の男子は、「今日から高校が再開したが、歩いて1時間弱かかる。前はすぐ近くだったのに。自転車がほしい」と話していました。
今後の支援の予定―子どもたちが安心・安全に過ごせる場所を
現地での聞き取りとともに、丸森町の地域の人たちとともに、子どもの居場所づくりを進めようとしている仙台市の団体と協議をしました。以前保育所だった施設を子どもの保育や居場所のために利用できるという提案があり、これまで、セーブ・ザ・チルドレンが被災地域で行ってきた子どもの居場所の支援の実績から、居場所の開設や運営に必要な支援を行う方向で調整しました。
今回実施した2回目の現地調査においても、子どもたちが被災の影響を受けて生活や就学においてさまざまな制約を受けていることが分かりました。一方、聞き取りを実施した地域では、片づけに懸命な住民の人たちや、行政がさまざまな対応に追われている様子なども見られました。今後の継続的な支援を視野入れて、セーブ・ザ・チルドレンは台風19号の被災地で緊急支援を続けていきます。

子どもたちの日常性回復のために
―3回目の聞き取り調査(10/24)福島県いわき市
子どもたちの日常性回復のために
―3回目の聞き取り調査(10/24)福島県いわき市
前日(10/23)の宮城県丸森町での聞き取り調査に続き、24日は、福島県いわき市で、同市で3回目となる調査を行いました。
いわき市内で子どもの一時保育や居場所設置、物資支援の活動をしている2つの団体を所訪問し、被災家庭の様子などについて話を聞きました。浸水した地域では、いまだ再開のめどが立たない保育園もあります。
1ヶ所目の団体の職員は、「今回の台風で保護者は不安な気持ちのままで過ごしている。子どもたちの中にはお昼寝をしていないなど、我慢しているような様子も見られる。東日本大震災後8年たってようやく落ち着いてきたという感じがあったが、今後、長期的な支援を視野に入れて親子で気軽に来れる場所の増設や預かりの体制を整えていくことが必要だと思う」と話していました。
2ヶ所目の団体の職員からは、「自分の子どもが通う小学校に、パジャマで登校してきた同級生がいたことを知って活動を始めた。子どもたちの居場所が不足していることが本当に懸念される。平日の放課後や週末の居場所も必要であるし、連休には、少しでも子どもたちがのびのびと過ごせる時間を作れるとよいと思う」と、子どもの居場所の重要性について話がありました。
セーブ・ザ・チルドレンでも、週末に子どもの居場所を確保できないか検討を重ねてきました。今回の聞き取り調査では、10月17日の初動調査1日目に行った避難所を再訪し、再度子どもや保護者のニーズの聞き取りをしました。
中学3年生の子どもがいる保護者からは、「小学生の弟たちがいて、受験生の子どもが1人で集中できる時間がない。小学生のそういう居場所(小学生が過ごせる場所)があれば弟たちにとっても遊べるし、受験生にとっても助かる」という声もあり、避難している子どもたちを対象とした「こどもひろば」の活動を10月26日(土)に実施することにしました。
また、この日は、いわき市教育委員会と、子どもたちが学校で使う物品(学用品)の支援についても協議しました。各学校や地域の取り組みなどもあり、制服や文房具などの学用品は必要とする子どもたちに行き渡りつつありますが、現時点では、体操服(小学生・中学生)が浸水したという声が届いているとのことでした。セーブ・ザ・チルドレンは、引き続き、いわき市教育委員会と協議しながら、体操服の支援を含む子どもたちの就学環境の回復に向けての支援の実施について調整を進めています。

子どもたち11人が「こどもひろば」の活動に参加
-10/26福島県いわき市
子どもたち11人が「こどもひろば」の活動に参加
-10/26福島県いわき市
これまで福島県いわき市で行ってきた聞き取り調査の中で、避難している子どもの人数が多いと聞いていた避難所を訪問。子どもたちの状況などについて話を聞き、子どもの居場所の必要性や、遊び場の確保が急務であると感じました。しかし、その避難所の中には利用できる場所がなかったため、近くにある公共施設を借りて「こどもひろば」の実施を検討しました。
「こどもひろば」の活動に参加する子どもたちは、避難所受付に集合し、スタッフとともに近くの公共施設まで徒歩で移動しました。会場に着くと、「こどもひろば」の開始を待ちきれないようで、おもちゃのコーナーから早速フリスビーを見つけて遊ぼうとする子どもたちや、「今日は何の遊びができるの」、「早く遊びたい」と話している子どもたちの姿が見られました。
年中~中学2年生まで11人の子どもたちが参加し、はじめに自己紹介をしました。続いて、「こどもひろば」で大切にしたいことを確認すると、子どもたちから「ケンカをしない」「大きな声は出さない」など、意見が出ていました。
その後、2チームに分かれ、コミュニケーションを取りながらのアイスブレイク。避難所の中で知り合いになった子どもたちもいたようですが、学年や学校の違いを超えて交流していました。アイスブレイクの後は、思い思いに好きな遊びを選んでの自由時間。最初はフリスビーを使って遊ぶグループと、スライムづくりのグループに分かれました。
フリスビーのグループは、会場の空きスペースを目いっぱい使ってドッチビーを開始。「久しぶりにこんなに動いた」と話すなど、息が切れるほど思い切り動きながら汗を流していました。
スライムづくりのグループは、どのくらいの硬さにしようか、どんな色にしようか、ラメを入れようかなど、工夫を凝らしていました。材料を混ぜるのに疲れてしまい、スタッフに「交代して」と、手伝いを頼む子もいましたが、それぞれがオリジナルのスライムを集中しながらつくりました。「避難所に持って帰って、家族に見せるんだ」という声も。
後半は粘土やジェンガなど、静かな遊びも行いました。粘土では、ピンクのチョコレートがついたドーナツをつくったり、ジェンガでは、サイコロを振って色が出るたびにみんなで「赤」「青」と勢いのある声を出し、「ここなら取れそうだよ」とお互いにアドバイスし合い、ジェンガが倒れると歓声があがって盛り上がりました。
そして最後は子どもたちほぼ全員でドッチビー大会。最初はスタッフも一緒にやっていましたが、最後は子どもたちだけで声を掛け合いながら楽しんでいました。
「こどもひろば」の活動が終わり、避難所に帰ると、「汗だくだね」と、子どもたちを保護者が迎えていました。子どもから「セーブ・ザ・チルドレンの人たちとたくさん遊べたので、とても楽しかったです。避難していて、楽しくなかったこともあったけど、今日はとても楽しかったです」という感想や、保護者から「すごく楽しそうにして帰ってきたので、本当によかったです」という声がありました。
一方、「今日だけではなくて、またやってほしい」という子どもや保護者の声も聞かれました。被災した地域では、放課後や週末などに、子どもたちが安心・安全に過ごすことができる場が不足しています。セーブ・ザ・チルドレンでは、今回実施した「こどもひろば」での声も踏まえ、子どもたちの居場所や遊び場の確保を今後も検討していく予定です。

断水下の放課後児童クラブへ緊急支援物資を提供
-10/23-25福島県いわき市
断水下の放課後児童クラブへ緊急支援物資を提供
-10/23-25福島県いわき市
いわき市では台風19号による豪雨のため、浄水場が冠水し、多くの世帯で断水が発生しました。17日に初動調査チームが現地入りした際、水がない状況でも学校は再開していましたが、衛生環境が悪いため、学童は休所せざるを得ないという話を聞きました。
日頃、子どもたちの放課後の生活を保障している学童にとって、子どもたちの衛生環境の確保は、運営を継続する上で不可欠です。
そこで、セーブ・ザ・チルドレンは、いわき市こども支援課やいわき市学童保育連絡協議会の協力を得て、断水の影響を受けている学童に対し、10リットルと20リットルの水タンク、除菌シート、飲料水など緊急物資を提供しました。
水タンクは、トイレや手洗い用の水を確保するため、除菌シートは、十分に手洗いができない状況で手を清潔に保つため、飲料水は、清潔な飲み水の確保のために、それぞれ使われました。
いわき市では、予測よりも早く断水の状況は改善されましたが、通水後も子どもたちが安心して水道水を飲めるまでは時間がかかるため、現場の学童支援員の人たちから飲料水を要望する声がよく聞かれました。
東日本大震災緊急・復興支援において、セーブ・ザ・チルドレンは子どもたちの放課後の生活を保障する学童の重要性を認識し、連携して活動を行いましたが、台風19号の緊急支援でも、学童の早期再開のために必要な支援物資の迅速な提供に努めました。私たちが初動調査などで訪れた地域では、自ら被災しながらも学童の早期再開に向けて子どもたちの受け入れ準備をする学童支援員や、なんとか子どもたちの保育環境を良くしようと奮闘する支援員の人たちの姿がありました。
今回の支援に関し、ある学童から次のような手紙をいただきました。
「この度は、早々にご連絡いただき、水・除菌シート他たくさんの希望した品物をご寄付いただき、ありがとうございました。
学校も始まり断水も市内のほとんどが解消されましたが、学校の屋上タンクの水はまだ飲用には適していないようで水筒を持っての登校という状況です。
学校から学童へ帰ってくると水筒は空の子が多いので飲料水がとても助かっています。また、手洗いのかわりに除菌シート、アルコール消毒も使用させていただいています。
学童で使うトイレの水の確保のため、給水所までの往復の毎日、学校も家庭でも断水で疲れてきた頃、学童の心配をしてくださり、ご寄付いただき、本当にありがとうございました。助けてくださる方がいるということはとても心強かったです。」
災害発生時には、大人は復旧に追われ生活再建が優先となりますが、その中で子どもたちの存在が置き去りにされがちです。セーブ・ザ・チルドレンは、こうした緊急下でも、学童など、子どもたちが安心・安全に過ごせる場が重要であると伝え続けてきましたが、台風19号緊急支援からも、子どもたちの安心・安全な環境を保障するために、学童などへの迅速な緊急支援の必要性を改めて確認しています。

日帰り遠足をサポート
-11/4福島県いわき市
日帰り遠足をサポート
-11/4福島県いわき市
台風19号で甚大な被害を受けた福島県いわき市で、地元のNPOが主催する、小学生を対象とした日帰り遠足の開催に協力しました。
遠足は、浸水被害の影響によって遊びなどが制約されている子どもたちや、自宅の片付けや復旧に追われる保護者のために、子どもが安心して遊べる場の必要性を感じた地元のNPO法人はまどおり大学が企画し、セーブ・ザ・チルドレンも、1日のスケジュールや遊びのプログラムづくり、子どもの見守りなどで協力しました。
当日は、65人の小中学生が参加し、午前中はいわき市内の公園で外遊び、午後は室内でオリジナルトートバッグづくりをしました。
集合時間の午前8時半を過ぎると、子どもたちが次々と集まってきました。中には、少し緊張した様子の子もいましたが、1日の流れや、スタッフ紹介の最中に、「早く遊びたい!」「もう遊んでいい?」と声が上がるほど、待ちきれない様子の子もいました。全員そろってバスで移動しましたが、車内では、多くの子どもたちが「今日は何するの?」「楽しみ!」と、興奮気味に話す様子も見られました。公園に到着すると、子どもたちは、鬼ごっこやなわとび、ドッジボール、テニスなど、身体を動かす遊びで思いっきり汗を流して遊んでいました。
午後は、公園のそばにあるお寺の大部屋を借りて、室内でさまざまな遊びを楽しみました。まずは、オリジナルのトートバッグづくりを実施。
子どもたちは、無地のトートバッグに思い思いに絵を描いたりリボンをつけたりして、個性豊かなトートバッグを完成させました。公園では走り回って大はしゃぎだった子どもたちも、真剣な表情に。中には、1日の活動終了時刻の午後4時までバッグづくりに熱中している子どももいました。トートバッグづくりが終わった子どもたちは、ジェンガやトランプ、折り紙、ぬり絵などで室内遊びを楽しんでいました。
午後4時、終わりの会。子どもたちはオリジナルのトートバッグを大切そうに持って、バスに乗って解散場所に向かいました。
いわき市内の一部の地域では、台風19号の後の粉塵などの影響で、外で子どもたちが安心して遊べなかったり、公園が災害ゴミ置き場になったりして、いつもの遊び場が使えない状況が続いています。今回の遠足で子どもたちは、久しぶりに外で遊ぶことができたようで、保護者からは、「子どもがとても楽しそうに帰ってきたのでよかったです」との感想がありました。
台風19号で被災した各地では、子どもたちが安心・安全に過ごすことができる居場所の重要性や、子どもが日常に近い生活を取り戻すために非常時こそ遊びが果たす役割りの大きさに注目が集まっているように感じます。セーブ・ザ・チルドレンでは引き続き、こうした子どもの遊びや居場所確保の支援を予定しています。

2回目の「こどもひろば」を実施
-11/10福島県いわき市
2回目の「こどもひろば」を実施
-11/10福島県いわき市
いわき市では、1回目(10/26)のこどもひろば実施後、11月初旬の連休には、地域の団体が実施する日帰り遠足に協力し、子どもたちの遊び場・居場所の確保に向けた活動を実施しました。
今後の活動を検討するなかで、1回目のこどもひろばに参加した避難所で生活する子どもたちの保護者に聞き取りをしたところ、「子どもたちが前回とても楽しく遊んでいた」「避難生活の長期化でなかなか遊べていない」という声が聞かれました。
また、これまでの活動を通して、週末などに、子どもたちがのびのびと過ごしたり、遊んだりや学んだりする時間と場所が継続して確保されることも必要ではないかと考え、前回のこどもひろばに参加した避難所の子どもたちを対象として11月10日に2回目のこどもひろばを開催しました。
当日避難所に行くと「あ、こどもひろばの人だ!」と子どもたちが迎えてくれました。この日の参加者は9人。はじまりの会で「はい・いいえ」クイズをし、「今日楽しみな人?」と尋ねるとほとんどの子どもたちが「はい」のところへ移動。はじまりの会の後は、それぞれ好きな遊びをしながら過ごしました。
最初は、前回も大人気だったスライムづくり。今回も、着色やラメ、硬さを工夫して自分だけのスライムを作る子どもたち。集中しながらじっくり材料をかき混ぜて、オリジナルスライムのできあがり。また、今回の会場が和室だったため卓球を用意していったところ、子どもたちも一緒にネットを張りながら準備し、何度も白熱した勝負を繰り広げていました。
子どもたちからは「スライムづくりが楽しかった!」「今日も、セーブ・ザ・チルドレンの人たちと、一緒に遊ぶことができて、とても楽しかったです。ひさしぶりに遊んで、前遊んだ物とちがう物があったので楽しかったです。また遊びたいと思いました」という声がありました。
終了後、保護者に最近の様子について尋ねたところ、「体調を崩しているわけではないが、最近あまり食べなくなってきているのが心配」「避難所の中で、今は子どもたちの声に救われていると言われてとてもありがたい。ただ、今後避難が長期化してくるとどうなるか」というような声が聞かれました。
台風19号の発生から1ヶ月がたち、子どもたちや保護者、子どもを支える人たちの負担が懸念されます。セーブ・ザ・チルドレンは、今後も中長期的な視点で子どもたちのためにどのような支援活動が必要なのか、引き続き検討してく予定です。

浸水被害を受けた子どもたちに学用品を支援
-11/11福島県いわき市
浸水被害を受けた子どもたちに学用品を支援
-11/11福島県いわき市
台風19号で甚大な被害を受けた福島県いわき市内で活動を続けている中、いわき市教育委員会から要請があり学用品を支援することになりました。今回支援するのは小中学校の体操服で、子どもたちの学びの環境を確保するために必要な学用品となります。
11月11日、私たちは、体操服を支援した児童と生徒が通う小学校と中学校を訪問し、配布状況を確認しました。2回に分けて必要数量を確認をしましたが、教育委員会と連携しながら進めた結果、第1回目の体操服の配布が滞りなく行われたことを確認しました。
配布状況について話を聞いた校長のもとには、支援に対する保護者から感謝の声がすでに届いているとのことでした。また、「学校指定の体操服ではなく、私服でも構わないと家庭には伝えているが、一人だけ私服だったりすることもあり、気になっていた」と子どもたちの被災による影響を心配する校長の声も聞かれました。
さらに、いわき市内でセーブ・ザ・チルドレンが実施した「こどもひろば」の活動では、保護者から「体操服が浸水してしまったが、おさがりで済ませていた。今回、体操服の支援があるということで先生が気づいて声をかけてくれ、申し込みをした。やはり新しい体操服を持たせてあげられてすごく助かった」という声も寄せられました。
今回の訪問の聞き取りでは、被災状況の聞き取りも並行して行いました。その中には、浸水して2階での生活を余儀なくされている世帯があること、砂埃の中で通学している様子、避難所や離れた住居から時間をかけて通わざるを得ないことなど、子どもたちが厳しい環境で生活したり、学習したりしている状況もありました。
しかし、一方で、こうした環境だからこそ、子どもたちの生活の回復のためにと、毎日長距離の道を車で送り迎えを行う保護者の協力、子どものためにと必要な物品を集める同窓会やPTAなどの学校支援組織の協力、必要な文具を寄贈する業者など、多方面からのさまざまな協力や支援があることも今回多く聞きました。
今回のような大きな災害の際は、多くの組織・団体の連携、協力が不可欠です。セーブ・ザ・チルドレンもさまざまな組織や個人とネットワークを築きながら、子どもたちが安心して就学できる環境づくりのために活動を進めていきます。

2回目の日帰り遠足をサポート
-11/17福島県いわき市
2回目の日帰り遠足をサポート
-11/17福島県いわき市
台風19号で甚大な被害を受けた福島県台風19号で甚大な被害を受けた福島県いわき市で、地域の市民グループが主催する、小学生を対象とした2回目の日帰り遠足に協力しました。
遠足は、浸水被害の影響によって遊びなどに制約を受けている子どもたちや、自宅の片付けや復旧に追われる保護者のために、子どもが安心して遊べる場の必要性を感じたいわき市の市民グループ「はまどおり大学」が企画しました。
当日は、約80人の小学生が参加し、午前中はいわき市内の公園で、午後はお寺でそれぞれ思い思いに遊びながら過ごしました。
快晴のこの日、まずは公園での外遊び。今回は、里山体験などの活動を行っている「あぶくまエヌエスネット」が中心となって、さまざまな遊びのコーナーが設置されました。たくさん体を動かすので、最初はみんなで一緒にグーチョキパー体操をしてスタート。
ジャンボシャボン玉、自然の輪投げ、ネイチャービンゴ、縄跳びのコーナーから思い思いの遊びを選ぶ子どもたち。鬼ごっこ、どろけい、虫探しをする子どもたちや、のんびりお散歩をしながらおしゃべりする子どもたちの姿も見られました。
お昼ご飯は、公園のそばにあるお寺に移動して、地域のレストランのシェフが作ったカレーライス。外で目いっぱい体を動かした子どもたちの中には、お代わりをする姿もありました。
そのあとは公園の大部屋での室内遊びや、敷地を使っての外遊びをしました。室内遊びでは、地域でボードゲームの会を主宰する団体の協力で、見たこともないようなたくさんのボードゲームが登場し、子どもたちは大盛り上がりでした。また、ヨガの先生もやってきて、子どもたちもスタッフも一緒にヨガ教室に挑戦したり、トランプやお絵かき、塗り絵、シール貼りなどを選んで遊ぶ子どもたちもいました。
おやつの時間は、キッチンカーを運営している地域の人の協力で特製焼き鳥でした。体を動かし、集中して遊んでいた子どもたちは、おいしそうにほおばっていました。
午後4時、終わりの会。「今日楽しかった人?」という問いかけに、たくさんの子どもたちが大きく手を挙げていました。今回、子どもたちが自由に遠足の感想や、やりたい遊びを書くコーナーを6年生につくってもらったところ、「うれしかった。楽しかった。おうちでそんなに遊べないからおもいっきりあそべた」「またきたいです」「ありがとう」「全員でやるかくれんぼしてみたい」という声がありました。その一方、付き添いで来ていた保護者からは「近くの公園は災害ごみがあってなかなか遊べていない」という声も聞かれ、まだまだ子どもたちの遊びが制約を受けている状況がうかがえました。
1回目に続き、子ども支援関係者、医療関係者、お寺、調理関係者など、さまざまな人たちがお互いの強みを生かしながら協力してこの時間を作り出しています。災害後は、子どもたちの存在が取り残されてしまうことも多くありますが、このように地域の人たちが子どもたちを第1に考え、何かできることはないかと活動をしていることは、身近な視点で子どもたちを守り、権利を保障していくために不可欠です。
セーブ・ザ・チルドレンは、そうした地域の人たちの活動を支援することも重要な取り組みの一つと考え今後も、子どもたちや地域の人たちとともに活動を続けていきます。

避難所などに設置する子どもの居場所の重要性
地震や洪水など自然災害や緊急時、子どもたちを取り巻く環境は大きく変化します。そして、家を失ったり、見慣れた町の景色が一変したり、大切なものを失うなど、子どももさまざまな困難に直面します。
また、避難先などでは子どもは慣れない環境に置かれ、子どもが必要とする安心感を得ることが難しいこともあります。そのため、私たちセーブ・ザ・チルドレンや多くの子ども支援団体は、災害などの緊急時、避難所などに子どもの居場所づくりを行います。
子どもの居場所は、子どもたちが自分の思うままに遊んだり、友達と過ごしたりする中で、子どもが再び自分らしくいられる場です。また、子どもが難しい状況や問題を自分の力で対処していくサポートへもつながります。■詳細はこちら
避難所などに設置する子どもの居場所の重要性
地震や洪水など自然災害や緊急時、子どもたちを取り巻く環境は大きく変化します。そして、家を失ったり、見慣れた町の景色が一変したり、大切なものを失うなど、子どももさまざまな困難に直面します。
また、避難先などでは子どもは慣れない環境に置かれ、子どもが必要とする安心感を得ることが難しいこともあります。そのため、私たちセーブ・ザ・チルドレンや多くの子ども支援団体は、災害などの緊急時、避難所などに子どもの居場所づくりを行います。
子どもの居場所は、子どもたちが自分の思うままに遊んだり、友達と過ごしたりする中で、子どもが再び自分らしくいられる場です。また、子どもが難しい状況や問題を自分の力で対処していくサポートへもつながります。■詳細はこちら