死と隣り合わせの日常
シリア包囲下に暮らす子ども25万人に関する報告書を発表

セーブ・ザ・チルドレンは、シリア紛争が始まって丸5年を迎える3月15日にあわせ、報告書「包囲下の子ども時代:Childhood Under Siege」を発表しました。

⇒報告書はこちら(英語)

25万人以上とされるシリアの包囲地域に暮らす子どもたちにとっての最大の脅威は、たる爆弾を含む空爆や砲撃です。子どもたちは爆撃の恐怖に常に脅かされていると訴え、父母たちは、子どもたちが以前よりも引きこもりがちになったり、攻撃的になったり、落ち込みやすくなっていると述べています。

報告書の中では、包囲地域の衝撃的な日常が描き出されています。医療従事者の証言によると、電気のない状態でろうそくの明かりを頼りに手術が行われており、医薬品は底を突き、病気の赤ちゃんが適切な治療を受けられず、病院に行く道すがらの検問所で亡くなっています。子どもたちは、日に一度の食事に、ゆでた葉っぱや動物のえさを食べることを余儀なくされ、教師たちは子どもたちを爆撃から守るために、地下に教室を作っています。また、住民を包囲地域に留まらせるために、狙撃手が包囲から逃れようとする住民を手当たり次第に狙います。

首都ダマスカス近郊の東グータ地区に暮らす母親は、「ここでは恐怖がすべてを支配しています。子どもも大人も、自分が殺される順番を待ちながら生きている状態です」と言います。

過去半年の間に、攻撃は激しさを増しています。9月にはアルワエル地区で、子どもたちが遊んでいた運動場に砲撃があり、12月には東グータ地区への空爆で、2週間に少なくとも29人の子どもが犠牲になりました。

シリア東部の都市デリゾールに暮らす父親は、「砲撃の間、私の子どもたちは恐怖に震えていました。4人の子どもが爆弾の犠牲になるのを目撃しましたが、その光景はあまりにも惨たらしく、注視できませんでした。手足をなくした子どもいたのです」と、砲撃時の体験を語りました。

また、包囲下の暮らしの恐ろしさは、爆撃への恐怖が子どもたちに与える深刻な心理的被害だけでなく、食料や基礎的な医薬品、清潔な水が手に入らないこともあると、父母たちは訴えています。

シリアでは、支援物資が高く積み上がった倉庫からわずか数キロしか離れていない所で、子どもたちが食料や医薬品の不足で亡くなっています。そうした子どもたちは、世界が行動しないことの代償を払わされているのです。

⇒報告書はこちら(英語)

あなたのご支援でできることがあります

例えば5,000円で…

シリアの子どもに半年分の安全な水を提供することができます。

例えば10,000円で…

避難先の赤ちゃんに、布おむつやおくるみ、服などの新生児用品を1セット提供できます。

例えば30,000で…

2歳以下の子どもを持つ母親に健康的で新鮮な食べ物等の栄養補助セットや調理器具、子ども服、毛布などを提供できます。

シリア国内と周辺国外避難民への支援活動

<保健・栄養>
薬や栄養値の高い食料の不足で、子どもたちは栄養失調や病気の危機にさらされています。ヨルダンの難民キャンプや受け入れ地域では乳幼児への適切な栄養支援を実施するほか、エジプトとシリアではそれぞれ、A型肝炎やポリオのワクチン接種キャンペーンを実施しています。また、パートナー団体と協働し、シリア北部では5つの保健・医療施設を支援し、内4施設は基礎医療を、内1施設では内1施設では妊産婦への24時間緊急医療を提供しています。これらの施設には毎週約3500人の患者が訪れ、毎週約100人の赤ちゃんが誕生しています。

<教育>
25%の学校が攻撃等により使えなくなったシリアでは、北部地域の34,500人の子どもたちに対し、学校で学び続けられるよう支援しました。ヨルダン、レバノン、イラクでは、シリアから逃れてきた子どもたちや若者に対して臨時学習所を開設して、代替教育の場を提供しています。また通学バッグや制服、学費等を、必要とする子どもたちに提供しました。

<食料・生計>
深刻な食料不足に直面する人々に対し、ヨルダンの難民キャンプでは毎月533トンの食料支援を実施しています。レバノンやエジプトでは、社会スキル・専門スキル研修の機会を提供することで、将来的な雇用に繋げる支援を実施しています。シリア北部では、農業に必要な機材や種を購入する支援をし、人々が農業で生計を立てられるよう支える活動を始めています。

タヒーナさんは長男を紛争で失った後に、新しい命を授かりました。「この子は痩せ細って生まれてきて、医師の診療がなければ危険だと言われました。しかし夫は空爆で障害を負って働けず、病院に連れていくお金すらなかったのです。」そんな時に知ったのが、セーブ・ザ・チルドレンが運営する無料の医療センターでした。「ここで小児科医の診療を受け薬をもらうことができて、この子は助かりました。私はやっと希望を感じることができました。」このセンターには、Tahinaさんのように病気の子どもを抱えたお母さんたちが日々たくさん訪れます。シリアでは紛争による医療施設の破壊や、水・食料の不足により、多くの子どもたちの健康状態は危機的です。セーブ・ザ・チルドレンはお金を十分に持たない人も受けられる医療センターを運営し、紛争下の子どもたちの命を守っています。