インド(公開日:2015.06.24)
学校へ行こう〜Ride to School 2〜
昨年6月12日の児童労働反対世界デーに、マハラシュトラ州ムンバイ市M-East区のストリートチルドレンや児童労働に従事する子どもたちに教育の機会を提供するための移動式図書館の開所式を行いました。(開所式のプレスリリースはこちらです)

写真:移動式図書館に通う子どもたちとセーブ・ザ・チルドレンのスタッフ
昨年10月の1年次報告によると、移動式図書館は3歳から14歳の子どもたち686人に対して読み書きを学ぶ機会を提供するとともに、アートのクラス等を実施して、「学ぶ楽しさ」を伝えました。

写真:ウルドゥ語のクラスの様子

写真:歌遊びを楽しむ子どもたち

写真:アートのクラスで人形劇に使う人形を作った子どもたち
また、300人の子どもたちが子ども会の様々な活動に参加し、子どもたち自身による「子どもの権利」や「教育の権利」に関する啓発活動を、15か所で実施しました。

写真:「教育の権利」について啓発活動を行う子どもたち

写真:教育の大切を訴えるためのストリート・パフォーマンスの様子
移動式図書館の運営と並行して、セーブ・ザ・チルドレンのスタッフと学生ボランティアは、スラム街の各家庭を訪問して子どもたちの現状を把握するための聞き取りを実施し、必要に応じて保護者たちにカウンセリングを行いました。

写真:家庭訪問を行い、保護者たちに聞き取りやカウンセリングを行うスタッフと学生ボランティア
今回は、移動式図書館の事業を通して教育の機会を取り戻した子どもたちのストーリーを、2つご紹介いたします。
<クルシバさん一家のストーリー>
クルシバさんと夫のモハメッドさんは、仕事を求めて6年前にラジャスタン州からこのスラム街に移住してきました。モハメッドさんは何とか仕事に就くことができましたが、夫婦の3人の子どもたち、シャビールさん(12)、アリファさん(11)、ワヒダさん(10)は学校に通っていませんでした。クルシバさんは、「子どもたちを学校に入学させるためには正式な書類が必要だと聞きましたが、私たちは書類もなく、手続きの方法もわからなかったのです」と言います。
一日中何もすることがなかった子どもたちは近所で遊んだり、ぶらぶらしたりするだけの日々を過ごしていました。訪問調査でこのような状況を知ったセーブ・ザ・チルドレンのスタッフは、子どもたちを移動式図書館に通わせるように両親を説得し、子どもたちはとても熱心に通うようになりました。
「子どもたちを学校に入学させることができるかもしれない」とスタッフから聞いたとき、クルシバさんとモハメッドさんは信じられない気持ちでした。
スタッフは、「教育の権利法(2009年)」で定められた、「6歳から14歳の全ての子どもたちは無償で学校に通える権利を持っている」ことを学校に文書で提示しながら、子どもたちの入学手続きをサポートしました。
「学校に入った時、とってもうれしかった。入学できたことが、今でも信じられない!!」と、ワヒダさんは当時の喜びを跳び上がって表してくれました。

写真:セーブ・ザ・チルドレンのスタッフ(上段左側二人)とクルシバさん一家
<ルビナさんのストーリー>
ルビナさんはビハール州の小さな貧しい農村で、両親、4人の妹、1人の弟と住んでいました。日雇い労働者である両親の稼ぎでは生活が苦しく、小学校2年生になったころ、家計を助けるために、学校を退学して働くことを余儀なくされました。幸運なことにルビナさんのおばあさんが彼女を学校に通わせるように母親を説得し、より良い生活を求めて、家族と離れておばあさんと一緒に、おじさん家族の住むムンバイのスラム街に移住してきました。
しかし、期待に反して学校に通えないまま家事をする日々が続き、おばあさんはルビナさんを学校に通わせるようおじさんに頼み続けたため、家では喧嘩が絶えませんでした。そんな時、おばあさんが訪問調査を行っていたスタッフと出会い、ルビナさんは移動式図書館に通うようになりました。さらに、スタッフのサポートで公立の学校にも入学することができました。
学校に通うようになり、ルビナさんは以前よりも明るくなりました。今でも家事をしていますが、時間を見つけては移動式図書館に通い、学校の勉強の補習をしたり、アートのクラスを楽しんだりしています。
孫を学校に通わせることを願い続けたおばあさんは、ルビナさんが学校に入学したのを見届けて、この世を去りました。

写真:アートのクラスでお絵かきを楽しむルビナさん
セーブ・ザ・チルドレンでは、引き続き、保護者やコミュニティへの啓発活動を行いながら、より多くの子どもたちが学校に通えるよう、移動式図書館を中心に活動を行っていきます。
本事業は、みなさまからのご寄付および伊藤忠商事株式会社のご支援により実施しております。
インド担当:村田あす香

写真:移動式図書館に通う子どもたちとセーブ・ザ・チルドレンのスタッフ
昨年10月の1年次報告によると、移動式図書館は3歳から14歳の子どもたち686人に対して読み書きを学ぶ機会を提供するとともに、アートのクラス等を実施して、「学ぶ楽しさ」を伝えました。

写真:ウルドゥ語のクラスの様子

写真:歌遊びを楽しむ子どもたち

写真:アートのクラスで人形劇に使う人形を作った子どもたち
また、300人の子どもたちが子ども会の様々な活動に参加し、子どもたち自身による「子どもの権利」や「教育の権利」に関する啓発活動を、15か所で実施しました。

写真:「教育の権利」について啓発活動を行う子どもたち

写真:教育の大切を訴えるためのストリート・パフォーマンスの様子
移動式図書館の運営と並行して、セーブ・ザ・チルドレンのスタッフと学生ボランティアは、スラム街の各家庭を訪問して子どもたちの現状を把握するための聞き取りを実施し、必要に応じて保護者たちにカウンセリングを行いました。


写真:家庭訪問を行い、保護者たちに聞き取りやカウンセリングを行うスタッフと学生ボランティア
今回は、移動式図書館の事業を通して教育の機会を取り戻した子どもたちのストーリーを、2つご紹介いたします。
<クルシバさん一家のストーリー>
クルシバさんと夫のモハメッドさんは、仕事を求めて6年前にラジャスタン州からこのスラム街に移住してきました。モハメッドさんは何とか仕事に就くことができましたが、夫婦の3人の子どもたち、シャビールさん(12)、アリファさん(11)、ワヒダさん(10)は学校に通っていませんでした。クルシバさんは、「子どもたちを学校に入学させるためには正式な書類が必要だと聞きましたが、私たちは書類もなく、手続きの方法もわからなかったのです」と言います。
一日中何もすることがなかった子どもたちは近所で遊んだり、ぶらぶらしたりするだけの日々を過ごしていました。訪問調査でこのような状況を知ったセーブ・ザ・チルドレンのスタッフは、子どもたちを移動式図書館に通わせるように両親を説得し、子どもたちはとても熱心に通うようになりました。
「子どもたちを学校に入学させることができるかもしれない」とスタッフから聞いたとき、クルシバさんとモハメッドさんは信じられない気持ちでした。
スタッフは、「教育の権利法(2009年)」で定められた、「6歳から14歳の全ての子どもたちは無償で学校に通える権利を持っている」ことを学校に文書で提示しながら、子どもたちの入学手続きをサポートしました。
「学校に入った時、とってもうれしかった。入学できたことが、今でも信じられない!!」と、ワヒダさんは当時の喜びを跳び上がって表してくれました。

写真:セーブ・ザ・チルドレンのスタッフ(上段左側二人)とクルシバさん一家
<ルビナさんのストーリー>
ルビナさんはビハール州の小さな貧しい農村で、両親、4人の妹、1人の弟と住んでいました。日雇い労働者である両親の稼ぎでは生活が苦しく、小学校2年生になったころ、家計を助けるために、学校を退学して働くことを余儀なくされました。幸運なことにルビナさんのおばあさんが彼女を学校に通わせるように母親を説得し、より良い生活を求めて、家族と離れておばあさんと一緒に、おじさん家族の住むムンバイのスラム街に移住してきました。
しかし、期待に反して学校に通えないまま家事をする日々が続き、おばあさんはルビナさんを学校に通わせるようおじさんに頼み続けたため、家では喧嘩が絶えませんでした。そんな時、おばあさんが訪問調査を行っていたスタッフと出会い、ルビナさんは移動式図書館に通うようになりました。さらに、スタッフのサポートで公立の学校にも入学することができました。
学校に通うようになり、ルビナさんは以前よりも明るくなりました。今でも家事をしていますが、時間を見つけては移動式図書館に通い、学校の勉強の補習をしたり、アートのクラスを楽しんだりしています。
孫を学校に通わせることを願い続けたおばあさんは、ルビナさんが学校に入学したのを見届けて、この世を去りました。

写真:アートのクラスでお絵かきを楽しむルビナさん
セーブ・ザ・チルドレンでは、引き続き、保護者やコミュニティへの啓発活動を行いながら、より多くの子どもたちが学校に通えるよう、移動式図書館を中心に活動を行っていきます。
本事業は、みなさまからのご寄付および伊藤忠商事株式会社のご支援により実施しております。
インド担当:村田あす香