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企業連携
(公開日:2019.09.11)

【インドでの連携促進】インドに来た、見た、考えた。 支援事業の現地レポート

 

セーブ・ザ・チルドレンによるインドでの企業連携の取り組みは、ブログ記事「インド会社法:法的義務としての社会貢献」で紹介しました。企業との対話の傍ら、私たちは、実際にセーブ・ザ・チルドレンの事業地に足を運び、現場の様子も視察も行っています。20197月の訪問でも、ベンガルール近郊の就学前教育事業の現場を訪れることができました。子どもたちが直面する課題解決のために、現場ではどのような取り組みが行われているのか、関係者の声も交えながら紹介したいと思います。

「インドのシリコンバレー」から離れると…
多くのIT企業やスタートアップ企業が拠点を置き、インドのシリコンバレーとも称される、南インドの中心都市の一つ、ベンガルール。街中のレストランではIT企業の社員でしょうか、グラスを傾けながら陽気に話す声があちこちから聞こえ、活発な議論がされているようです。そんなベンガルール中心部から車で北に移動すること、およそ1時間強。空気の流れがややのんびりとしたように感じられ、さらには家畜のにおいが混じるようになってきます。ここはドッダバラプールという街の中心地のほど近く。多くの住民が織物業を営む地域です。軒先には牛や山羊が寝そべり、耳を澄ますと、かすかに織機のカシャカシャという音が、そして、目の前の建物からは先生の話す声と子どもたちの歌声が聞こえてきます。




ベンガルール中心部。多くの人でにぎわいを見せています



ベンガルール郊外のドッダパラプール。
家畜を飼う奥の家からは、機織りの音が聞こえてきました

インドの農村地域では小学校就学前の子どもたちが通う場所として、アンガンワディ・センターと呼ばれる施設が存在します。これは、未就学児の教育と栄養改善を目指してインド政府が提供する行政サービスで、日本の幼稚園に例えると分かりやすいでしょう。同センターでは毎日、決まった時間に無償で給食が提供されるため、経済的に余裕のない世帯にとっては欠くことのできない施設です。ですが、それがゆえに同センターは、多くの保護者にとって単に「子どもたちが給食を食べられる場所」としか認識されていないことも多く、基礎的な読み書きや社会的行動を学んだり、体を動かすことで基礎的な身体能力の発達を促したりする早期幼児教育の側面は軽視されがちな現状があります。

セーブ・ザ・チルドレンの取り組み
こうした課題に対して、セーブ・ザ・チルドレンは、「カルバン・クライン」などのブランドを持つアパレル大手PVHの支援を受け、街の中心部にモデル・センターをつくり、近郊のアンガンワディ・センターの先生たちに対して、読み書き計算の基礎的なスキルを子どもたちにも分かりやすいやり方で伝えたり、研修の機会を提供したりしています。



セーブ・ザ・チルドレンが支援するアンガンワディ・センターのモデル校


ンター内では子どもたちがリズム遊びをしていました。筆者も参加

私たちが訪れたのは、こうした活動の中核となるモデル・センターです。元々は空き地で、半ばゴミ捨て場となっていた場所を、住民たちが整備して提供してくれたそうです。私たちが活動を行う上で、地元行政と住民からのサポートは何よりも大切です。入り口に近づくと子どもたちの歌声が聞こえてきました。歌に合わせて体を動かすリズム遊びをしているようです。子どもたちの邪魔をしないよう、遠目で見守りつつ、私も動きを合わせてみます。元気に歌い、体を動かす子どもたちの様子は、日本の幼稚園・保育園の子どもたちを思い出させました。園内には、遊びながら文字や数字と触れ合えるカードやパズルなどがきちんと整理されて置かれていました。近郊の先生たちは、こうした現場に直接触れながら研修を受け、自分たちのセンターに戻って同じ取り組みを実践する仕組みになっているのです

モデル・センターの視察後、近郊のアンガンワディ・センターの一つに移動しました。快活な表情の先生がにこやかに出迎えてくれます。ニルマーラ先生といって、セーブ・ザ・チルドレンによる研修も受講済みとのことです。教室では、子どもたちが葉っぱと粘土を並べていました。どうやら研修で学んだ数合わせの実践をしているようです。遊具も目的ごとに分類され、ディスプレイされています。モデル・センターでの学びが生かされているのを見て取ることができました。セーブ・ザ・チルドレンは、こうした行動変容や子どもたちの発達に関するデータの統計学的な分析を実施しました。その結果、教員研修を行ったセンターと行っていないセンターとの間では、子どもたちの運動能力と初歩的な計算能力に有意差が存在することを明らかになりました。このような成果をもとに、効果的な施策を就学前教育のシステムに取り入れていけるよう、行政に提言をし、事業の持続性を担保していくのもセーブ・ザ・チルドレンの大切な役目です。



アンガンワディ・センターでの1コマ。子どもたちが遊具を使って数合わせをしていました


ニルマーラ先生(右端)とアシュレニさん(左端)
真ん中は、セーブ・ザ・チルドレンと地元NGOの現地スタッフ

私がここまで出来るようになった理由
教室でのアクティビティがひと段落したところで別室に移り、ニルマーラ先生から話を聞きました。この事業が始まって、先生が感じた最も大きな変化は、きちんとスケジュールを組んで、それに沿ってセンターでの活動を行えるようになったことだそうです。そして最近は保護者会を開催し、センターの運営についての意見交換も行ったということです。
「私がここまで出来るようになったのも、アシュレニさんが何度もここに足を運んでくれたからなんですよ。」
話の最後に、ニルマーラ先生は傍らの女性を振り向いて言いました。名前を呼ばれたアシュレニさんがはにかんだ笑みを見せます。彼女はセーブ・ザ・チルドレンと協力関係にある地元NGOの調整員です。事業が始まって以来、幾度となくアンガンワディ・センターや研修会場に足を運び、先生たちと二人三脚で活動の進捗をモニタリングし、地元の住民と対話を重ねるなどして、信頼関係を築いてきたそうです。

センターを辞するにあたり、手を振って見送ってくれる子どもたちと先生、そして近所の人たち。こちらも手を振りかえしつつ、考えました。 私たちが活動をしていく上で、セーブ・ザ・チルドレン単体で実施できる事業は一つとしてありません。今回視察した就学前教育事業を例にとっても、保護者や地域の人々、アンガンワディ・センターの先生、行政、そして活動そのものを支えてくださるドナーなど、多くの関係者の連携があって、初めて事業が成り立っています。その関連性の中で子どもたちをサポートしていくためには、ニルマーラ先生とアシュレニさんのように、関係者間で信頼関係を築くことが欠かせません。セーブ・ザ・チルドレンも、子どもたちの声、現地の人の声、支援者の声を聴き、伝えていくことで、信頼される組織であり続けたい。思いを新たに、事業地を後にしました。


 

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