【緊急・人道支援】
2023.09.21
- マダガスカル
自然災害や紛争などの影響を受けた子どもや地域社会に対して、迅速かつニーズに合った支援を行い、人々が日常を取り戻したり、生活を再建したりできるようサポートします。
長引く紛争や、頻発する自然災害の影響を受ける子どもたち。セーブ・ザ・チルドレンは、2021年、イエメン、シリア、アフガニスタンなどでの人道危機や、洪水をはじめとした自然災害の被災地において緊急・人道支援を展開し、17,995,454人の子どもたちに直接支援を届けました。
2015年の武力衝突の激化により大規模な人道危機に陥ったイエメンでは約1,130万人の子どもが支援を必要としています。セーブ・ザ・チルドレンは2021年、食料支援や保健サービスの提供、教育支援などを通して約78万人へ支援を届けました。
紛争や新型コロナウイルス感染症の影響を受けているイエメンの子どもたちが安全な環境で学べるよう、対象校の校舎やトイレ・水飲み場などの修繕や設置、学校備品の提供を行ったほか、石けんなどの衛生用品を配布し適切な使い方を伝えました。また、教員やスクールソーシャルワーカーの能力強化プログラムの実施や、学習の機会を奪われていた子どもを対象に補習授業を実施しました。さらに、学校運営に子どもたちや保護者の声が反映されるよう、生徒会や保護者会の形成および活動実施を支援しました。
シリア危機が始まり2021年3月で11年が経ちましたが、依然として1,340万人が支援を必要としています。長引く紛争の影響を受けた子どもたちやその家族に対し、緊急物資の提供や教育、子どもの保護、保健・栄養などさまざまな分野で支援を行っています。
シリア国内では、長期化する紛争に加え、新型コロナウイルス感染症拡大により影響を受けている脆弱な状態にある子どもとその家族に、精神保健・心理社会的支援(こころのケア)および母子への栄養支援を実施しました。また、シリア北西部にある国内避難民キャンプにて、栄養不良の兆候がみられる子どもや妊産婦に、健康診断や栄養支援、出産前後に必要な物品の提供などを行いました。
シリア危機により周辺国への避難を余儀なくされた人は568万人を超え、そのうち約260万人が子どもです。新型コロナウイルス感染症や経済危機の影響で避難生活を送る子どもたちへ教育、子どもの保護、保健・栄養などさまざまな分野で支援を行いました。
レバノンでは、シリア危機やレバノン経済危機、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、学校に通えないシリア難民とホストコミュニティの子どもたちに、質の高い教育機会を提供しました。また、教員に対して能力強化研修を実施したほか、教員や地域の人たちを対象に感染予防対策に関する啓発活動も実施し、安心・安全な学習環境を整備しました。
2013年12月に起きた武力衝突以降、混乱が続く南スーダンから逃れ、ウガンダには約96万人の南スーダン難民が暮らしています。脆弱な状態にある子どもたちに保健や教育分野での支援のほか、虐待や児童労働などから子どもたちを守る分野での活動を行っています。
ウガンダでは、新型コロナウイルス感染症拡大や避難生活の長期化により脆弱な状態に置かれた南スーダン難民の子どもたちに対して、衛生環境促進のための物資支援や、個別ニーズの対応および心理社会的支援を届けました。また、子どもに対する暴力や虐待を防ぐため、地方行政職員や地域ボランティアの対応能力強化や体制整備を行いました。
政情の不安定化や武力衝突から逃れるため、ウガンダには現在約42万人のコンゴ民主共和国からの難民が暮らしています。特に脆弱な状態に置かれた子ども・青少年を暴力から守る活動のほか、社会生活に必要なスキルを身に着けるための研修などを行っています。
ウガンダでは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、さらに増加する虐待や児童婚、児童労働などのリスクから子どもたちを守るため、個別のニーズに応じた支援やグループ活動のほか、子ども・青少年とその家族が、適切なサポートを受けられるように支援しました。また、心理社会的支援や青少年が自立する上で必要なスキル習得のための研修を実施しました。
パレスチナ自治区では、現在約210万人が人道支援を必要としており、そのうち93万人以上が子どもです。セーブ・ザ・チルドレンは、紛争の影響で心理的苦痛を感じながら生活する子どもへの支援をはじめ、教育、水・衛生、保健・栄養分野で支援をしました。
また、2021年5月の空爆や砲撃で水・衛生施設が損傷を受けたことにより、ガザ地区の人たちが健康上のリスクに晒されたことから、地域の排水システムが機能するよう、新たに下水管を設置しました。さらに、紛争の影響で心理的な困難を抱える子どもたちに、精神保健・心理社会的支援活動を実施しました。
2020年8月にベイルート湾港で発生した大規模爆発の影響で、約7万3,000の家屋が被害に遭うなど多くの人が犠牲になりました。セーブ・ザ・チルドレンは、緊急の医療支援を実施したほか、避難先の確保や被災者に対する精神保健・心理社会的支援を実施しました。
レバノンで「こどもひろば」を開設し、子どもが安心して過ごす場を提供しました。また、今後起こりうる困難に対して、子どもが向き合うためのスキルを身に付ける研修を行ったほか、暴力などの被害に遭った子どもの個別支援を行いました。養育者に対しては、子どもとの接し方や感情コントロールの方法を指導しました。住居を失った家庭に対しては、3ヶ月間の家賃の緊急支援を行いました。
アフガニスタンでは、紛争や自然災害、新型コロナウイルス感染症、さらに政変の影響を受け、2,200万人以上が深刻な食料不足に直面しています。セーブ・ザ・チルドレンは、食料支援や保健栄養、教育などの分野で、約88万人の子どもを含む、140万人以上に支援を届けました。
具体的には、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響で収入が減少した世帯を対象に、現金提供による食料支援を行いました。また、移動式診療所を通じた保健・栄養サービスの提供や、世帯訪問などを通じた妊産婦や母親に向けた母子栄養に関する情報共有、さらに新型コロナウイルス感染症予防のため、衛生用品キットの配布や手洗いなど衛生習慣に関する啓発活動も実施しました。
ミャンマーにおける人権侵害から逃れるため、多くのロヒンギャの人々がバングラデシュに避難し、2021年末時点で約92万人が難民キャンプに居住しています。セーブ・ザ・チルドレンは、保健、教育、水・衛生などの分野で35万人の子どもを含む72万人以上に支援を届けました。
ロヒンギャ難民キャンプでは、実施したすべての事業で、ロヒンギャのボランティアの人たちが活躍しました。保健分野では、症状のある人を、診療所で診察を受けられるようにしたほか、感染予防の啓発活動を行いました。また、トイレや水道などの管理や清掃活動をボランティアが担っています。3月に発生した火災では、支援が必要な子どもを特定し、支援機関につなぐ役割を果たしました。
香港では、アジアやアフリカなどの国々からさまざまな理由で避難してきた難民申請者と難民の子どもたちが、経済的に厳しい状態で生活をしています。セーブ・ザ・チルドレンは、難民の子どもたちが教育を継続して受けられるよう、学費や学用品、その他就学に必要な支援を提供しました。また、学校での学びに不安を抱える子どもたちに対しては、個別の学習指導を提供しました。さらに、コミュニティで孤立しがちな子どもたちが、サマーキャンプを通して仲間をつくり、成長できる機会となるよう支援したほか、保護者に対してはポジティブ・ディシプリン(前向きなしつけ)の実践を支援しました。
モンゴルでは2021年3月中旬に、西部、中部および東部地域の広範囲にわたって、風速20m〜40m/秒の強風を伴う大規模な砂嵐が発生しました。その影響で約1万5,000人が被災し、子ども2人を含む10人が犠牲になるなど、多数の家屋や家畜が甚大な被害を受けました。セーブ・ザ・チルドレンは、この砂嵐災害により被災した子どもたちと遊牧民世帯を対象に、移動式住居ゲルおよび衛生キットの配布、現金支援や子どものための心理的応急処置に関する情報提供などの緊急支援を行いました。
2020年10月から11月にかけてベトナム中部で断続的に発生した豪雨により被災した子どもたちと被災地域の幼稚園・学校、合計19校を対象に、水・衛生支援、学習用資機材の配布や、災害リスク軽減のための支援を行いました。水・衛生支援では、損壊した学校の手洗い場、トイレ、給水施設の修繕・整備などを実施しました。また、子どもたちへ衛生啓発セッションを実施し、正しい手洗い方法や清潔な状態を維持する実践的な方法を含め、適切な衛生習慣を共有しました。
災害リスク軽減のための支援では、被災した学校へ学習用机や椅子、本棚、キャビネット、IT機器、救命胴衣などの学習用品や機材を提供しました。また、教職員を対象に、子どものための心理的応急処置の研修を実施し、自然災害発生時に子どもが抱える心理的負担への対処法について指導しました。また、幼稚園・学校における防災計画の見直しおよび強化活動も実施しました。
2021年1月にインドネシアのスラウェシ島西部でマグニチュード6.2の地震が発生し、100人以上が犠牲になったほか9万人以上が被災しました。セーブ・ザ・チルドレンでは、衛生用品の配布、生活再建のための現金支援、「こどもひろば」の開設、心理社会的支援、乳幼児の栄養や衛生に関するセッション、家庭での学習支援や子どもたちが安心・安全に学校に戻るための支援など、さまざまな支援を実施しました。 また、8月には中米カリブ海の島国ハイチでマグニチュード7.2の地震が発生し、2,200人以上の死者を含め80万人以上の人たちが被災しました。セーブ・ザ・チルドレンでは、水・衛生施設の修復、子どもや女性のための支援キットの配布、臨時学習センターの開設などの支援を行いました。
インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナムにおいて、2021年11月より新型コロナウイルス感染症対応事業を開始し、医療従事者および医療施設へ個人防護具(マスク、手袋、フェイスシールド、防護服、ゴーグルなど)や医療用器具、衛生用品(石けん、消毒剤など)の配布を実施しました。また、子どもの保護分野における現地の行政専門職員などへケースマネジメントに関する能力強化研修などを実施したほか、対象地域のソーシャルワーカーに対しては子どものための心理的応急処置の研修の実施や、子どものニーズ調査を行いました。また、困難な状況にある子ども支援についての能力強化研修を実施しました。
特に被害の大きかった佐賀県において、平時からつながりのある被災地域のパートナー団体から、子どもに特化した物品の支援が必要との情報を得て、セーブ・ザ・チルドレンが平時から準備をしている、衛生用品や防災用ホイッスル、文具などをセットにした緊急子ども用キットを、パートナー団体を通して被災地域の子どもたちに配布しました。