【東日本大震災緊急・復興支援】 5年間のありがとう!

未曾有の大災害であった東日本大震災から5年が経過しました。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは皆さまからのご支援のもと、震災直後から緊急支援を開始し、岩手・宮城・福島の3県で子どもたちの声を聴きながら復興支援を行ってきました。多岐にわたる活動でこれまでのべ約188万人に支援を届けることができました。この度、東日本大震災緊急・復興支援の5年間の活動報告書「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 東日本大震災緊急・復興支援事業5年間の軌跡~子どものために・子どもとともに~」が完成しましたので報告いたします。
たくさんのご支援ありがとうございます。

2016年からは、子どもや養育者への直接支援、啓発、政策提言を通じて、「子どもの貧困問題の解決」「子ども虐待の予防」に取り組みます。はじめの3年間は、東日本大震災復興支援事業を通じて構築された行政や地域とのパートナーシップをもとに東北地方沿岸部や関東圏を中心に、日本の子どもの生きる・育つ・守られる・参加する 「子どもの権利」の実現に努めていきます。今後とも日本を含めた世界の子どもあたたかいご支援をよろしくお願いいたします。

「東日本大震災緊急・復興支援 5年間の軌跡」

報告書「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 東日本大震災緊急・復興支援事業5年間の軌跡~子どものために・子どもとともに~」

 

私たちセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、すべての子どもが生きる・育つ・守られる・参加する「子どもの権利」を実現できるよう活動しています。震災直後から子どもの命が守られ、子どもが震災の影響から回復し、安心・安全に学び、遊び、育つ環境や機会が保障されること。さらに、子どもたちが復興・防災などにおいて画期的な変化を起こす主体者となり、復興の過程に、地域の一員である子どもたちの声が反映されること。それら2つを目指して東日本大震災緊急・復興支援事業を行ってまいりました。

 

この報告書は、2011年3月から2015年12月まで実施した緊急・復興支援事業の主な実績をご説明すると同時に、私たちが本事業を通じて学んだ知見や教訓を記録し、今後起こりうる災害時の子ども支援に活かされることを目的として、まとめられました。東日本大震災を契機に、災害時の緊急・復興支援のあり方は、様々な角度から検討が加えられています。しかしながら、緊急・復興支援における子どもの位置づけが、それらの枠組みで十分検討・反映されているとはいまだ言えません。私たちが約5ヶ年にわたり実施してきた本事業の経験が、今後起こりうる災害に際し、子どもの権利が保障されるために生かされることを切に望みます。

東日本大震災緊急・復興支援活動を通して得た学びと提言

8つの学び

 

■災害直後、緊急・復興支援のために多くの支援団体が現地に集中する中、各団体が組織の特性を軸とした立ち位置を見極め、役割を果たすことが肝要である。
■ 緊急・復興支援は学齢期の子どもたちの場合、学校生活の回復に焦点をおきがちだが、子どもたちの放課後や余暇の時間に着目した支援も不可欠である。
■ 子どもの権利基盤型プログラミングの視点は緊急・復興支援においても有用である。
■ 子どもの声にもとづく事業計画策定・実施・モニタリング・評価は、容易ではないが意義は大きい。
■ 緊急・復興支援においても、子ども参加の機会は保障されるべきである。
■ 地域のNPOを支援することが緊急・復興支援のインパクトを高めることにつながる。
■ 緊急・復興時においても子ども支援の現場でこそ、子どもの安心・安全に関わる取り組み強化が不可欠である。
■ 緊急・復興支援においては、事業実施期間中に評価の機会を設けることが事業の質を担保する。

⇒詳しくは報告書をご覧ください

 

8つの提言


<今後も起こりうる災害に備えて>

■  子どもが24時間守られる「子ども中心の防災」のための仕組みや体制づくりを、学校、家庭、地域の協力のもとに推進していきましょう。
■  学校に相当する形で学童保育においても、子どもの安心・安全を担保するための十分な防災に向けた対策を促進してください。
■  災害発生直後においては、子どもが災害から受ける影響に十分配慮し、子どもの視点にたった環境づくりや子どもの心に配慮した取り組みが、すべての場において必要です。
■ 緊急・復興時においても、子どもに関係する政策や施策、取り組みに関して、子どもは意見を表明し、社会に参加する主体として位置づけられ、そのような機会が提供されるべきです。
■ 災害時におけるNGO・NPOの役割を公的な防災計画などに明確に位置づけてください。

 

<東日本大震災の影響を受けた地域の子どもたちへの今後の支援に向けて>
■  より困難な状況にある子どもたちこそ、支援のニーズは今でも高く、そのような子どもたちを支援するには、支援者側への継続的な支えも必須です。
■  被災地域における子どもの虐待・ネグレクトの早期予防を進めるために、虐待に至る前の「グレーゾーン」にある養育者と子どもに焦点をあてた対応が求められています。
■  より包括的な子ども・子育て支援を実施するために、行政と地域NPOをはじめとする市民社会のパートナーシップを強化する必要があります。

⇒詳しくは報告書をご覧ください

■  外部評価報告書

 
報告書と同時に、株式会社国際開発アソシエイツによる評価報告書「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 東日大震災緊急・復興支援 最終評価報告書」も公開しました。

この評価は2015年末に、5年間の事業をふりかえり、事業成果を確認したうえで、関係者の方々へ広く説明責任を果たすことを目的で実施されました。セーブ・ザ・チルドレンが作成しました、「緊急・復興支援 5年間の軌跡」報告書に対して、こちらは外部評価者による客観的視点より実績の確認、成果の検証された結果が取りまとめられています。内外それぞれの視点から作成されました報告書、読み比べてみてください。