アドボカシー(公開日:2026.10.08)
【実施報告】子どもの権利、授業でどう伝える?ー教材体験・実践交流会

セーブ・ザ・チルドレンは、2026年8月22日「子どもの権利、授業でどう伝える?」をテーマに教材体験・実践交流会を実施しました。今回のイベントには、学校・教育関係者や子ども支援団体の職員など27人(オンライン:19人、対面:8人)が参加しました。
2022年に実施した、全国の小・中・高校など現職教員を対象としたアンケート調査によると、学校における子どもの権利を伝える取り組みについて、直近1年間で「特に何もしていない」という回答は約半数(47.0%)にのぼりました。また、子どもの権利教育を行う上で、「適切な教材がない」(35.7%)、「教員が多忙で授業を実施する準備ができない」(32.1%)といった課題も明らかになっています。こうした学校現場の状況をふまえ、セーブ・ザ・チルドレンは子どもの権利について学べるウェブサイト「こどものケンリ」でアクティビティ教材や動画・子どもの権利条約条文一覧などを公開しています。教材には、教員が授業準備にかける負担をできるだけ軽減できるような工夫も盛り込まれています。
イベント当日は、
・デモ授業を通した教材体験
・参加者の実践の工夫や課題を共有する交流会
を行いました。
1)デモ授業を通した教材体験

セーブ・ザ・チルドレンの職員による「子どもの権利の基本」の解説や、参加者同士の自己紹介の後、2種類の教材アクティビティを体験しました。1つ目の教材は、「『安心して話せるって?』」です。まず自分が安心して話せる人や場所を思い浮かべ、「どうしてその人や場所は安心して話せるのだろう?」という理由を考えます。それらを通し、安心して話せるために大切なことについてグループワークで考えていきます。子どもたちには「意見を聴かれる権利(第12条)」があり、意見を伝える上でも安心して話せる環境が重要であることを学びます。
参加者は自分の子ども時代を思い出しながら、児童・生徒になったつもりでアクテビティを体験しました。このアクティビティが、新年度など、学級がはじまる際に「安心して話せるクラスにする」ための話し合いや、子どもとの関わりについて考える教員や職員研修にも活用できるなど、今後の実践につながるヒントも共有されました。
2つ目の教材は、「あなたならどうする?ー子どもの権利を使ってみよう」です。自分たちの周囲にある課題を解決するための行動を起こそうとする子どもたちが主人公のストーリーを読み、自分も周りの人の権利も大切にするにはどうしたらよいかを考えるアクティビティです。今回は、「主人公は図書館の改装を希望しているが、改装時に図書館が閉鎖することに反対している人々がいる。反対している人たちは、自分たちの大切な居場所が閉まってしまうと困ると言っている」というストーリーを通して考えました。
参加者からは、「自分がすべてゆずるのでもなく、反対意見を無視するのでもなく、両方大切にするのは意外と難しい」「反対している人ともっと話したい。図書館のことではなく、もっと困っていることがあるのではないか」などさまざまな意見が出され、時間いっぱいまで話し合いが続きました。
2)参加者の実践の工夫や課題を共有する交流会
後半の実践交流会では、参加者がグループに分かれ、参加者それぞれが実践している子どもの権利教育や、権利を伝える上での難しさについて意見を交わしました。
ある小学校教員は、年度始めに子どもの権利について子どもたちに伝え、子どもたちが大切だと思う権利を条文から選び、それをもとに学級目標を作成する取り組みを紹介しました。さらに、子どもの権利を子どもたちに伝えるうえで重要なこととして、「現在の人権教育では、高齢者や障害のある方など他者の権利に焦点を当て、自分に何ができるかを子どもに考えさせることが多い。しかし、まずは自分自身の権利を学ぶこと、そして実際に子どもたちが尊重され、権利が守られる経験が大事だと思う。自分の権利が守られ、大切にされて初めて、他者の権利を大切にできるのではないか」といった声も共有されました。
子どもの権利を伝える難しさについて、ある教員からは、「子どもの権利教育が学習指導要領に明記されていないため、どの授業で扱うべきか悩ましいことや、教員や学校によって人権教育の取り組みに差が生じている」ことへの懸念が示されました。また、子ども支援団体の職員からは「保護者に『子どもの権利を守ってください』と伝えても受け入れられない」といったケースが紹介されました。これに対し、他の参加者からは、「保護者世代も子どもの権利について学ぶ機会が限られていたことが一因ではないか」との意見や、保護者を対象とした支援や子どもの権利啓発の必要性を指摘する声が上がりました。
今回の教材体験・実践交流会は、参加者の方々が教材の活用方法を具体的に知り、実践の課題や工夫について理解を深め、子どもの権利をどのように伝えていくかを考えるという、今後の実践につながる機会となりました。
セーブ・ザ・チルドレンは今後も、子どもの権利が社会のさまざまな場に広がるよう、引き続き活動を続けてまいります。
子どもの権利について考えるアクテビティにご関心のある方、またセーブ・ザ・チルドレンのスタッフと共に実施したい方は、ぜひ下記よりお問い合わせください。
●子どもの権利について学べるウェブサイト「こどものケンリ」
【お問い合わせ】
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン アドボカシー部 社会啓発チーム
E-mail:japan.advocacy@savethechildren.org
TEL: 03-6859-0015



