1.体罰としつけは何が違うの?

体罰としつけ、その違いは何でしょうか。

国のガイドライン*をもとにすると、体罰としつけは、それぞれ次の通り表されています。

  • 体罰とは、軽くても、苦痛や意図的な不快感をもたらす行為(罰)です。 
  • しつけとは、子ども自身を伸ばし、社会において自律できるよう、子どもをサポートする行為です。

*国のガイドラインとは、2020年2月に、厚生労働省が発表した『体罰等によらない子育てのために(案)』です。このガイドラインをもとに、もう少し詳しく体罰としつけについて読み解いていきましょう。

2019年6月の法改正で禁止された体罰は、しつけとどのように違うのでしょうか。また、同じく禁止された「子どもの監護及び教育に必要な範囲を超える行為」とはどのような行為なのでしょうか。法改正にともなって作成された厚生労働省ガイドラインの内容とともに見ていきます。

〇「親などによる体罰」とは

実は、法律では親などによる体罰の定義は明記されていません。

そこで、厚生労働省は有識者会議を重ね、今回禁止された体罰の定義や範囲、考え方などについてガイドラインとしてまとめ、2020年2月に『体罰等によらない子育てのために』として発表しました。※1

そこには、体罰としつけについて以下のように書かれています。

◇親には、子どもの利益のために監護・教育をする権利・義務があります。

このため、親は、子どもを養育し、教育するためのしつけをしますが、「理想の子どもに育てよう」、「将来困らないようにしっかりとしつけなくては」、「他人に迷惑をかけない子どもに育てなくては」などといった思いから、時には、しつけとして子どもに罰を与えようとすることもあるかもしれません。

◇しかし、たとえしつけのためだと親が思っても、身体に、何らかの苦痛を引き起こし、又は不快感を意図的にもたらす行為(罰)である場合は、どんなに軽いものであっても体罰に該当し、法律で禁止されます。…

 

◇しつけとは、子どもの人格や才能等を伸ばし、社会において自律した生活を送れるようにすること等の目的から、子どもをサポートして社会性を育む行為です。

子どもと向き合い、社会生活をしていく上で必要なことを、しっかりと教え伝えていくことも必要です。子どもにしつけをするときには、子どもの発達しつつある能力に合う方法で行う必要があり、体罰でおさえるしつけは、この目的に見合うものではなく、許されません。

どうすればよいのかを言葉や見本を示す等の本人が理解できる方法で伝える必要があります。

〇親を罰することが目的ではありません

ガイドラインには、今回の法改正による体罰禁止は親を追い込むことが目的ではないとはっきりと書かれています。

そして、本来の目的は、子育てを社会全体で応援・サポートし、

体罰によらない子育てを社会全体で推進することであると説明しています。

また、今回のガイドラインの体罰の定義は、国連子どもの権利委員会が示した基準※2を参考にしています。国際的なスタンダードである定義も、ぜひ読んでみてください。

【資料】
※1厚生労働省 体罰等によらない子育ての推進に関する検討会”体罰等によらない子育てのために“. 2020
※2 “子どもの権利委員会 一般的意見8号(2006年)体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利(とくに第19条、第28条2項および第37条)”平野祐二訳 http://childrights.world.coocan.jp/crccommittee/generalcomment/genecom8.htm (参照:2019-10-25)