2.体罰禁止のポイント

今回の法改正では、児童福祉法児童虐待の防止等に関する法律において体罰禁止が明記されました。この法改正は体罰をした人を罰することではなく、体罰によらない子育てを社会全体で推進することを目的としたものです。

それでは、それぞれの条文でどのような内容の禁止になっているのでしょうか。

●児童虐待の防止等に関する法律(太字部分が今回の改正箇所)
14条1項
児童の親権を行う者は、児童のしつけに際して、体罰を加えることその他民法第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲を超える行為により当該児童を懲戒してはならず、当該児童の親権の適切な行使に配慮しなければならない。

【解説】
児童虐待防止法14条は、親権者※1が対象です。親権者が子どもをしつけるとき、次の2つの行為をしてはいけません、と書かれています。

  • 体罰をすること
    親はしつけのために体罰をしてはいけない、と明記されました。
  • 民法の820条に書いてある監護と教育に必要な範囲を超えるような行為。
    民法820条は、親権者が子どもの利益のために監護及び教育を行う権利を、また民法822条ではその監護と教育に必要な範囲の中で子を懲戒すること(懲戒権)を認めています。

    今回の改正では、子どもの監護と教育に必要な範囲を超えるような行為(懲戒権が認められる範囲を超えた行為)もしてはいけない、となりました。

●児童福祉法(太字部分が今回の改正箇所)
第33条の2の②
児童相談所長は、一時保護が行われた児童で親権を行う者又は未成年後見人のあるものについても、監護、教育及び懲戒に関し、その児童の福祉のため必要な措置を取ることができる。ただし、体罰を加えることはできない。

第47条③
児童福祉施設の長、その住居において養育を行う第6条の3第8項に規定する厚生労働省令で定める者又は里親は、入所中又は受託中の児童等で親権を行う者又は未成年後見人のあるものについても、監護、教育、及び懲戒に関し、その児童等の福祉のための必要な措置をとることができる。ただし、体罰を加えることはできない。

【解説】
児童福祉法の第33条の2第2項では、対象が児童相談所長、児童福祉法第47条3項の条文では、児童福祉施設※2(保育所、子ども家庭センター、児童養護施設 など)の長やファミリーホームの養育者、里親が対象です。対象の子どもに、社会で必要なサポートやケアについて、その子自身の福祉のため、必要な対応ができる、けれども、体罰をしてはいけない、となっています 。

なお 、そもそも今回の法改正で、体罰が禁止された親以外の者による体罰は当然に許されない行為であるとされています。

禁止された体罰、そして用いるべきでない心を傷つける行為とは?※3 

〇たとえしつけのためだと親が思っても、身体に何らかの苦痛を引き起こし、又は不快感を意図的にもたらす行為(罰)である場合は、どんなに軽いものであっても体罰に該当し、法律で禁止されます。 

〇体罰以外の子どもの心を傷つける行為とは、怒鳴りつけたり、辱めたり、笑いものにしたり、けなしたりすること、また子どもの心を傷つける暴言等を指します。

これらの行為は、子どもの健やかな成長・発達に悪影響を与える可能性があります。

体罰と心を傷つける行為の例:
・ 口で注意しても聞かないので手をつねる
・ 食べ物を投げて遊んでいたので、押し入れに閉じ込める
・ 「そんなバカな子に育てた覚えはない」など、子どもの人格を否定するようなことを言う
・ 「お兄ちゃんは、もっと上手にできたのに、お前は下手くそだね~。」ときょうだいを引き合いにしてダメ出しをする

【参考資料】
※1 親権者:“嫡出子の父母が婚姻中であるときは、親権者は父母である。養親の親権者は養父母であり、実父母に親権はない。”. “実用版法律用語の基礎知識”. 自由国民社, 1987, p.57
※2 児童福祉施設:児童福祉法7条では「「この法律で、児童福祉施設とは、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童厚生施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童自立支援施設及び児童家庭支援センターとする。」と規定されている。
※3 厚生労働省 体罰等によらない子育ての推進に関する検討会”体罰等によらない子育てにために”.2020