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(公開日:2026.01.06)
対外援助縮小により、より厳しい状況に置かれた子どもたちー2026年を未来の持続可能な人道支援の姿を描き直す年に

セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナルCEO/事務局長
インゲル・アッシン

2026年を迎えた今、私たちが直視すべき現実があります。それは、世界中の子どもたちが、かつてないほど深刻な状況に直面している一方で、子どもたちの現在と未来を守るための人道支援の仕組みも、過去数十年で最大級の試練にさらされているということです。

2025年は、世界の人道・開発支援に深刻な分断が生じた年でした。
1月、米国政府が突然対外援助を停止したことで、数十億ドルの資金が一夜にして消えました。必要不可欠な事業であっても中断され、事務所は閉鎖され、何百万人もの人々が食料、医療、教育、そして保護を受ける手段を突然失いました。何十年もの間、地域社会の命綱となっていた支援が一夜にして危機にさらされ、その代償を最も大きく払ったのは、いつものように子どもたちでした。

国際NGOにとってこの衝撃はすぐに大きな衝撃となって現れました。セーブ・ザ・チルドレンでは、105年の歴史の中でも最も厳しい決断を迫られました。私たちは国別事務所を閉鎖し、数千人規模のスタッフを削減し、命を守る活動を縮小せざるを得ませんでした。こうした削減の影響を直ちに受ける人々は約1,150万人、そのうち670万人が子どもであると推定されます。さらに、多くの人々が長期的な影響を受けることになります。

支援の打ち切りは、世界の子どもたちが紛争や避難、気候変動など深刻な課題に直面し、数十年にわたる進展が後退する危機の最中に行われました。

2025年は、世界の子どもの5人に1人が紛争下に暮らし、記録的な人数の子どもたちが殺害され、負傷し、性暴力や誘拐の被害にあっています。現在、世界で避難生活を余儀なくされている子どもは約5,000万人にのぼります。また、世界の子どもの人口の約半数に及ぶ約11億2,000万人が栄養バランスの取れた食事をとれていません。さらに、約2億7,200万人の子どもが学校に通えていません。これらは衝撃的な事実です。

2025年の危機は、世界の援助システムがごく少数の政府ドナーに依存していること、また地政学的情勢が変わればそれらがいかに脆弱であるかを浮き彫りにし、抜本的な変革の必要性を問う世界的な議論を引き起こしました。

しかし、この危機の中で、希望につながる動きが生まれました。 

危機の中でも、セーブ・ザ・チルドレンは前進しました。約4分の3のプログラムを継続し、世界で最も脆弱な立場に置かれた子どもたちを守るという揺るぎない使命感を胸に、スタッフ、パートナー、そして地域社会が力を尽くし、活動を支え続けました。

人権や子どもの権利に対する反発があるなかで、ボスニア・ヘルツェゴビナとタイでは体罰が禁止され、ボリビアでは児童婚を違法とする法律と、子どものオンラインでの安全を確保するためのデジタル保護法が制定されました。これらは、2025年に起きた、子どもたちのための進歩的な変化の一例です。

2025年、私たちは、保健、教育、子どもの保護、保健・栄養など命を守る活動を通じて、710万人の子どもを含む1,390万人に人道支援を届けました。

世界の紛争地で、私たちは重要な役割を果たしています。パレスチナ・ガザ地区とヨルダン川西岸地区では、26ヶ所の仮設学習スペースを設置し、地域と連携して、6万人以上の子どもに遊びを取り入れた学習の機会や、精神保健・心理社会的支援、そして生活必需品を提供しました。
今回の危機は、私たちに新たな可能性を示してくれました。それは、変化に適応し、革新を進め、未来の持続可能な人道支援の姿を描き直す機会です。 

わずか1年で、人道支援の世界は急速に変化しています。2026年は、回復ではなく再構築の年です。危機対応から脱却し、より効率的で地域に根ざした持続可能なモデルづくりへと明確に方向転換しています。
 
人道支援セクターは今、根本的な問いに直面しています。政治的リスクから活動をどう守るのか。真に多様化された資金調達の仕組みとは何か。そして、危機の影響を最も受ける人々が、対応策を決定する力を持つためにはどうすればよいのか。

資金の危機は、これまで遅れていた変革を一気に加速させました。今、地域主導の人道支援への流れが強まっています。意思決定と資源を、グローバルな拠点から地域社会へ移す動きです。今年、セーブ・ザ・チルドレンは、現地組織が直接資金にアクセスできるよう、国連人道問題調整事務所(UN-OCHA)の国別プール基金から撤退するという決断をしました。(補足:従来は、規模の大きな団体が本資金の配分先の多くを占め、小規模な現地団体が、機会を活用しにくいという課題がありました。)これは真の現地化(ローカライゼーション)への一歩であり、他の国際NGOにもこの動きが広がることを期待しています。
 
また、イノベーションにもさらに注力しています。デジタル技術やデータ、地域主導のデザインを活用し、支援をより効果的で透明性の高いものにする動きです。こうした変化は単なる業務改善にとどまらず、気候危機、紛争、避難など複合的な危機に直面する世界で、『人道支援』の意味そのものを問い直しています。
 
世界がどんなに混乱していても、子どもたちは学びたい、遊びたいという意欲を失いません。その姿は、私たちの活動の意義と、変化に適応する力の重要性を再認識させてくれます。


2025年2月にパレスチナ・ガザ地区を訪問したインゲル・アッシン(後方左から3番目)


私は毎年、現場を訪れ、子どもたちや家族、そして社会を変えようとする子どもの活動家と直接対話しています。子どもたちは変化を起こす力を持っています。子どもたちの声が彼らが暮らす地域から意思決定の場まで届き、反映されることが不可欠です。なぜなら、それこそが子どもたちの本当のニーズ、希望、夢に応える方法だからです。
 
2025年、パレスチナ・ガザ地区で、私は子どもたちが毎日直面している恐ろしい現実を目の当たりにしました。戦争はすでに2年以上続き、ガザ地区のほとんどが瓦礫と化しています。医療クリニックには栄養不良に陥っている子どもたちがいました。また、親と天国で再会するために死を望む声があることも聞きました。死を望むほどの恐怖の中で生きるべき子どもなど、いてはならないのです。彼らは子どもであり、この現実と現実を生きる子どもたちの声を届けることが私たちの役目だと強く思っています。
 
カタールで開催された世界社会開発サミットに参加した際、私はレバノンから参加した子ども活動家たちと意見を交わしました。中でも16歳のララさんは、社会における女子の権利が軽視されていることについて強い信念をもって語り、教育を受ける権利を守り、結婚のために学校をやめさせられないようにしたいと訴えました。彼女たちの声を国際社会に届けることが、私たちの責務です。

2025年が従来の支援モデルの脆弱性を露呈したのであれば、2026年は、より説明責任を果たし、より包摂性が高く、過去での姿ではなく、現実の世界に適応できる、より良い仕組みを築く年です。

セーブ・ザ・チルドレン創設者エグランタイン・ジェブは1919年にこう述べています。
「私たち人類は、与えうる最善を、子どもたちに引き継がなければなりません」。この言葉は、世紀を経た今もなお、私たちの活動の根幹にあります。世界が急速に変化する中で、私たちに求められているのは、この約束を守り続けるために、常に、どこであっても、子どもを最優先にできるシステムを再構築することです。


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