アドボカシー(公開日:2025.12.01)
【国際障害者デー】 インクルーシブな社会を目指した事業・組織運営を進める
いま、世界では約13億人が何かしらの障害があって生きています(WHO、2022年)[1]。これは総人口の約16%に当たる推計です。日本国内でも、2025年の「障害者白書」によると1,152万8,000人、人口の約9.3%が障害者とされています[2]。この中には、身体・知的・精神の側面で複数の障害のある人たちも含まれている一方、診断がついていないために統計に含まれていない人たちもいます。
世界では6人に1人、日本では10人に1人近くが障害者であると聞いて、皆さんはどのように受けとめたでしょうか。「思ったよりも多い」あるいは「少ない」。そう感じたのはなぜでしょう。
障害については、従来は『医学モデル』といって、障害を個人の問題と捉え、その対処や社会への適応を当事者個人に求める考え方が主流でした。現在では、2001年に国際保健機関(WHO)が採択した「国際生活機能分類(ICF)」に則して、「健康状態」、「心身機能・身体構造」、「活動」、「参加」、「背景因子(個人・環境)」から理解されています[3]。ここで指摘されているのは、心身の機能障害がある時に、社会の側に生活・参加を阻害するバリア(障壁)があることで障害が生じる という考え方です。つまり、障害は個人と社会の相互作用によるものと理解できるでしょう。
Save the Children International "Disability Inclusion Policy"(2021年)より作成
例えば社会参加の側面から考えた時、社会の中で障害者の意見表明の機会が保障されていたり、障害の有無・程度の多様な人たちが共に学び・働く環境が整えられていれば、個人の心身の状態は同じでも、生活や社会参加における制限・制約は変わってくるはずです。
インクルーシブな活動・組織運営を進めています
セーブ・ザ・チルドレンが活動を通じて出会う人たちの中にも、障害のある人・子どもたちは多くいます。障害のある子どもの教育や社会参加に特化した事業もありますが、そうでなくてもすべての活動において、「多様な人たちがいる」という前提で設計しインクルーシブな状態を常に目指す必要があると考えています。
そこでセーブ・ザ・チルドレンでは、障害について理解を深め、日々の活動や組織運営に取り入れていくため、部署横断型の「障害インクルージョン・タスクチーム」を立ち上げました[4]。各部署のメンバーから構成されるタスクチームが主導して、例えば今年2025年から全面的に義務化されている合理的配慮も念頭に、「障害インクルージョン」について理解を深める勉強会を開いたり、各部署の好事例や課題を持ち寄って話し合い、日常業務を改善するために役立てたりしています。
また、イベントなどを開催する時に、障害のある人も参加しやすい環境づくりができているかを自主的に確認するための「障害者の安全・安心な参加のための確認ポイント」というチェックリストを作成し、実践を始めているところです。このチェックリストは、2024年にセーブ・ザ・チルドレンが事務局を務めた「子どもの権利条約フォーラム 東京2024」の実行委員会でも活用されています。
「子どもの権利条約」では、すべての子どもの差別されない権利(第3条)や意見を聴かれる権利(第12条)と並び、障害のある子どもの権利(第23条)も規定されています。2022年には、国連・子どもの権利委員会と障害者権利委員会が共同声明を発表し、障害のある子どもへの適切な情報提供と意見を聴かれる機会の確保を求めました[5]。
例えば日本国内における、障害のある子ども・その養育者が対象となる障害児福祉手当や特別児童扶養手当、特別支援教育就学奨励費の対象者や所得制限をめぐる議論など、生活・教育・社会参加に直結する課題を議論する際にも、障害のある子どもや保護者、周りの支える人たちなど当事者の声が活かされることが非常に重要です。
セーブ・ザ・チルドレンでは、国内外の現場でインクルーシブな活動を目指すとともに、自分たち自身や組織運営がより良く変化することを目指して、取り組みを続けたいと考えています。
執筆者:セーブ・ザ・チルドレン アドボカシー部
[1] WHO ”Global report onhealth equity for persons with disabilities.”(2022年
[2] 内閣府 「令和7年版 障害者白書 (全体版)」
[3] WHO “International Classification of Functioning, Disability and Health.” 日本語訳は、厚労省「国際生活機能分類−国際障害分類改訂版−」(日本語版) の厚生労働省ホームページ掲載について を参照。
[4] 英語では Disability Inclusion といいます。2025年からは、障害に留まらずさまざまな属性を念頭に取り組むため、「Diversity, Equality and Inclusionタスクチーム」として活動中です。
[5] 国連 "Statement by the Committee on the Rights of Persons with Disabilities."(2022年)



