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日本/地域NPO支援
(公開日:2025.06.19)

子ども・地域おうえんファンド 助成先団体紹介(2)

 
セーブ・ザ・チルドレンは、日本国内で子ども支援活動を行う地域の非営利団体(NPO)を対象とした助成プログラム「子ども・地域おうえんファンド」(以下、おうえんファンド)を実施しています。

※おうえんファンドについて詳しくはこちら

第1回助成先団体は、2025年9月末日をもって助成期間が終了します。今回はこのうち2団体について、2023年1月から現在までの事業の様子を紹介します。

※助成先団体紹介(1)はこちら


■特定非営利活動法人 TEDIC (事業実施地域:宮城県石巻市)
※団体について詳しくはこちら

事業名:子どもがエンパワーされ、そのプロセスで大人もエンパワーされる居場所づくり事業



TEDICは、「心のひとりぼっちのいない街、石巻」を目指して活動をしてきました。
この事業は、居場所づくりを通じて、子どもと大人、どちらのエンパワー(注)も目指している点が大きな特徴です。

子どもたちが居場所を訪れ仲間やスタッフとともに過ごす中で、自分自身の可能性を信じ、地域の一員であると実感できることを目標にしています。
また子どもたちを支えるスタッフや保護者、地域住民においては、居場所事業やそこに参加する子どもたちに関わることで、「子どもは一人の主体である」という意識を自然に持てるようになることを目指しています。

おうえんファンドの助成対象である居場所事業では、「子どもの自己選択応援」に取り組んでいます。
子どもたちから上がった声を尊重し、子どもたち自身がやりたいことを考え、計画し、実行するサイクルを通じて、クリスマス芋煮会、スケート、いちご狩りなどを実現してきました。さまざまな生活状況にある子どもたちが、自分たちの活動を選び行動に移す力を発揮するようになり、互いの仲を深め支え合う姿も見られるようになってきました。

スタッフからは、「どこかで子どもたちだけでは難しいだろう、と思っていたことがあった。でも自分たちで考えられるし、実施もできる。反省会も次にいかせるような内容だった」との声も上がっていました。

スタッフたちも、研修などを通じて「エンパワーとは何か?」と考え、議論することを絶えず続けています。また、スタッフと子どもたちがともに、ほかのNPOの居場所事業を視察し、そこで得た学びや気づきを実際の活動に取り入れる取り組みも行っています。
団体スタッフが、子どもを力のある存在だと信じる姿勢を持ち、「子ども参加」に高い意欲を持って取り組んでいる様子が伝わってきます。

さらに、地域の大人も団体の活動に関心を持ちはじめ、子どもたちと関わる機会も増えてきました。
月に1回の「お茶っこ」(集会)開催や、町内会との日常的な関わりなどを進めることで、「地域の人が子どもを応援してくれる、見守ってくれる」という目標に近づき始めました。居場所に訪れる子どもたちからも、「自分らしく過ごせている」といった声が聴かれています。

それは、子どもたちが自分の居場所や他者との関係性を育める、温かく自然なつながりのある環境を、団体が丁寧に育ててきた結果にほかなりません。
これからも、子どもを中心に据えながら、子どもたちが地域の一員になっていくための種まきは続いていきます。

(注)エンパワー:人が本来持っている力を引き出すこと

■一般社団法人 反貧困ネットワーク(事業実施地域:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県、栃木県、茨城県)
※団体について詳しくはこちら

事業名:仮放免高校生サポート・プロジェクト―私たちはあなたたちを見捨てない



反貧困ネットワークは、貧困問題を可視化し、社会的・政治的に解決することを目的に立ち上げた団体です。

在留資格がない外国人は、仮放免許可を受けて地域社会で生活するケースがありますが、公的支援を利用できないため貧困問題の解決が非常に困難です。また、その子どもたちも、義務教育中は就学援助を受けられるものの、中学校卒業後はあらゆる公的支援が受けられない状況にあります。
「権利を持つ権利」すらない状態にあり、自己肯定感が低くなりがちで、ストレスなどから健康問題を抱えている子どもも少なくありません。

また、そうした悩みを先生や友だちに話しにくいことも子どもたちを苦しめています。
そこで、経済的困難の解消とともに、高校生が相談しやすい大学生による継続的な面談などの支援を実現したいという想いから、「仮放免高校生サポート・プロジェクト」を始めました。

1つ目の支援の柱は経済的支援です。
仮放免の大人は就労が禁止されており、その多くが民間の支援によって生活費を工面していますが、子どもの高校進学費や学用品費などまで賄うことは難しい状況です。これまで子どもたちが高校進学を断念したり、学費滞納で中退したりするケースがあったことから、団体では奨学金の支給を行っています。
おうえんファンドでは、子どもたちの学用品などの購入費用部分を助成対象としています。

加えて、大学生チューターが継続的に相談にのることを2つ目の柱としています。
チューターが勉強や進学の相談にのりながら、在留資格に起因する悩みを傾聴することで、高校生との信頼関係を培ってきました。

高校生から「自分を助けてくれる人がいると感じることができ、安心できます。また、自分のまわりとはあまりできない将来の話が楽しいです」と声が上がっているように、精神的な重荷の軽減や、進路への展望につながる支援となっています。
このチューターの活動費も、おうえんファンドの助成によるものです。

一方、このような重要な事業を続けるために、団体では事務局を支える人材も必要としていました。
おうえんファンドでは、具体的にどのような人材が必要なのか整理する作業を支援しました。その後、新しく加わったスタッフを含む事務局メンバーとともに、会計業務フローの整理なども行いました。これにより、助成終了後も事業を円滑に続けるために欠かせない、事務面の基礎が整えられました。

事業で関わった高校生からは、「こんな状況では社会に尽くせない、こんな立場にいる私を助けたいと思う人なんているわけないと、正直私はそのように思っていました。(中略)仮放免の私たちを助けてくれる人がいると知った時、安心し、感動しました」などの声も届いています。

子どもを誰ひとり取り残さない、という団体の強い意志が形になってきています。

(国内事業部 菅野諒子)

 

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