活動の紹介

子どもを暴力、虐待、搾取から守るための取り組みや、安心・安全に成長できる環境づくりを、行政や地域社会、保護者、子どもたちなどさまざまなステークホルダーとともに推進します。

5分に1人、世界では子どもたちが暴力の被害を受け、命を失っています。セーブ・ザ・チルドレンは、暴力や虐待、搾取から子どもたちを守り、被害を受けた子どもたちへの支援を実施したほか、体罰禁止に向けた働きかけを推進し、2021年は2,383,606人の子どもたちに支援を届けました。


子どもの保護

主な活動 (2021年度年次報告書より)

海外

【バングラデシュ:子どもの保護システム強化事業】

2013年に子どもを暴力や虐待などから守るための「子ども法」が制定されましたが、現在に至るまで十分に運用がなされているとは言えません。そこで地域住民で構成される子どもグループや子どもの保護委員会を設立し、これら地域グループの活動を通じて、子どもをあらゆる暴力から守る(子どもの保護)に関する課題や支援について啓発活動を行いました。子どもの保護委員会は地域で課題を抱える子どもの特定を行い、支援を届ける役割を担っていきます。

また、子どもの保護を含む社会福祉を担当している中央省庁と行政の能力強化のための活動内容について合意しました。この合意のもと、行政職員や子どもの保護関連機関の能力強化のための取り組みを開始しました。今後も地域住民、行政とともに持続可能な子どもの保護システムが構築されるよう支援を行っていきます。

バングラデシュ子どもの保健事業風景

【ヨルダン精神保健・心理社会的支援】

新型コロナウイルス感染症の拡大や長引くシリア危機の影響を受け、子どもへの暴力や虐待、学校閉鎖による子どもへの心理社会面での負の影響、保健医療ケアを受けられない難民やホストコミュニティの子どもたちの増加といった課題が顕著になっています。このような状況に対応するため、地域の人たちが、必要に応じて子どもたちを適切な精神保健・心理社会的支援につなぐことができるよう、感染症拡大下のヨルダンの状況に適した子どものための心理的応急処置を策定し、保健省・教育省内でファシリテーターを養成しました。

また、ヨルダン全土の地域保健、学校関係者を対象とした研修を600人以上に実施し、子どものための心理的応急処置がヨルダンにおいて発展していくための基盤を整えました。

ヨルダン事業風景

【モンゴル:子ども保護制度の強化および定着支援】

モンゴルでは、子どもを虐待などから守るための法律はあるものの、その運用体制が十分に整っているとは言えません。この課題解決のために、業務従事者の能力強化、親や養育者への子育て支援、啓発活動、関係機関の連携強化に取り組みました。業務従事者の能力強化は、各地方自治体に設置されている、子ども虐待の対応を担う「子ども保護専門家チーム」への定期的な指導・助言と、同専門家チームを含む行政職員に対する、「体罰等によらない子育て」プログラムの指導者育成研修の実施を通して行いました。
また、同研修を終えて指導者となった行政職員が、地域の保護者や養育者に対して、体罰等によらない子育てプログラムを提供しました。

啓発活動では、新聞・テレビ・SNSを活用し、子どもの権利や子ども保護専門家チームの役割などの周知に努めました。さらに、関係機関を集めた会議の場を設定し、関係者間の連携強化にも取り組みました。

モンゴル子どもの保健事業風景

【中国:社会全体で子どもを暴力から守るために】

国内各地からの移民が多い貴州省貴陽市では、住民登録がなく十分な社会福祉サービスが受けられない移民の子どもがいます。また、子どもたちをあらゆる暴力から守る地域の子どもの保護サービスも十分ではありません。

事業では、移民の子どもたちが虐待や暴力から守られ、これらの問題が予防されるよう、地域社会施設における「こどもひろば」の整備や、「こどもひろば」における文化・スポーツ活動の提供、施設職員やソーシャルワーカーの子どもの保護に関する能力強化を行いました。
さらに、子どもや保護者に対し、子どもの権利や子どもの保護に関するワークショップ、体罰等によらない子育ての普及を目指した指導者研修を実施しました。加えて、貴州大学と協働で、地域のソーシャルワーカーの能力強化のための研修も実施しました。

中国保健事業風景

【モンゴル:女子を対象とした暴力や搾取からの保護】

新型コロナウイルス感染症対策による自宅待機や生活困窮などの影響で、多くの女性や少女が家庭内暴力などの被害に遭っています。
首都に暮らす低所得層の12歳から18歳の少女を対象に、増加傾向にある暴力や搾取のリスク、被害を防ぐことを目的に、保健、教育、また保護サービスの拡充と、ピアサポート(友だち同士のサポート)の促進を目指しています。これまでに地方自治体で組織されている多職種連携チームの能力強化などを通して、各関係機関と少女を暴力などの精神的心理的な被害から守れるかを協議してきました。

また、暴力の被害者支援を専門とする現地NGOと連携し、学校現場での生徒のセルフケアとピアサポート体制の構築に向け、協議を開始しました。加えてSNSなどを活用したキャンペーンも実施し、新型コロナ下における女子の暴力に遭うリスク軽減に向けた啓発活動の準備を行いました。

モンゴル女子保護支援事業風景

日本

子ども虐待の予防、子どもの権利推進

【ポジティブな子育ての普及に向けた啓発活動】

2020年12月に開設した、特設サイト「おやこのミカタ」のコンテンツ更新を継続して行い、ポジティブな子育てのヒントを社会に広く伝えました。同サイトは、報道機関や行政による紹介などを通じて広く拡散され、2021年は閲覧数が22万回を超えました。また、チャリティマッチなど企業との連携イベントやSNSキャンペーン、オンラインセミナー、講座、啓発用の動画制作などを通して、体罰等によらない子育ての普及を行いました。

国内PHP事業

【子どもの声を聴き、子どもの権利推進のための政策提言】

体罰禁止を盛り込んだ改正法施行から1年が経過した機会に、体罰等についての大人と子どもの意識・実態調査を実施し、その結果を基に、子育て支援の予算拡充などを厚生労働省や国会議員に提言しました。また、「こども家庭庁」の検討に際して、同庁が子どもの権利基盤の行政機関となるように、院内集会や、子どもと省庁・国会議員との対話イベントの実施など、提言活動を行いました。また、子どもに関する新たな省庁・法律に関する子どもの意見を聴くために、子どもアンケートを実施し、集まった約3,000人の子どもたちの声を省庁・国会議員に届け、国連子どもの権利条約に則った子どもに関する基本法の制定を訴えました。

【災害時における精神保健・心理社会的支援】

子どもの保護・支援を担う支援者、組織、自治体などに対し、災害など緊急時の子どもに特化した精神保健・心理社会的支援として、「子どものための心理的応急処置」研修を、みやぎ心のケアセンターなどと連携し全国で普及しました。放課後児童クラブ支援員、児童館職員、保育士、教員、親や養育者、NPO、災害医療支援関係者、自治体関係者など、全国で2,410人が受講しました。

国内PHP事業

あなたのご支援が子どもたちの未来を支えます

もっと見る

月々1500円から、自分に合った金額で子どもの支援ができます。
定期的に年次報告書や会報誌をお送りしています。

1回から無理なくご支援いただけます。

PAGE TOP