日本/子どもの貧困問題解決(公開日:2024.12.04)
「ひとり親でも働きやすい環境を」子どもの食 応援ボックスを受け取った保護者の声
セーブ・ザ・チルドレンは、2020年より、夏休みなどの長期休暇中の子どもたちの食の状況改善を目的として、経済的に困難な状況にある家庭に食料品などを提供する「子どもの食 応援ボックス」事業を行ってきました。今回、2024年「子どもの食 応援ボックス」を利用した世帯の保護者に、「子どもの食 応援ボックス」を利用した感想や、現在の状況などについて話を聞きました。
※お名前は仮名、写真はイメージ。
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「切り詰めて生活することが続いています」(中国地方在住・タナカさん※)
タナカさんは、ひとり親家庭の母親として小学生、中学生、高校生の子ども3人を育てています。
現在は、保育士の資格を持ち、子どもに関わる仕事をしています。
食の応援ボックスを利用した感想について、
「全部役立っているのですが、一番はお米が助かります。後は、レトルト食品も日持ちするから安心感があります。お菓子は子どもたちがすごく喜ぶので、家庭が明るくなって嬉しいです」と話します。
タナカさんは、2022年から「子どもの食 応援ボックス」を継続的に利用しています。
利用当初と現在を比べると、生活状況はさらに厳しくなっていると言います。
「物価高が進んでいますよね。お米、主食を用意できないと思う頻度が増えました。魚も高くて、魚を(食卓に)だした日には、魚以外に何かおかずをだすのは大変です。私のおかずを作れない日もあります。切り詰めて生活することが続いています」
特に、2024年夏頃から生じていた米の価格高騰も厳しい状況に追い打ちをかけています。
「高校生の子どものお弁当にはどうしてもお米が必要なので、お米は最低限買います。ただ、お米を買うと3,000円以上もするので、そうめん、焼きそば、うどんなど麺類でしのぐことも多いです」
■「ひとり親だと仕事を探すのが大変」
ひとり親家庭の場合、子どもを一人で育てていることから、雇用先が見つからなかったり、短時間の労働にならざるを得ない場合が多く、十分な収入が得られない傾向があります。
タナカさんは、子どもが小さくても、保護者が働きやすい環境を整備してほしいと話します。
「ひとり親で、私は自分の親もいないので、まず雇ってくれるところが少なかったです。子どもが病気になった時に休ませてもらえるか聞くと、やっぱり雇ってもらえなくて」
「私は、これまで工場、コンビニ、事務の仕事をしてきました。工場は代わりがきくような仕事で、コンビニは家族経営で、家庭の事情をよくわかってくれたので、休暇の取得には融通が利きました。事務の仕事は事務員が一人だったので、休んでも、後から自分で処理すれば問題なかったです。私の場合は、たまたま子どもの状況により休みが取りやすい職場に恵まれましたが、働ける場所を探すのは苦労しました」
子育てをしながらなんとか仕事を両立してきたと話すタナカさんですが、生活を維持していくための十分な収入を得ることは難しいと感じています。
「事務員の時は途中から正社員になりましたが、給料が15万円いかないくらいだったので、生活は厳しかったですね。コンビニと工場で働いていた時は、パートで、ボーナスもなかったので、収入は、事務員の時よりも低かったです」
タナカさんは、子どもがいる親も働きやすいように子どもの預け先の拡充を訴えます。
「子どもの預け先がない親でも雇ってもらえるようなシステムを作ってほしい。病児保育とか私が住んでいる地域にはないんですよ。車をしばらく走らせないと行けない。病児保育や一時預かりの数を増やしてほしい。一時預かりの料金も安くして使いやすくしてほしい」
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厚生労働省によると、母子世帯の母の 86.3 %、父子世帯の父の88.1 %が働いており、就労率は高いですが、母子世帯の場合は「正規の職員・従業員」が48.8%、「パート・アルバイト等」も 38.8 %と*1、非正規雇用者の割合が高くなっています。
また、令和2年(2020年)の母子世帯の母の平均年間収入は272万円*2である一方、子育て世帯の平均所得は813.5万円となっており*3、母子世帯の収入の低さが際立っています。
タナカさんのお話からは、働きたくても働ける先が見つかりにくい、働けたとしても十分な収入が得られないことをお聞きしましたが、子どもの貧困問題解決のためには、子育てをしながらでも働きやすい環境を整備し、十分な収入が得られるような対策が必要です。
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セーブ・ザ・チルドレンでは、こうしたインタビューやアンケート結果から把握できたことをもとに政府や自治体による子どもの貧困対策が加速するよう、経済的支援の充実などを訴えていきます。
セーブ・ザ・チルドレンは、「子どもの食 応援ボックス」以外にも、子どもの貧困問題解決に向けさまざまな取り組みを行っています。活動の最新情報は、随時こちらのページでお伝えしています。ぜひご覧ください。
(報告:国内事業部 伊藤)