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バングラデシュ
(公開日:2025.03.24)

【バングラデシュ】食料支援額の削減が迫るなか、世界最大の難民居住地に暮らすロヒンギャ難民の家族は危機的状況に

 

子どもたちにご飯を食べさせているロヒンギャ難民女性 

3児の父であるアミールさん(39歳)は、バングラデシュのコックスバザール県に位置するロヒンギャ難民キャンプで4月に食料支援額が削減されれば、家族の生き残りを賭けて危険な船旅に子どもたちを送り出すなど、絶望的な決断を下すしか他に手がないのではないかと危惧しています。

食料支援額削減の実施まであと数週間しかないため、キャンプでは悲観的な空気が広がっていると、複数の家族はセーブ・ザ・チルドレンに話します。

「収入源のない人々は精神的なプレッシャーが増し、それが病気にもつながるでしょう。貧困にあえぐ多くの家族が娘を人身売買業者に引き渡すため、キャンプ内で人身売買が増えるかもしれません。」

「今、貧困にあえぐ家庭は、10代の息子をキャンプの外に働きに出そうとするでしょう。職探しのために海を渡ってマレーシアへ向かうケースも増えるかもしれません。」


ロヒンギャ難民の子ども    

ロヒンギャ難民への支援は、深刻な資金不足に直面しています。緊急に新たな資金調達が叶わない限り、コックスバザールの難民キャンプに住むロヒンギャ難民への毎月の食料支援額は、4月から1人当たり1ヶ月12.50米ドルから6.00米ドルに半減します。難民にとって重要な祝祭であるラマダン明けのイードを祝う準備をちょうど行っている時期に難局に立たされるであろうと、国連世界食糧計画(WFP)が発表しています1

コックスバザールのキャンプには、50万人以上の子どもを含む約100万人が暮らしています。5歳未満の子どもの15%以上が栄養不良に陥っており、この数字は緊急対応が迫られる境目となる値であると、ユニセフは今月初めに警告しています2

昨年、7,800人以上のロヒンギャ難民が、現状から逃れるために危険な船旅に出ており、その数は2023年と比較して80%増加しています3 。2024年にバングラデシュとミャンマーからボートで出国したロヒンギャ難民の半数弱は子どもたちであり、その数は増加の一途をたどっています。



インドネシアまで渡ったロヒンギャ難民の子どもたちが壁に描いたボートの絵 

危険な海の旅を試みる難民たちは、しばしば人身売買業者のなすがままにされ、海上で虐待を受ける危険にさらされています。人身売買業者や密入国者は、通常10月から4月の海が穏やかな時期に、古い木造ボートを使ってマレーシアなどの近隣諸国に向かおうとすることが多いです。

ロヒンギャ難民がこの危険な船旅に出る要因のひとつは、キャンプにおいてロヒンギャの武装グループによる身代金目的の誘拐、拉致、子どもの徴用などの治安悪化が挙げられます。キャンプ内でしばしば起きる大規模な火災、モンスーンなどによる洪水、地滑りも人々を危険にさらしています。

 
 ロヒンギャ難民キャンプを襲った大規模火災後に周囲を眺める子どもの様子

ロヒンギャ難民は働くことが許されていません。病気を患っているスフィヤさん(46歳)は、他のキャンプに暮らす多くの難民と同じように人道支援に頼らざるを得ない状況で暮らしています。

「人々の食が足りてこそ、世界が平和になります。」
食料支援は、キャンプの更なる平和と安定を確保するための方法の一つだと、彼女は語ってくれました。

セーブ・ザ・チルドレンは、2012年からコックスバザールで活動を開始し、2017年のバングラデシュへの難民の流入を受けて、教育、保健・栄養、食料、水、シェルター(簡易住居)、子どもの保護などの活動を大幅に拡大して支援を実施してきました。しかし、今回の資金不足は、バングラデシュに暮らす難民とホストコミュニティへこれまで実施してきた人道的努力を著しく妨げています。

バングラデシュにあるセーブ・ザ・チルドレンの事務所代表シュモン・セングプタはこう話します。

「危険な船旅に子どもたちを送り出さざるを得ない家族を増やすような食料危機を防ぐために、ロヒンギャ難民支援への資金援助の強化を国際社会や市民に対して強く要請します。皆さんからの持続的な資金援助がなければ、50万人のロヒンギャの子どもたちとその家族を危険にさらす、より甚大な人道危機が間近に迫るかもしれません。」


セーブ・ザ・チルドレンが支援している
シェルター(簡易住居)に関する研修に参加するロヒンギャ難民女性の様子 


セーブ・ザ・チルドレンは、バングラデシュにあるコックスバザールの難民キャンプで活動する主要な国際NGOの1つで、子どもの保護、教育へのアクセスの確保、保健・栄養、水・衛生サービス、シェルター(簡易住居)や食料品の配布などを行っています。2017年のロヒンギャ難民危機への対応開始以来、32万人以上の子どもを含む約60万人のロヒンギャ難民に支援を実施してきました。


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