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日本/子どもの貧困問題解決
(公開日:2019.05.13)

子どもの貧困問題解決に向けたシンポジウムを開催(石巻市、2018年第3回)

 

2018年11月28日、セーブ・ザ・チルドレンは子どもの貧困問題解決事業の一環として、宮城県石巻市で「子どもの貧困問題解決に向けたシンポジウム2018 in 石巻 第3回 〜就学援助制度のより良い運用・利用促進に向けて〜」を開催しました。



 

最新の経済協力開発機構(OECD)の調査*1によれば、2015年の加盟各国の国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出の割合は、加盟国平均が4.2%の中、日本は2.9%で比較可能な34ヶ国中で最下位です。さらに、児童手当などの社会保障政策が十分でなく、子どもの成長に必要な費用に対する家庭負担の割合が大きくなっています。

そこで2018年6月の第1回8月の第2回に続いて、第3回目となる11月のシンポジウムは、子どもの貧困問題の中でも特に、経済的な理由により、小・中学校の学校生活に必要な費用を準備することが困難な保護者に対して、学用品費や給食費等の就学に必要な経費の一部を支給する「就学援助制度」をテーマとしました。


シンポジウムでは、初めに、セーブ・ザ・チルドレンから、子どもの貧困問題解決事業の紹介と、東北沿岸部の経済的に困難な状況下にある子育て世帯への調査結果の報告、国や市町村などに対する提言を発表しました。就学援助制度については、調査に回答した約7割が「就学援助制度を利用するにあたって、改善してほしい点」があると回答し、具体的には、周囲の目が気にならないで申請できる工夫や金額や費目の増加、支給時期の見直し等について要望が上がっていました。
 


次に、埼玉県の市立中学校事務主査で、就学援助制度の周知にも取り組んでいるノ澤靖明氏から「子どもの権利保障と就学援助制度〜子どもの貧困問題解決の一助として〜」をテーマに、講演がありました。

講演では、就学援助制度を利用することに対して、うしろめたさやスティグマを感じることがないよう、行政サービスを利用する「権利」として認識する必要がある一方で、知っている人だけが利用できる現状に課題があり、そのために周知徹底の必要性があること、また、子どもの貧困問題の視点から見た学校現場の今について、事例を紹介しながら発表がありました。

 


講演に続いて、自治体からの情報提供として、石巻市教育委員会から石巻市の就学援助の実施状況について報告がありました。石巻市では文部科学省の通知に基づき、入学に必要な新入学用品費を入学前に支給する「新入学準備金」を2018年度から導入し、就学援助を利用している約8割の方が利用しているとのことでした。
 


シンポジウム後半では、質疑応答・参加者交流を行いました。前回のシンポジウムと同様、参加者交流では、参加者同士でグループに分かれ、シンポジウムのテーマについてそれぞれの立場から話し合いを行いました。


就学援助の申請用紙を書くことが難しい家庭には直接関わっている民間団体によるサポートができるのではないかという意見や、周囲の目が気にならないよう郵送で就学援助の案内をしたところ、郵便を見ない家庭にとっては子どもを通して配布するよりもかえって周知が行き届かなかったという学校事務職員の経験、単一の周知方法によらず、学校の枠を超えた連携が必要という声がありました。


2018年は、子どもの貧困問題解決に向けたシンポジウムを東京で1回、石巻市で3回の計4回開催し、のべ239人が参加しました。各シンポジウムで出た意見をふまえて、今後もセーブ・ザ・チルドレンでは、子どもの貧困問題解決に向け、すべての子どもたちが環境に左右されず、成長や学びの機会を持てるよう活動していきます。


〜参加者の声〜*2
・就学援助をどのように広めていくか、スティグマをどう取り除いていくかについて知識を増やすことができた。
・就学援助制度という支援を切り口に、学校側の子どもに対する努力を知ることができました。今後も協力して、子どもと家庭の支援をしていきたいです。
・誰もが平等に、心配することなく、学び続けていける社会の実現を切に望みます。そのためにもある程度、必要な時にお金の心配をせずに支援を受けられるような制度の実現を。
・スティグマ払拭には時間がかかりそうと感じました。今日学んだことをコツコツと周知していくこと、広く情報共有することをしたいと思います。参加者交流では様々な分野の方と話すことができ、よい意見交換と情報交換ができました。ありがとうございました。
・就学援助の事務を軽く考えていたかもしれません。子ども家庭の問題を解決できるかもしれないと気付かされました。


*1経済協力開発機構(OECD)『Education at a Glance 2018 (図表でみる教育2018)』
https://www.oecd.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000372.html
*2参加者の感想は、一部読みやすいように文意が変わらないかたちで修正・補足しています。


(報告:東京事務所 山田心健)


 

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