アドボカシー(公開日:2016.12.28)
世界から栄養不良をなくすために−日本政府による国際栄養分野の国家戦略の策定と資金拠出が必要です
世界ではいまだに年間590万人の子どもたちが5歳未満で亡くなっており、その約半分は栄養不良に起因します。栄養不良は子どもたちの生涯にわたる健康や生活状態に重大な影響をもたらすと共に、経済成長の妨げになります。2016年世界栄養報告は、栄養改善への1ドルの投入毎に16ドルのリターンがあると試算しています。栄養改善は命、健康、そして持続可能な発展の礎になる重要な課題です。
【国際栄養分野を包括する国家戦略が必要】
日本は国際栄養分野において、これまで様々なセクターに資金拠出や貢献を行い、2014年には世界4位の拠出額を占めました。一方で、実際に日本国内および海外においても、どのような戦略・政策のもと、全体でどれほど貢献しているのか、包括して認識されていません。一貫した国家戦略があれば、取り組みを効率的に実施および発信できるだけでなく、各省庁の連携を強化し、より良い活動に繋がると考えられます。
【国際栄養分野は2020年までに1,000億円の資金拠出が必要】
Results for Development/世界銀行の推計によると、栄養不良をなくすために、国際栄養分野において2020年までに世界全体で求められる拠出額は7,500億ドル(約86兆円)だと言われています。日本はこれまで栄養分野において世界全体の政府資金拠出額の約14%の貢献をしていますが、今後、2020年までに求められる拠出額に対して、同様の割合を維持するためには1,000億円の拠出が必要です。翻って、日本の現在(2015年)の拠出額は57億円であり、日本は国際栄養分野で求められる支援額を認識し拠出額を高めていく必要があります。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、2016年を通して、栄養改善に取り組む他のパートナー団体と共に、国際栄養分野での一貫した国家戦略策定の策定と資金拠出の重要性について主張してきました。2016年4月には、世界の栄養に関する取り組みを分析し、アカウンタビリティ強化に向けて提言をまとめた報告書である2015年世界栄養報告の日本語版出版を記念してパートナー団体と共に2015年世界栄養報告セミナーを開催しました。2016年11月の第5回国際母子栄養改善議員連盟会合では、「国際栄養課題に関する国家戦略案」の提出を働きかけてきました。2017年度も引き続き、G7イタリア・サミットなどの機会を通して、取り組みを進めていきます。
日本政府への提言概要
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セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
栄養アドボカシー・オフィサー 田中沙也加