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アドボカシー
(公開日:2020.07.29)

報告書『攻撃される教育 2020(Education under Attack 2020)』を発表

 
「お父さんはおもちゃと新しい通学カバンを買ってくれると言ってくれました。でも新しい通学カバンは欲しくありません。通学カバンなんて大嫌いです。スクールバスには近寄りたくもありません。バスなんて大嫌いで、学校なんて大嫌いで、眠れません。夢の中で友だちが助けてくれとすがりついてきます。だからこれからはずっと家にいることにします。」
モクタールさん(8歳)。2018年8月9日にイエメンで起きたスクールバス空爆の生存者


報告書表紙:攻撃を受け荒廃した教室で黒板に字を書くシリア・イドリブ県の少年

セーブ・ザ・チルドレンを含む国際NGOや国連機関、教育研究機関が参加する「教育を攻撃から守る世界連合(Global Coalition to Protect Education from Attack: GCPEA)」は、教育への攻撃の実態を明らかにする報告書『攻撃される教育2020(Education under Attack 2020)』を発表しました。

この報告書は、2018年に発表された 『攻撃される教育2018』に続くもので、教育への攻撃の報告総件数は前回と比べて減っているものの、新たな地域での攻撃が発生し、以前より攻撃件数が増えている地域があることやその理由などが明らかになっています。

本報告書には、2015年から2019年の間に世界中で起こった1万1,000件を超える教育への攻撃と、教育施設の軍事利用に関する状況や調査結果がまとめられています。これらの攻撃で、生徒、教師、教育関係者を含む2万2,000人以上が被害に遭っています。

イエメンやコンゴ民主共和国、シリア、アフガニスタン、パレスチナなどを含む本報告書に記載されている37ヶ国では、2017年から2018年の2年間に、少なくとも10件の教育への攻撃、学校の軍事利用がありました。

本報告書には、以下の攻撃・軍事利用の形態に関する重要な調査結果が記載されています。
・ 学校(建物)への攻撃
・ 生徒・教師・教育関係者への攻撃
・ 学校や大学の軍事利用
・ 学校や通学路における子どもの徴兵・徴用
・ 学校内や通学路における性的暴力
・ 高等教育への攻撃

学校(建物)への激しい攻撃が、コンゴ民主共和国やイエメン、アフガニスタン、パレスチナ、シリアで起きています。イエメンでは、空爆、地上での戦闘、ミサイルや銃、迫撃砲による攻撃により、学校が損傷を受けたり、破壊されたりしました。また、アフガニスタンでは、学校が総選挙の投票所となったため100を超える学校が、脅迫を受けたり、放火、爆発性武器やその他の暴力の標的とされたりしました。

生徒や教師、教育関係者は、国軍や警察、その他国家の安全保障に関する組織や非国家武装勢力により、殺害される、傷つけられる、誘拐される、脅迫される、拘束・拘留されるといった被害を受けています。これらの行為は、生徒や教師が学校で学び、教えるといった立場であることを理由に意図的に狙ったものである場合もあります。ブルキナファソやマリ、ニジェールでは武装勢力が、公教育のカリキュラムが世俗的な内容を取り扱っているとして教員に対して脅迫を行ったため、それらの地域にある数千校が閉校を余儀なくされるという恐ろしい事態を招きました。



スクールバスの破片やがれきを調べるイエメン・サアダ県の少年たち

一方、本報告書発表や国際的な取り組みを通し、前向きな変化も起きています。2015年に策定された学校を攻撃から守るための政治宣言である「学校保護宣言」 には、2020年5月時点で、104ヶ国が支持を表明しています。この宣言に署名したイギリスやノルウェーなどの複数の国では、国軍による学校の軍事利用の禁止・規制など、自国の軍事政策が改正されました。さらに、中央アフリカ共和国では、子どもと武力紛争に関する国連事務総長特別代表事務所(SRSG/CAAC)と協働し、学校への攻撃を止めるという内容を含む行動計画が策定され、この行動計画に武装勢力が署名を行いました。

攻撃からの教育の保護について進展が見られることは意義が大きいですが、学生、教師、学校関係者、そしてあらゆるレベルの教育施設を攻撃から守るための課題はまだ多く残されています。学校を攻撃から守るための解決策として、GCPEAは以下を提言します:

・ 各国政府が「学校保護宣言」に賛同を表明し、実施すること

・ 国軍や武装勢力は、学校や大学を軍事目的で利用することを止めること

・ 各国政府やその他監視機関は、教育への攻撃を監視、報告する制度を強化すること

・ 各国政府や国際的な司法機関は、教育に対する攻撃を体系的に調査し、攻撃者に公正な形で責任をとらせること

・ 各国政府や他の機関は、教育への攻撃を受けたすべての人々に対して、ジェンダー、民族、社会経済的背景などにおいて差別することなく支援すること

・ 教育の提供者は、教育により平和を促進し、生徒の身体的、心理社会的な保護が確実に実現されるよう支援すること

・ 各国政府は武力紛争下であっても教育への安全なアクセスを維持すること


Global Coalition to Protect Education from Attack (GCPEA)の報告書特設サイト(英語)はこちら 
報告書全文(英語)はこちら
報告書概要(日本語)はこちら

 

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