アドボカシー(公開日:2026.04.27)
多様性の視点から考える紛争下で取り残されやすい子どもたちと教育支援
中東および周辺国をはじめ、世界各地で紛争が激化する中、子どもたちの置かれている状況は深刻さを増しています[1]。紛争下で暮らす子どもたちは、殺害や負傷、誘拐、家族との離別、そして性暴力など、さまざまな危険に日常的にさらされています。
多様性の視点から見ると重要なのは、紛争の影響がすべての子どもに同じように及ぶわけではないという点です。性別、障害、民族、避難民という立場などが重なることで、より深刻な困難に直面する子どもたちがいます。
紛争下で、より脆弱な立場に置かれる少女たち
紛争が激化すると、少女や女性は、家庭・学校・地域社会で暴力や差別にさらされやすくなるほか、法制度や政策、支援体制といった国家的枠組みにおいても、不利な扱いや差別を受けやすくなります。
例えば家庭では、早すぎる結婚や教育機会の喪失、暴力、行動の制限が増えることがあります。学校でも、通学路や校内での性暴力や嫌がらせのリスクが高まります。さらに、社会秩序や法制度が崩れることで、少女たちの権利を守る仕組みが機能しなくなり、暴力が見過ごされてしまう状況も生まれます。
こうした中で、教育は少女たちの安全と尊厳を守る重要な役割を果たします。安全な通学手段の確保、学校や通学路の照明整備、鍵のかかる男女別トイレや月経衛生設備の設置などは、少女たちが「安心して通える学校・教育施設をつくるために欠かせません。
また、学用品の支給や奨学金、学校給食といった教育支援は、家庭にとっても「少女を学校に通わせ続ける」という選択を現実的なものにします。教育は、目の前の安全を守るだけでなく、長年続いてきたジェンダー不平等の価値観に向き合い、将来を変えていく力にもなります。
紛争下で、さらに疎外される障害のある子どもたち
世界の障害のある子どもたちの多くは、医療や福祉が十分でない国や地域で暮らしています。そこに紛争が起こることで、状況は一層深刻になります。
爆発や不発弾による重いけが、医療機関の閉鎖による治療や支援の途絶、恐怖が続く生活によるこころへの深い影響などにより、障害のある状態に至る子どもたちが新たに生じています。パレスチナ・ガザ地区では、爆撃の影響によって聴覚障害を持つ子どもが増えているとの報告もあります。[2]
障害のある子どもたちは、偏見や差別に加え、学校設備の未整備や合理的配慮の不足、社会的・文化的な障壁など、複数の困難が重なり、教育から排除されやすい立場にあります。特に障害のある女子は、性別と障害が重なることで、最も見えにくく、支援が届きにくい存在になりがちです。
誰ひとり取り残さない教育を目指して
紛争下の教育を支援する国連基金「Education Cannot Wait(教育を後回しにはできない基金)」では、こうした課題を踏まえ、少女や障害のある子どもを含む、全ての子どもが学べるインクルーシブで公平な教育を重視しています。一人ひとりのニーズに応じた支援を行うこと、そしてすべての教育プログラムにおいて、疎外されやすい子どもたちの視点を最初から組み込むことが大切にされています。多様性の考え方に基づき、子どもたちを「守られる存在」ではなく、「社会を形づくる主体」として位置付ける取り組みです[3]。
紛争下の子どもたちは、置かれた状況や背景によって受ける影響が大きく異なります。だからこそ、多様性を認め、不平等を是正し、すべての子どもを包摂する教育支援が欠かせません。
教育は、子どもたちの命と尊厳を守ると同時に、紛争後の社会を支える基盤でもあります。多様性の視点をもち、誰ひとり取り残さない教育を実現することが、持続可能な平和への一歩に繋がります。
本事業は、個人・法人の多くの皆さまからのご寄付により実施されています。
【SCサポートへのご寄付をお願いします】
「子どもを誰ひとり取り残さない。」そのためには、中長期にわたり子どもたちを支え続ける仲間が必要です。




