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アドボカシー
(公開日:2025.11.14)

世界の子どもたちの健康安全保障実現のために:グローバルファンドの増資に向けた日本への期待

 

20251121日、G20議長国である南アフリカにて、グローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)の第8回増資会合が開催されます。今回の会合は、南アフリカと英国が共同議長を務めます。

 

グローバルファンドは、低・中所得国において、エイズ、結核、マラリアの三大感染症に対応するために2002年にスイスで設立された官民パートナーシップです。2000年に開催されたG8九州・沖縄サミットにおいて、議長国である日本が感染症対策を主要な議題として取り上げ、G8各国の間で追加資金の確保や国際的な連携の重要性が認識されました。この動きが、グローバルファンド創設のきっかけとなり、日本はその立ち上げに深く関与した国の一つとして「生みの親」とも称されています[1]

 


グローバルファンドは、医療インフラの整備、システム管理、医薬品、検査機器などの物品調達・供給、三大感染症の予防、治療、患者支援の取り組みに加え、現地のパートナーとの連携を通じて、地域コミュニティへのアクセスを広げ、住民の主体的な参加を促進しています。さらに、現地人材の能力強化やデジタルヘルスの推進を通じて、広く保健システム強化に寄与しています。グローバルファンドの支援により、2002年から2023年の間に7,000万人の命が守られ、また三大感染症の罹患率は42%、死亡率は63%それぞれ減少したことが明らかとなっています[2]

 

エイズ・結核・マラリアは、今もなお多くの子どもたちの命を奪い続けています。国連合同エイズ計画(UNAIDS)によると、2024年に新たにHIVに感染した人は約130万人(100万〜170万人)でしたが、世界全体で新たにHIVに感染した人のうち、45%が女性と女児(全年齢)でした[3]。ユニセフは5歳未満の子どものHIV感染もいまだ課題であり、2024年には新たに約12万人が感染したとしています[4]。また、2024年の「世界マラリアレポート」によると、2023年にアフリカ地域におけるマラリアによる全犠牲者の約76%を占めていたのは、5歳未満の子どもであったことが明らかになっています[5]。妊娠中のマラリア感染は、母体だけでなく胎児や新生児にも深刻な影響を及ぼします。これらの感染症対策は、子どもたちの命と未来を守るために不可欠です。

 


グローバルファンドは3年に1度の増資を行っており、2025年は第8回目の増資の年にあたります。ここでドナーから集められた資金は、2027年から2029年にかけて、世界各国のエイズ・結核・マラリア対策や治療に活用されます。目標額は3年間で180億米ドル(約2.7兆円)です。この資金により、グローバルファンドは3年間で2,300万人の命を守り、2023年比で感染症による死亡率を64%削減、約4億件の感染を防ぐことを目指しています。特に、2023年に230万人だったエイズ・結核・マラリアによる年間犠牲者数を、2029年には100万人未満にまで減らすことができれば、それは人類にとって極めて大きな成果となるとしています[6]


日本はこれまで累計524,400万米ドル(約7,960億円)をグローバルファンドに拠出し、現在第5位の出資国として国際社会における信頼とプレゼンスを着実に築いてきました[7]2025年の第8次増資では、第7次増資と同様の10.8億米ドル(約1,640億円)の拠出が期待されています。

 

グローバルファンドへの支援は、途上国の感染症対策を支えるだけでなく、感染症の拡大を防ぎ、国際的な公衆衛生の安定に寄与するものであり、日本自身の健康安全保障にもつながっています。日本政府には、支援の継続・拡充と、理事国としてのガバナンスへの積極的な関与を通じて、国際的なリーダーシップを発揮することが求められています。

 


すべての子どもが取り残されることなく、エイズ・結核・マラリアという感染症から命と健康が守られるように、セーブ・ザ・チルドレンはグローバルファンドへの支援強化を引き続き訴えていきます。

 

1米ドル=151.8円として換算


 

[1]グローバルファンドの概要 | FGFJ - グローバルファンド日本委員会

[2]Global Fund 2025年成果報告書概要

[3]Fact sheet - Latest global and regional statistics on the status of the AIDS epidemic.

[4]HIV - Elimination of mother-to-child transmission - UNICEF DATA

[5]World malaria report 2024

[6]Eighth Replenishment Investment Case - The Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria

[7]日本とグローバルファンド


 

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