アドボカシー(公開日:2026.02.05)
【実施報告】マダガスカル×日本 交流授業 ―気候変動と防災をテーマに―|Generation Hope 2025
セーブ・ザ・チルドレンは、気候変動と不平等を終わらせるために、「Generation Hope(ジェネレーション・ホープ) キャンペーン」という子ども・ユースと共にアクションを起こす取り組みを行っています。2025年は、日本とマダガスカルの中学生・高校生が交流しながら、互いの国の気候変動による災害の影響を学び、自分たちにできることや、まち・国に求めたい防災対策について考える「交流授業」を実施しました。
2025年7月〜8月にかけて、学校所在地の周辺で近年実際に気候変動による災害を経験していることなどを条件に、参加校を募集しました。選考の結果、愛媛県の高校と埼玉県の中学校から計86人の生徒たちが参加しました。
マダガスカルからは、首都アンタナナリボの周辺に住む、14〜17歳の中高生・大学生が14人参加しました。
気候変動と向き合う子どもたちの目にうつるもの
交流授業は、気候変動と防災について子どもたちの理解を促進すると共に、社会課題に対して自分なりの意見を形成する機会の創出を目的として実施されました。生徒たちは、「まちフォト-Through Our Eyes-」と「動画」という2種類の作品を制作し、自分たちが調べたことや伝えたいことを表現して、セーブ・ザ・チルドレンの日本事務所とマダガスカル事務所を介して海外にいる同世代の子どもたちと交換しました。
「まちフォト」とは、子どもたちの目を通して、気候変動と防災がどう見えているか、以下3つのテーマについて写真や絵と説明文で表現したものです。
1. 私の国・まち・学校(交流相手への自己紹介)
2. 気候変動による自然災害について私たちの身近に起きていること
3. 気候変動による自然災害への防災対策
気候変動による自然災害について私たちの身近に起きていること
マダガスカルの子どもたちからは、気候変動によって干ばつとサイクロンといった対照的な異常気象が国内で起きていることが「まちフォト」を通じて伝えられました。また、日本でも近年地球温暖化との関連が明らかにされている山火事は、マダガスカルでも起きています。
マダガスカルの子どもたちが作成した「まちフォト」テーマ2:気候変動による自然災害について私たちの身近で起きていること
日本の参加者からは、気候変動によって降水量が増え、道路が川のようになってしまう危険性がイラストで伝えられたり、実際に起きた災害の写真が取りあげられました。大雨による土砂崩れの写真が、「担任の先生の家の前で撮影されたもの」という説明とともに紹介されるなど、「災害はテレビの中の出来事だけではない。私たちのすぐ隣で起きている。」そんなメッセージが伝わってきます。
災害の種類や生活への影響は異なりますが、世界でも日本でも、子どもたちは同じように気候変動による影響に直面しています。
日本の中高生が作成した「まちフォト」テーマ2:気候変動による自然災害について私たちの身近で起きていること
気候変動による自然災害への防災対策
マダガスカルでは、干ばつによる影響を少しでも和らげるために、米をはじめとして、乾燥に強い作物をつくるための品種改良などが行われています。その他にも農作物を守るために、防風林の植林、気象警報に応じた播種の時期の調整、また森林再生や土壌侵食の防止などを目的として、農業と林業を組み合わせた「アグレフォレストリー」に取り組んでいます。
日本側からは、土砂災害から市民を守るために山の中に作られた「砂防ダム」や、学校・地域にある防災倉庫、ハザードマップなどが紹介されました。自分と家族のための避難行動計画である「マイタイムライン」の活用方法に関する説明もありました。 防災対策について調べた生徒たちからは、「日本では思っていたよりもさまざまな取り組みがなされていることを知った」 との気づきの声が多く聞かれました。
このようにマダガスカルと日本の子どもたちがそれぞれ調べた気候変動と防災に関する「まちフォト」は、動画としてもまとめられ、ビデオメッセージとしてお互いの国で行われた関連イベント・授業の機会に合わせて届けられました。
2026年は、防災庁の設立についても検討がなされている年です。日本の生徒たちは「まちフォト」や動画の制作を通じて、学校や日常生活の中に「災害に備える」という意識が浸透していることを再認識していた様子が伺えました。また、日本の建築・インフラ技術を国際協力にもっと生かしていけたらと期待するコメントも聞かれました。
日本の中高生が作成した「まちフォト」テーマ3:気候変動による自然災害への防災対策
●マダガスカルの子どもたちが作成した「まちフォト」をもっと見る
●日本の子どもたちが作成した「まちフォト」をもっと見る
●マダガスカルからの動画はこちら
●日本の子どもたちが作成した動画の内容はこちら:中学生 高校生
参加した生徒から寄せられた感想(抜粋)
Generation Hopeキャンペーン2025の交流授業に参加した生徒からは、自国のみならず世界の気候変動による影響の現状についても学べたこと、日本とマダガスカルの意外な共通点に驚いたこと、同世代との交流に価値を感じたことなどの感想が寄せられたほか、気候変動対策や防災について、自分にできることを取り組んでいきたいといった意気込みも聞かれました。
以下は、日本の生徒たちからの感想の一部抜粋です。
・交流授業を通して気候変動はニュースで見る遠い問題ではなくて今この瞬間も人々の生活に大きく影響を与えている大きな問題だと感じました。特に、マダガスカルでは、干ばつやサイクロンによって食料不足や生活の不安が起きており、気候変動の原因をほとんど排出していない国ほど大きな被害を受けていることに驚きました。気候変動は世界共通の問題であって先進国に住む自分たちにも責任があり他人事ではないと思いました。自分が大きな行動を移せなくても周りの人に伝えるなど深刻な現状を知っておくべきだと思いました。
・この授業がなければ世界の気候変動について考えることもなければ、マダガスカルと日本の防災対策について考えることもありませんでした。今後も災害の対策について調べ、自分の身と家族を守れるようにしたいと思います。
・先進国が排出した温室効果ガスによって直接その国で影響が出ていないとしても、発展途上国の暮らしに影響が出ていたり国によって不公平だと感じました。平等の実現はとても難しいことだと思いますが、国内だけでなく国同士における貧富の差をなるべく減らしていけるような活動に将来参加してみたいです。
・違う国同士で対策を練ることで、お互いの技術を生かしあったりと新しい対策が生まれるのではないかという発見があった。
これから求められること
セーブ・ザ・チルドレンとブリュッセル自由大学が行った共同研究によれば、子どもたちは大人世代よりもより多く、そしてより深刻な異常気象にさらされる可能性が高いことが明らかになっています。そのため、気候変動対策の計画を決めるプロセスに子どもたち自身が参加し、その意見が政策に反映されることは極めて重要です。
2025年11月にはブラジルでCOP30が開催され、再生可能エネルギーの拡大、メタン排出の取り締まり、森林の保護、化石燃料の段階的な廃止など、各国は交渉から着実な実施への移行、そして、連帯や国際協力へのコミットメントが今まで以上に求められています。
セーブ・ザ・チルドレンは、気候変動対策において子どもの目線が考慮されるように、これからも子どもたちの声を社会や世界のリーダーたちに届けていきます。
異常気象が子どもたちに与える影響についてより詳しく知りたい方はこちら:『気候危機の中に生まれて2』
※本報告書では、2022年に46ヶ国の5万8,000人の子どもたちと行った協議や、2024年に気候変動に関するアドボカシーやキャンペーンに主体的に参加した20ヶ国の子どもたち数百人から得られた、気候変動と経済的格差に関する声や経験を掲載しています。
アドボカシー部社会啓発チーム
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