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モンゴル
(公開日:2013.06.17)

【遊牧民の子どもたちのための小学校教育プロジェクトB】遊牧民の子どもたちの抱える問題〜アルハンガイ県支部より(2013年6月17日)

 

こんにちは。イルグバスレンです。2012年6月に開始した遊牧民の子どもたちの小学校教育を支援するプロジェクトのアルハンガ県支部のチームリーダーを務めています。

(イルグバスレン)

アルハンガ県の県都のあるツエツエルレグは、自然保護地域に指定されているほど、モンゴルの中でも自然が豊かな地域です。湖や温泉があり保養地として有名です。また、ここで生産される乳製品はウランバートルの人々に一目置かれています。首都から約500Km離れていますが、昨年から道路舗装工事が進み、アクセスが大変良くなりました。



今回は、このアルハンガイ県の子どもたちの抱える問題をお話ししたいと思います。

 アルハンガイ県の学校に行くべき子どもの数は約18,000人。そのうち約740人の子どもが、何らかの労働に携わっており、またそのうち約230人の子どもが完全に学校からドロップアウトしてしまっています。これは全国の中でも最も良くない状況です。ドロップアウトの原因として最も多いのが、「貧困など家庭の問題と収入のため」となっています。「お金がないので文房具や服が買えず、いじめに合ったり、仕事に行くようになったりする間に、学校を休みがちになり、授業についていけず、学習意欲がなくなり、完全に行かなくなった」という状況が典型的なパターンのようです。

では子どもたちはどんな仕事に従事しているのでしょうか?アルハンガイ県で一番多いのが、「騎手」です。約700人の児童騎手がいるといわれています。

遊牧民にとって、馬は生活に欠かせず、家族の一員のような存在です。子どもたちは、生まれた時から馬と生活し、日本の子どもたちが三輪車や自転車に乗って遊ぶように、子どもたちも馬に乗って遊びます。ですので、馬に乗ること自体は問題ではありません。


(馬に乗って草原を走る子どもたち)

しかし、近年状況が変化してきました。お金のために、家族や子ども自身が自ら望んで乗馬レースに参加するようになってきたのです。


(冬場の乗馬レースの様子)

 モンゴルの国民行事であるナーダン(民族の祭典)が開催される7月ごろになると、乗馬レースがあちこちで開催され、馬を所有する人たちが競って参加します。特にモンゴルの男性にとって「足の速い馬を所有する」ことが名誉である文化があり、お金持ちの男性らは、足の速い馬を買い求め、優勝を目指します。馬を所有する家族の中には、馬の負担を減らすため、体重の軽い自分の子どもに騎手となるように命令することがあります。最近は、オートバイ一台、車一台、ウランバートル市近郊で行われるレースには、アパート代に相当する現金など、レースの景品が豪華になったこともあり、中には馬を所有するお金持ち層が子どもたちを騎手として雇うこともあります。優勝した場合は、景品の一部(20%程度と言われています)が騎手に支払われるというということもあり、お金のために騎手として働く貧困層の子どもが増えてきました。


(乗馬レースの様子)

このように騎手としてレースに参加するというと、それは生活中の遊びとしての乗馬とは別問題です。落馬すれば命に関わり大変危険です。昨年アルハンガイ県では、乗馬レース中に42人の子どもが落馬をして怪我を負いました。

加えて、それが「児童労働であり問題である」として認識されている場合が少ないということも私たちは問題視しています。家族間で行われていれば「それは家族の問題だから」、子どもが望めば「乗馬は子どもの趣味だから」と片づけられてしまうことがあるからです。児童労働は違法ですが、乗馬レースの騎手に関しては、労働であるのか、家族や子どもの趣味であるのか、その境界線がはっきりしないこともこの問題をあやふやにしています。


(乗馬レースに参加する子どもたち)

例えば、私の知っている10歳の男の子は、7歳の時から乗馬レースに参加しています。この男の子のお父さんは、馬の調教師で速い馬を育てています。以前彼は落馬し、頭蓋骨が見えるほどの大けがをしました。それ以来、6時間レースなど長い距離のレースに参加すると、頭痛がするようになりました。この場合、児童労働なのかどうか、境界線が大変難しいケースです。

しかし、危険であるということは間違いのない事実です。私たち事業では、・5歳から16歳までは騎手として参加することを認めないルール作りを徹底するように政府に働きかけたり、・家族や馬の所有主に乗馬の危険性を訴えたり、・コミュニティー教育評議会がそのウォッチャーになるような仕組みを作るなど、取り組みたいと思っています。

では最後になりましたが、私のチームを紹介します。この3人で、アルハンガイ支部を運営していきます。今後ともご支援のほどよろしくお願いします。


(サポートオフィサーのアルジャガル。人生の中で最も忘れられない出来事は、3年生の時に、エッセイコンテストで3位に選ばれたことです。お母さんとお父さんが、本当に喜んでくれました。家族みんなで家族の幸せを喜べるそんな家庭で、全ての子どもたちが大きくなるといいなあと思います。)



(運転手のスフバートル)



(プロジェクトチームメンバーです。3つフィールド事務所で4つの県を対象に行います!)

(報告:モンゴル事務所・イルグバスレン)

この事業は、世界銀行による「日本社会開発基金(JSDF: Japan Social Development Fund)の助成金により実施されています。

 

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