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モンゴル
(公開日:2011.12.22)

【幼稚園プロジェクト@】モンゴルの幼稚園はなぜ子どもにやさしくないの?(2011年12月21日)

 
日本の皆様こんにちは。モンゴル事務所の柴田です。モンゴルは、とうとう朝晩零下20度以下の日が続いております。想像もつかない気温かと思われますが、実際は不思議なくらい、ほとんどその様な寒さを感じません。それはきっと、1年のうち250日以上も燦燦と輝く太陽の日差しのおかげでしょうね。

さて、今回は、今年2011年8月に開始した新規事業、「子どもにやさしい幼稚園推進」プロジェクトについて、取り上げてみたいと思います。このプロジェクトは、首都ウランバートルの公立幼稚園を対象としています。ではまず初めに、「モンゴルの幼稚園はなぜ子どもにやさしくないのか?」ということを、下の写真から皆様に考えていただきたましょう。

1枚目の写真です。



2枚目の写真です。



3枚目の写真です。




さて、皆様はモンゴルの公立幼稚園がなぜ子どもにやさしくないか、その答えがお分かりになられましたか?1枚目では、4人掛けの机に5人以上が、ぎゅうぎゅう詰めに座っています。これでは、お絵かきの紙を十分に広げることもできません。そして2枚目。みんながすし詰めになってお昼寝しなければなりません。お布団も足りません。そして3枚目。子どもたちの大好きな体育で、せっかく体を動かせるはずが、左下の子なんて、腕を組んでしまいました・・・。

そう、モンゴルの公立幼稚園を訪問して驚くことは、一教室あたりの子どもの数の多さなのです!

モンゴル教育省は、1教室あたりの幼児数を25〜30人と定めていますが、多いところでは50人も受け入れている幼稚園があるほどです。当然、何もかも足りません。トイレの数も足りませんので、多くの幼稚園ではプラスチック製のおまるを使って補充していますが、人手も足りませんので、おまるの清掃も追いつきません。加えて半数の幼稚園は、1980年以前に建設されており補修工事も行き届いておりませんので、トイレの劣化が進んだり、暖房設備が壊れたりしている幼稚園が少なくありません。



そして「やさしい幼稚園」となるために最も鍵となる先生たちの置かれた現状はと言いますと、とにかく目が行き届きません。なぜなら、この何十人もの生徒を1人で見ているのです!

1日あたり最低でも1回は、1人ひとりの子どもと話そうと思っても、4〜50人もの子どもたちを相手にできるでしょうか?目の前の業務に追われて、それどころではないというのが現実です。また、モンゴルの幼稚園は、読み書き計算に大変力を入れたカリキュラムが組まれています。2008年に義務教育が11年制から12年制に移行し、以前は7歳で小学校に入学していたのが、現在は、日本と同じように6歳での入学となりました。ですから、以前はまだ時間的に余裕があったのですが、今は、より一層詰め込んで読み書き計算を教えなければならなくなりました。そして「安月給の代名詞」とも言われているぐらいの低賃金(2010年の平均は18,000円。ちなみに金融関係の仕事だと平均給与は約42,000円)で、毎日10時間近い長時間勤務を強いられています。これらのストレスと、「しつけ」という名目で体罰が許されてきた文化的背景も加わって、幼稚園での体罰も問題になっています。

このような過剰な人数の子どもたちを受け入れなければならなくなったその背景には、2006年以降にモンゴル政府が力を入れて取り組んだ「入園率の向上政策」があります。教育に関する開発計画や2008年の就学前教育法の施行などを通じ、特に地方の遊牧民家族の子どもの入園率の向上を目指した結果、確かに地方では35%から64%と、大幅な入園率の増加が見られましたが、同時に首都圏、特に地方からの移住者の多い郊外では逆に、入園希望を断らなければならないほどの「パンク状態」となりました。

特にこの現象に拍車をかけた政策は、今まで5割負担だった3回の食事が2008年に無料となったことです。これによって首都圏の貧困層の入園希望者が増えました。また幼稚園側も、児童数に応じてこの子どもの食費に関する予算が下りることもあって、予算獲得のため規定以上の幼児を受け入れるようになりました。政府も、「首都ウランバートルへの急激な人口集中に新たな幼稚園の建設が追いついていかない状況の中で、入園率を上げるためにはある程度仕方がない」と、規定を40人までに上げ、また、感染症の蔓延といった目に余る現象が起こるまで目をつぶるようになりました。

このように子どもにやさしくない状況は一目瞭然なのですが、更に残念なことは、幼稚園児を取り巻く環境に対する保護者や世論の関心が大変低いことです。
以上のような現状を受け、SCJモンゴル事務所では、モンゴルの公立幼稚園では、「子どもの権利」に基づいて、養護、保護、教育、社会的しつけを受ける機会が最大限に確保されているとは言えないと考え事業を実施することとしました。では実際に私たちが行っているプロジェクトについては、また来年、その進捗を定期的にお伝えしていきたいと考えています。引き続き、よろしくお願いいたします。

それでは、皆様、よいお年をお迎えください。本年もあたたかいご支援を本当にありがとうございました。
(報告:モンゴル事務所 柴田)




この「子どもにやさしい幼稚園推進プロジェクト」は、外務省・日本NGO連携無償資金協力のプロジェクトで、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが実施しています。

 

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