インドネシア(公開日:2010.04.30)
スマトラ島西部パダン沖地震 支援活動の最終報告(10.04.30)
2009年9月30にスマトラ島沖で発生したM7.6の大地震は、インドネシアの西スマトラ州に大きな打撃を与えました。道路や電力、通信網といったインフラをはじめ、病院や学校など主要な施設・公共サービスが被害を受けました。死者数は1,117人、重軽傷者数は2,902人、倒壊・損壊した家屋は18万世帯以上にのぼります。学校は、2,943教室が被害を受け、およそ9万人の子どもたちの教育に影響を与えたとみられています。また、医療分野では、118の施設が被害を受け、医療施設の不足により、妊娠・出産時の母親の死亡、汚れた水を感染源とする病気へのリスクが高まりました。
セーブ・ザ・チルドレン(SC)は、皆様からのご寄付により、2009年10月4日から2010年3月31日にかけて、被災規模が最も大きかったとされる西スマトラ州のパダン・パリアマン県とアガム県を中心に支援活動を行いました。期間中、SCが支援した人数は158,076人、うち77,736人が子どもです。
<主な支援活動と実績>
緊急支援物資の配布
被災時のスマトラ島は雨季が間近に迫っており、雨をしのぐことができる場所の確保が急務となりました。SCでは、シェルターキット(防水シートとマット)および修繕用の資材キット(プラスチックシート、ロープ、くぎ、ハンマー、くわ、のこぎりなど)を配布したほか、家を失った世帯が再建に取り組めるよう、再建技術に関する研修と再建にかかる費用の支援を行いました。
また、地震により一切を無くしてしまった人々を支援するため、生活用品キット(蚊帳、調理用具、食器、布、懐中電灯等)および衛生用品キット(石鹸、タオ
ル、洗面用品、洗剤等)を配布しました。
教育支援(※)
子どもたちにとって学校は日常生活の一部です。被災前と変わらず通学できるということは、子どもたちにとって重要なことです。また、インドネシアでは試験の時期が迫っていたこともあり、スマトラの子どもたちへの教育支援は必要不可欠となりました。
SCでは、教室が損壊した学校に対して仮設教室として使うことができる「スクール・テント」を配布・設営しました。これにより7,625人の子どもたちが学校に戻ることができました。また、設営と同時に、教員に対してスクール・テントの運営方法に関するトレーニングを行いました。
このほか、被災した学校に、学用品や遊具の配布を行いました。また、配布物の使用方法について教員へのトレーニングを実施しました。
・スクール・テントの配布・設営数:84テント
・学用品・遊具の配布:286教室(111校、12,786生徒)
・トレーニングを受けた教員:350人
子どもの保護
子どもたちの安全な遊び場「チャイルド・フレンドリー・スペース(CFS)」を運営しました。CFSは、子どもたちが自らを表現し、学び、遊び、友だちと交流することを目的とし、子どもたちを被災下のストレスから解放する手助けを行うと同時に、大人が復興で多忙なことにより子どもたちが十分なケアを受けられない状況を避ける「保護」の役割も担います。
CFSでは、地元ラジオを通じて被災後の自らの経験をコミュニティに伝えたり、演劇やフェスティバルを開催するなど、子どもたちの主体性を重視したアクティビティを行いました。被災後6か月が経過し、現在はアクティビティの数は減っていますが、コミュニティから運営の継続を希望する声があがっており、今も23か所で運営されています。
また、アガム県とパダン・パリアマン県において子どもたちのケアに関する調査を実施しました。SCでは、インドネシア政府の協力のもと、生計手段を完全に失ってしまった世帯の子どもたちや、ストレスにより心理面でサポートを必要としている子どもたちなど、特にケアが必要な子どもたちとその家族に対して、経済的・心理社会的な支援を行っていく予定です。(この支援は2010年6月まで継続予定です。)
・チャイルド・フレンドリー・スペースの設置・運営:26テント
保健・衛生支援(※)
多くの母親が震災により、母子手帳を失いました。インドネシアでは、日本と同様に、母子手帳が子どもの健康状態の記録ツールとして普及しています。SCでは、母子手帳を失ってしまった妊婦や5歳以下の子どもを持つ母親に、クリニックや病院を通して手帳の配布を行いました。
・母子手帳の配布:1,500冊
また、地元保健省の協力のもと、応急処置や保健・栄養の知識を持つ医療従事者(ヘルス・ワーカー)の育成トレーニングを行いました。トレーニングを受けたヘルス・ワーカーには保健・衛生の知識が盛り込まれているパンフレットを配布しました。パンフレットを活用し、今後のコミュニティの母親や子どもたちの保健・衛生の促進に役立ててもらう予定です。
・トレーニングを受けたヘルス・ワーカー:106人
感染症のリスクを軽減することを目的に、60の小学校において、手洗い場の設置と衛生教育を行いました。各校から教員を招き、子どもたちに人気の歌にのせて手洗いの方法を教える指導法など、衛生教育についてトレーニングを行いました。また、生徒たちに衛生用品(石鹸、タオル、歯ブラシ、歯磨き粉、爪切りなど)を配布すると同時に、学校に設置した手洗い場を使った手洗いについて、デモンストレーション方式で指導を行いました。
・衛生教育を受けた生徒:9,947人
・トレーニングを受けた教師:120人
震災から6か月以上が経過し、SCの緊急支援チームは3月末をもって、その主な活動を終了し、派遣していた日本人スタッフも無事帰国しました。今後は、長年インドネシアで活動を続けているセーブ・ザ・チルドレン・イン・インドネシアの主導のもと、再び訪れるかもしれない新たな災害にコミュニティが備えられるよう、緊急物資の備蓄を確保していくとともに、子どもたちやコミュニティに災害に関する教育を実施するなど、防災・減災の分野で、引き続き支援を行っていく予定です。
※教育支援および保健・衛生支援の一部はジャパン・プラットフォームからの助成金により実施しました。
セーブ・ザ・チルドレン(SC)は、皆様からのご寄付により、2009年10月4日から2010年3月31日にかけて、被災規模が最も大きかったとされる西スマトラ州のパダン・パリアマン県とアガム県を中心に支援活動を行いました。期間中、SCが支援した人数は158,076人、うち77,736人が子どもです。
<主な支援活動と実績>
緊急支援物資の配布
被災時のスマトラ島は雨季が間近に迫っており、雨をしのぐことができる場所の確保が急務となりました。SCでは、シェルターキット(防水シートとマット)および修繕用の資材キット(プラスチックシート、ロープ、くぎ、ハンマー、くわ、のこぎりなど)を配布したほか、家を失った世帯が再建に取り組めるよう、再建技術に関する研修と再建にかかる費用の支援を行いました。
また、地震により一切を無くしてしまった人々を支援するため、生活用品キット(蚊帳、調理用具、食器、布、懐中電灯等)および衛生用品キット(石鹸、タオ
ル、洗面用品、洗剤等)を配布しました。
・シェルターキット配布:29,894世帯
・シェルター修繕キット配布:33,996世帯
・家再建支援:750世帯
・生活・衛生用品キット配布:29,999世帯
・シェルター修繕キット配布:33,996世帯
・家再建支援:750世帯
・生活・衛生用品キット配布:29,999世帯
シェルターキットを配るSCスタッフ
教育支援(※)
子どもたちにとって学校は日常生活の一部です。被災前と変わらず通学できるということは、子どもたちにとって重要なことです。また、インドネシアでは試験の時期が迫っていたこともあり、スマトラの子どもたちへの教育支援は必要不可欠となりました。
SCでは、教室が損壊した学校に対して仮設教室として使うことができる「スクール・テント」を配布・設営しました。これにより7,625人の子どもたちが学校に戻ることができました。また、設営と同時に、教員に対してスクール・テントの運営方法に関するトレーニングを行いました。
このほか、被災した学校に、学用品や遊具の配布を行いました。また、配布物の使用方法について教員へのトレーニングを実施しました。
・スクール・テントの配布・設営数:84テント
・学用品・遊具の配布:286教室(111校、12,786生徒)
・トレーニングを受けた教員:350人
スクール・テントで学習する子どもたち。カメラに満面の笑みを見せてくれました。
子どもの保護
子どもたちの安全な遊び場「チャイルド・フレンドリー・スペース(CFS)」を運営しました。CFSは、子どもたちが自らを表現し、学び、遊び、友だちと交流することを目的とし、子どもたちを被災下のストレスから解放する手助けを行うと同時に、大人が復興で多忙なことにより子どもたちが十分なケアを受けられない状況を避ける「保護」の役割も担います。
CFSでは、地元ラジオを通じて被災後の自らの経験をコミュニティに伝えたり、演劇やフェスティバルを開催するなど、子どもたちの主体性を重視したアクティビティを行いました。被災後6か月が経過し、現在はアクティビティの数は減っていますが、コミュニティから運営の継続を希望する声があがっており、今も23か所で運営されています。
また、アガム県とパダン・パリアマン県において子どもたちのケアに関する調査を実施しました。SCでは、インドネシア政府の協力のもと、生計手段を完全に失ってしまった世帯の子どもたちや、ストレスにより心理面でサポートを必要としている子どもたちなど、特にケアが必要な子どもたちとその家族に対して、経済的・心理社会的な支援を行っていく予定です。(この支援は2010年6月まで継続予定です。)
・チャイルド・フレンドリー・スペースの設置・運営:26テント
CFSのアクティビティで笑顔を見せる女の子たち
保健・衛生支援(※)
多くの母親が震災により、母子手帳を失いました。インドネシアでは、日本と同様に、母子手帳が子どもの健康状態の記録ツールとして普及しています。SCでは、母子手帳を失ってしまった妊婦や5歳以下の子どもを持つ母親に、クリニックや病院を通して手帳の配布を行いました。
・母子手帳の配布:1,500冊
また、地元保健省の協力のもと、応急処置や保健・栄養の知識を持つ医療従事者(ヘルス・ワーカー)の育成トレーニングを行いました。トレーニングを受けたヘルス・ワーカーには保健・衛生の知識が盛り込まれているパンフレットを配布しました。パンフレットを活用し、今後のコミュニティの母親や子どもたちの保健・衛生の促進に役立ててもらう予定です。
・トレーニングを受けたヘルス・ワーカー:106人
感染症のリスクを軽減することを目的に、60の小学校において、手洗い場の設置と衛生教育を行いました。各校から教員を招き、子どもたちに人気の歌にのせて手洗いの方法を教える指導法など、衛生教育についてトレーニングを行いました。また、生徒たちに衛生用品(石鹸、タオル、歯ブラシ、歯磨き粉、爪切りなど)を配布すると同時に、学校に設置した手洗い場を使った手洗いについて、デモンストレーション方式で指導を行いました。
・衛生教育を受けた生徒:9,947人
・トレーニングを受けた教師:120人
正しい手洗いは感染症を防ぐ大切な一歩
震災から6か月以上が経過し、SCの緊急支援チームは3月末をもって、その主な活動を終了し、派遣していた日本人スタッフも無事帰国しました。今後は、長年インドネシアで活動を続けているセーブ・ザ・チルドレン・イン・インドネシアの主導のもと、再び訪れるかもしれない新たな災害にコミュニティが備えられるよう、緊急物資の備蓄を確保していくとともに、子どもたちやコミュニティに災害に関する教育を実施するなど、防災・減災の分野で、引き続き支援を行っていく予定です。
セーブ・ザ・チルドレンの活動に賜りましたご支援・ご協力、本当にありがとうございました。
※教育支援および保健・衛生支援の一部はジャパン・プラットフォームからの助成金により実施しました。