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モンゴル
(公開日:2020.10.02)

【モンゴル 教育支援】「すべての子どもに教育の機会を」SNSを使用した啓発キャンペーン

 
モンゴルでは、多様なニーズを持つ子どもが学ぶことができる教育環境の整備を目指し、2018年3月から「誰一人取り残さないインクルーシブ教育推進事業」を実施しています。今回は、モンゴル全国の教師、保護者、子どもへ向けて、ソーシャル・ネット・ワーキング・サービス(SNS)を活用した啓発活動「すべての子どもに教育の機会を」についてお伝えします(事業の詳細は、過去の記事を参照ください)。

教育の機会が奪われる子どもたち
モンゴルでは、重い障害や病気があると、差別や偏見を恐れ、保護者が子どもを家から出さず家の中に隠してしまうということがあります。また、視覚障害、聴覚障害、知的障害などがある子どもは、公立学校での入学を断られ特別学校への入学を勧められることもあります。さらに、教師に正しい知識や理解がないと、「怠け者、落ち着きがない」という評価を受けてしまいがちな学習障害や発達障害をもつ子どももいます。

他にも、本当は勉強をしたいのに家庭の事情で労働を強いられ学校の授業に追いつけなくなる子どもや、少数民族出身で第一言語ではない言語で進む授業内容が理解できない子どもなど、さまざまな背景をもつ子どもがいます。このような子どもたちは、教師、他の子どもの保護者や、生徒からの差別や偏見により、学校から中退せざるを得ない状況に追い込まれることもあります。

事業対象地での啓発活動
事業の対象となる16の学校と16の生涯学習センターでは、さまざまなニーズをもつ子どもを受け入れるための啓発ワークショップを教師や保護者、生徒を対象に実施しています。ワークショップでは、障害のある子どもの疑似体験やさまざまなニーズをもつ子どもが書いた手紙など具体的な事例を通して特別な支援が必要な子どもの置かれている現状や支援について理解を深めます。このような啓発ワークショップを実施した学校に子どもを通わせた保護者からは、次のようなコメントが届くなど、反響が寄せられています。

「最初に入学を希望した学校では、私の子どもが少し聞こえづらいという理由だけで、『受け入れられません。特別学校に通わせてください。』と入学を断られました。その後も他に2校訪れましたが、同じく断られてしまいました。途方に暮れていた時、知人に『受け入れてくれる学校がある』と紹介されたのが、セーブ・ザ・チルドレンのインクルーシブ教育プロジェクトを実施している学校でした。学校を訪れると、校長も他の教師も、温かく私と子どもを迎えてくれ、思わず涙ぐみました。その後、子どもの入学がすぐに決まり、今は安心して学校に通わせてもらっています。」(ウランバートル市在住、小学校1年生の保護者ガンツェツェクさん)

人々の意識を変えていくことは時間がかかりますが、啓発活動の成果は、より多くの子どもが教育の機会が得られるという形で確実に表れてきています。このような啓発活動を事業の対象地域だけではなく、モンゴル全国に広めるため、SNSを活用した啓発キャンペーンを実施しました。

啓発キャンペーンをモンゴル全国へ
モンゴルでは、子どもから大人まで、国民の9割以上がフェイスブックを使用し、日々の情報収集、友だちから職場の同僚とのコミュニケーション、活動の発信などあらゆる場面で活用しています。そのため、全国に「すべての子どもに教育を」というメッセージを発信しインクルーシブ教育への理解を深めるために、モンゴル事務所の公式フェイスブックを介した啓発キャンペーンを展開しました。

セーブ・ザ・チルドレンは、モンゴルでSNS運用を専門に行う会社と協力し、啓発キャンペーンを3年間行う計画を立てました。年に1回、1つのテーマを決め、1ヶ月間キャンペーンを実施しています。1年目のテーマは、「社会の中で活躍する障害のある人々」、2年目は「さまざまなニーズの子どもと教育」、3年目は「インクルーシブ教育と社会」と段階を経てメッセージを発信しています。今回は、2020年2月から3月にかけて行った、2年目の「さまざまなニーズの子どもと教育」の啓発キャンペーンについてお伝えします。

啓発キャンペーンのロゴには、「みんなちがって、みんないい」という想いを込め「ウールウール(人それぞれ違う)」というモンゴル語の韻を踏んだメッセージを入れました。


キャンペーンロゴ。メッセージは3年間通して一緒だが、1年ごとにデザインや色を変えている。

1ヶ月にわたるキャンペーン中、ビデオ5本、ポスター4点、そして、実話にもとづく子どもたちの体験談を順に発信し、モンゴルの人々に向けて、「すべての子どもたちに教育を」というメッセージを繰り返しフェイスブック上で発信しました。


啓発ポスターでは、「少数民族の子ども、障害のある子ども、家庭の家計を支えるために
労働せざるを得ない子どもも、みんな教育を受ける権利がある」というメッセージを発信している。
(2020年2月〜3月)


キャンペーンの反響

啓発キャンペーン実施期間中は、フェイスブック上のアクセス数は発信した5本の動画合わせて355万9,414回、「いいね」などのリアクションは6万7,449回、コメント数は2,390件に上り、セーブ・ザ・チルドレンモンゴル事務所の日常の投稿記事と比較して、非常に多くの反響があり、社会に広く「どの子どもも教育を受ける権利がある」というメッセージが届いたと感じています。さらに、モンゴル教育省は、この啓発動画を高く評価し、一部を教育省公式フェイスブックページに掲載しました。

私たちに届いたコメントには、次のようなものがありました。
「すばらしい考えです。発信をありがとう。どんな子どもも教育を受ける権利があって、みんなでこれを支えるべきですね。」
「なぜ、違う点があるからと言って集団から異なる人を排除しないといけないのか。どの子どもも教育を受け、社会性を身に付けていくことが大切だ。」
「(インクルーシブ教育を実現するために)保護者と教師が協力していくことが大事。これにより、障害のある子どもを持つ保護者が励まされます。」
「動画の内容は一人ひとりの子どもが違うということをよく示している。すべての子どもは一人ひとり違います。すべての子どもは保護者や教師から愛される権利があります。」

さらに、キャンペーン前後に行ったキャンペーンに触れた人々の意識の変化に関する調査からも、教師や保護者、子どものインクルーシブ教育に関する知識や理解の向上が見られました。


啓発動画の中でも、最もアクセス数が多かった動画「先生、聴いてください!」のサムネイル

モンゴルから世界へ
今回の啓発キャンペーンで作成された動画は、英訳字幕を入れたことにより、モンゴル国内だけではなく、ミャンマーやエチオピアなど他国でもSNSを通して拡散されていることが分かっています。そして、今回、日本語字幕も完成しましたので、ぜひご覧ください。

「すべての子どもに教育を」というメッセージがモンゴルから日本含めた世界中に発信され、多くの子どもたちが学校に安心して通うことができるよう、今後も、モンゴルでインクルーシブ教育推進事業を継続していきます。

本事業は皆さまからのご寄付と、日本NGO連携無償資金協力の助成を受けて実施しています。

(報告:モンゴル駐在員 大場 ありさ)

 

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