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2019年に本国へ帰還できた外国籍の子どもはごくわずか

シリア危機
(公開日:2019.10.24)

シリア北東部の避難民キャンプ
2019年に本国へ帰還できた外国籍の子どもはごくわずか

 
シリア北東部にある3ヶ所の国内避難民キャンプには、シリアとイラク以外の国に国籍を持つ、外国籍の子どもたちが多く暮らしています。2019年1月時点で、9,800人以上いた外国籍の子どもたちのうち、1月から現在までの間に母国へ帰還できた子どもの数は、350人未満とされています[1]。


アイン・イッサ避難民キャンプの様子

2019年10月9日にシリア北東部で軍事作戦が開始される直前までは、アル・ホル、アイン・イッサ、およびロジの3ヶ所の避難民キャンプに、世界40ヶ国以上に国籍を持つ9,500人ほどの外国籍の子どもたちが暮らしていました。

そのうち、2019年1月から10月上旬にかけて、カザフスタン政府は、自国籍の子どもたち156人を本国に帰還させました。この数は、すでに母国への帰還が確認された子どもたちの総数(約350人)の約半数にあたります。

ヨーロッパ諸国では、コソボ政府が74人、フランス政府が17人、そしてスウェーデン政府が7人の子どもたちを、それぞれ自国へ帰還させました[2]。セーブ・ザ・チルドレンは、同地域での戦闘がこれ以上激化する前に、当該国政府に対して、自国民の子どもたちの保護と救出を一刻も早く進めるように呼びかけます。

戦闘前の統計では、シリア北東部の3ヶ所の避難民キャンプに暮らす子どもたちの、おおよそ半数近くは5歳未満で、大多数は12歳未満であることが分かっています[3]。


学校へ避難する子どもたち

アーリアさん(16歳)は、4年前にフランスからシリアにやってきて、現在は、ロジ避難民キャンプで暮らしています。4人きょうだいの長女で、一番下はまだ3歳です。軍事作戦が始まる前、彼女はセーブ・ザ・チルドレンのインタビューに対し、十分な勉強ができていないこと、母国に帰りたいという願いを語っていました。
「私はキャンプの学校で、全学年分の学習を終えましたが、もっと学ぶ必要があると感じています。ここでは必要なことを十分に学べないのです。私はフランスに戻る準備が必要ですが、学習に遅れを取っています。この状況を助けてもらえますか。授業でより難しい内容も学べるように、支援してもらえませんか。午前11時から午後2時までしか学校に通えないのでは、とても物足りません。私は、しっかり勉強して、将来は建築家になりたいと思っています」

セーブ・ザ・チルドレンシリア事務所代表のソニア・クシュは、シリア国内の現状について以下のように述べています。
「私たちは、シリア国内のさまざまな場所で避難している避難民のニーズを調査し、できる限りの支援を提供しています。そして、戦闘の影響からすべての子どもたちが確実に守られ、保護されることを求めています。しかし、この戦闘地帯で命が奪われる可能性のある外国籍の子どもたちは、まだ9,000人近くも存在します。これらの子どもたちの出身国政府は、子どもたちを紛争被害の危険から守り、彼らの命を救うために行動を起こすという選択肢を持っています。子どもたちは日々命を落としています。この現状を阻止するために当事国政府が何も行動を起こさずいることは、決して容認できません。

世界の当事国政府が、自国民である子どもたち、特に生まれて数ヶ月にも満たない子どもたちが、紛争や砲撃、また深刻な剥奪の被害を受けている状況を黙視すべきではありません。シリア国内に滞在している外国籍の子どもたちは、紛争の無実の犠牲者であり相応しい対応が必要です。数十万人のシリアの子どもたちと同様に、この新生児たちもまた、生まれた時点から紛争に巻き込まれています。子どもたちはこの悲惨な経験から立ち直り、健全な精神状態を取り戻すためにも、専門的な助けを必要としています。彼らの回復を助け、支えるのは、当事国政府の責任です」

セーブ・ザ・チルドレンは、当事国に対して、紛争の影響を受けている子どもたちとその家族が安全に母国に帰還し、家族の絆を保ちながら回復していくための支援が提供されるよう呼びかけます。

今週、アイン・イッサ避難民キャンプから数百人の子どもたちが強制移動を強いられましたが、セーブ・ザ・チルドレンは、今後もさらに多くの外国籍の子どもたちが、この紛争時の混乱の中で命を失う恐れがあると警告します。

10月9日に戦闘が開始されてから、シリア北東部およびトルコでは、少なくとも11人の子どもが、頭部の負傷や、身体の切断に至る深刻な負傷により、死亡したと報告されています。ジャーナリストやNGOは、拡大する暴力の影響で、現地で滞在を続けることや当該地域にアクセスすることが難しくなってきており、真相は明らかになっていませんが、子どもたちの死傷者数は、実際にはさらに多いと推測されています。

セーブ・ザ・チルドレンは、戦闘の混乱が続くシリア北東部からシリア人やイラク人、その他あらゆる国籍の子どもたちの身の安全が守られるよう求めます。また、その子どもたちの出身国政府に対しては、子どもたちを速やかに母国に帰還させるように訴えます。
[1] セーブ・ザ・チルドレンは、一般に公開されている入手可能な情報源(ニュース記事、政府による発表、研究報告など)を用いて、データ分析しました。 2019年10月13日時点で、シリア北東部の3ヶ所の避難民キャンプに住んでいる外国籍の子ども8,704人と、本国に帰還することができた約300人についての確認が取れました。
[2] 子どもを本国に送還した他のヨーロッパ諸国には、ベルギー(6人)、ノルウェー(5人)、オランダ(2人)、デンマーク(1人)が含まれます。
[3] セーブ・ザ・チルドレンは、戦闘前に3ヶ所の避難民キャンプに暮らしていた13,350人の外国人女性と子どものうち、子どもの総数の約85%が12歳未満であり、そのうち4,400人、または約45%が5歳未満の子どもと推定しています。

 

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