カンボジア(公開日:2026.02.02)
【カンボジア・コンポンチャム州】子どもたちが安心して過ごせる毎日をめざして――カンボジアの小学校で、3年間の取り組みが生んだ変化とは?
セーブ・ザ・チルドレンは、カンボジア・コンポンチャム州カンメア郡の43校で、子どもに対する暴力をなくし、安心して学べる学校づくり を3年間にわたり支援してきました(2022年3月〜2025年7月)。
1年次には、生徒会を中心に各学校で暴力撤廃に向けた行動計画がつくられ、啓発活動や校内ルールづくりが進み、2年次には「子どもにやさしい相談スペース」の整備など、子どもたち自身が声をあげやすい環境づくりが進みました。(これまでの活動の様子はこちら:1年次、2年次)
そして迎えた3年目。活動が定着してくるとともに、学校と地域の協力関係がより深まり、大きな変化が見られるようになりました。
■ 3年間で学校が変わった
3年目の今回実施した調査では、学校で暴力を経験した子どもの割合が29.7%から16.7% に大きく減少しました。まだ一部の子どもが暴力を経験してしまっているものの、この大きな改善は、3年間の活動の積み重ねの成果です。暴力を許さないという姿勢が、学校の日常の中に根づいてきたことが分かります。カンメア郡の教育局職員や校長先生からは「これまで先生を見ると怒られると思って避けていた子どもたちが、先生に積極的に話しかけるようになった」「子どもたちが積極的に声をあげるようになった」「学校内で暴力が減ったと実感する」といった声も聴かれました。
■生徒会が活動の「原動力」に
生徒会メンバーは、子どもの保護担当教員にサポートを受けて、暴力をなくすための学校の行動計画づくりに取り組み、実践においても中心的な役割を担ってきました。
以下は、生徒会が進めてきた活動の一部です。
o 朝礼で「暴力をしない・させない」メッセージを発信
o 子どもの権利やジェンダー平等についてのミニ授業を実施
o 相談先や相談の方法、学校における通報制度を紹介
o 暴力撤廃に関する地域イベントで司会や進行役を務めるなど、積極的に発信
生徒会が前向きな変化の原動力となり、学校全体に「暴力は許容しない」という考え方・態度が広がっていきました。
■ 「相談できる場所」が23校に
2年次に5校に設置された「子どもにやさしい相談スペース」は、仕切られた小部屋で、子どもに寄り添う先生のサポートを受けながら、安心して悩みを相談できる場所です。
3年次には、「子どもにやさしい相談スペース」やその効果、実際の活用の様子が、学校間交流訪問を通じて伝わり、新たに18校が相談スペース用の部屋を自主的に用意。セーブ・ザ・チルドレンが必要な備品を支援し、合計23校に相談スペースが整備されました。
■暴力撤廃への取り組みを “地域のしくみ”として予算化
学校の取り組みだけでなく、地域行政の協力も大きく進みました。
カンメア郡の全11コミューンが、子どもへの暴力をなくすための活動に予算を割り当てると決定しました。これは、地域が子どもの保護を自分たちの重要な課題として受け止め、事業終了後も活動を継続していく姿勢の表れです。
■ 子ども・学校・地域が“つながる”しくみへ
3年次の調査では、次のような変化も確認されました。
o 体罰を正当と考える大人の割合が、60.6%から28.9%にまで減少(下のグラ
フ参照)
o 暴力が起きた際、学校の通報メカニズムを使って報告する子どもが増加(事業
開始時34.2%→3年次84.9%)
o 子どもの保護に関する学校と地域の連携が、大きく改善(関係者への聞き取り
調査にて、地域の子どもの保護メカニズムとの調整・連携が改善したと答えた割
合:事業開始時37.2%→3年次96.4%)
学校・子ども・地域が同じ方向を向き、子どもを守るための「チーム」として動いています。
■ 最後に ―「取り組みを継続するために」へ
3年間で、学校内で子どもを取り巻く環境は変化し、子どもを守る地域の仕組みが育まれてきました。教育省の担当者からは、「この取り組みを他の州にも広げたい」という声もあがっています。
私たちが学校へ積極的に支援活動を提供するのは2025年7月までです。今後は、これまで事業を通じて必要な知識やスキルを身につけた生徒会、子どもの保護担当教員が中心となって学校での活動を続けていきます。セーブ・ザ・チルドレンは、必要に応じて学校に対し技術的助言を行うなどの側面支援を提供するとともに、今後は、対象の中心をコミュニティに移し、家庭やコミュニティにおける子どもへの暴力撤廃に向けて活動します。
本事業は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」によるご支援と、株式会社 ファーストリテイリング(ユニクロのPEACE FOR ALLプロジェクト)からのご寄付、そして個人・法人の多くの皆さまからのご寄付により実施いたしました。今後も、皆さまからの温かいご支援を力に、子どもたちが毎日安心して過ごせるコミュニティづくりに取り組んでまいります。
(海外事業部 カンボジア事業担当)
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