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南スーダン
(公開日:2026.03.26)

【南スーダン難民支援】子どもたちを暴力から守り、希望を見出せる日常をめざして―地域の人々とともに歩んだ取り組みが生んだ変化

 
長く続く武力衝突や気候変動による生活環境の悪化、そして経済危機。
こうした影響が重なり、南スーダンでは深刻な人道危機が続いています。
2025年に入ってからは政権の対立も激しくなり、人々の暮らしはさらに不安定になりました。

その影響を大きく受けているのが、国内避難民キャンプやホストコミュニティで暮らす子どもや女性たちです。

セーブ・ザ・チルドレンは、マンガラ国内避難民キャンプとホストコミュニティにおいて、2022年から3年間、子どもに対する暴力や性とジェンダーに基づく暴力(Sexual and Gender-Based Violence/SGBV)を防ぎ、必要な支援につなぐ取り組みを行ってきました。(事業の背景やこれまでの活動の様子はこちら:1年目2年目

3年目となる2024年12月〜2025年11月は、これまでの学びを活かしながら、「地域の力」で子どもを守り、子どもや女性自身が力を発揮できる環境づくりに特に力を入れて取り組みました。


地域住民に対する啓発活動の様子(マンガラ国内避難民キャンプ、2025年3月)


地域の力で子どもを守る仕組み
先行事業で立ち上げた「地域に根差した子どもの保護と予防ネットワーク」。
地域の住民から選出され、子どもたちを暴力や虐待から守るために活動する組織です。

3年目には、このネットワークメンバー20人に対して、子どもの保護や対応に関する研修や定期的な会合、助言やコーチングを行い、地域主体で子どもを守るための体制づくりを強化しました。

メンバーたちは地域の中で、暴力などのリスクにさらされている子どもを見つけて必要な支援へつなぎ、子どもと一緒に啓発活動を行うなど、積極的に活動を進めていきました。
また、養育者と離ればなれになった子どもに、食料や宿泊場所を提供し、住居修繕に向けて地域住民に働きかけるなど、主体的な活動の広がりも生まれました。

メンバーからは、
「子どもや思春期の女の子たちへの危険や暴力を減らすために、力になりたい」
「地域の人たちに暴力の予防についてもっと知ってもらい、少しずつ地域を良くしていきたい」
といった想いが聴かれました。



「地域に根差した子どもの保護と予防ネットワーク」メンバーたちが会合で話し合う様子(マンガラ国内避難民キャンプ、2025年9月)


事業のなかでは、メンバーのほか、ソーシャルワーカーによる家庭訪問や地域住民への聞き取りなどによって、虐待やネグレクト、搾取、SGBVなどの暴力を受けた、あるいはそのようなリスクの高い子どもに対して、その子どもが直面している問題の解決に向けた個別支援(ケースマネジメント)を提供しました。


地域住民主導のアプローチで、地域課題へ立ち向かう
児童婚は子どもへの重大な暴力であり、南スーダン全体はもちろんマンガラ地域でも深刻な課題となっています。
1・2年目の活動を通じて、子どもに対する暴力や児童婚などの背景に、根強い伝統的慣習や考え方があることが見えてきました。
そこで3年目は、より根本的な意識と行動の変容を促すために、「地域アクションサイクル」という地域住民主導のアプローチを導入しました。

避難民キャンプとホストコミュニティから選ばれた30人は、地域に潜む課題をみんなで話し合い、原因を整理し、行動につなげるための知識やスキルを学び、実践しました。

この参加型の取り組みを通じて、SGBVを含む暴力や児童婚などの課題について、地域のなかで活発な議論と対話が生まれるようになりました。


児童婚などの課題について、コアメンバーと地域住民が対話している様子
(マンガラ国内避難民キャンプ、2025年7月)

ある参加者は、
「自分のコミュニティで、父親と男性の間で決めていた14歳の女の子の児童婚を止めることができた」と話してくれました。

地域の人々が自ら考え行動し、変化を生み出す力を育みました。


児童婚撤廃に向けた地域規定づくり
地域住民との話し合いの中で、地域住民から「大きな課題」として挙げられた児童婚。
南スーダンでは法律上18歳未満の結婚は禁止されているものの、慣習が強く法律が十分に機能していません。
そこで、マンガラでは児童婚の加害者への罰則など含む地域独自の規定をつくり、地域で撤廃できるように動き始めました。

地域規定をつくるための会議には、自治体の代表、地域裁判所を運営する各部族の伝統的リーダー、キャンプリーダー、女性リーダー、子どもたちなど、さまざまな立場の人々が参加し、話し合いを重ねました。

その結果、児童婚撤廃に向けた地域規定が合意され、実効性を高めるために裁判所の再編成に向けても動き始めています。

コミュニティ全体で子どもを守る“約束”が形になった、大きな一歩です。



地域規定づくりに参加する地域の代表者たち
(マンガラ国内避難民キャンプ、2025年4月)


子どもたち自身が知識を高める
3つの学校の「子どもの権利クラブ」に所属する子どもたちに研修を行いました。

研修では、子どもに対する暴力や搾取、ネグレクト、児童婚など、自身を取り巻く課題やその影響について理解を深めるとともに、自分の学校や地域でできる取り組みについて学びました。


研修を受ける子どもたち(マンガラ国内避難民キャンプ、2025年3月)


研修のあと、子どもたちは地域での啓発活動に積極的に参加し、『児童婚を終わらせる最良の方法は教育である』『児童婚は撤廃すべきである』というテーマで、学校内の対話会を自ら企画・実施しました。こうした取り組みは他の学校にも広がり、大きな影響をもたらしました。

子どもたちが、自ら現状を変えるために動きはじめています。


女子や女性へのエンパワメント
これまでの活動を通じて、女子や女性からは、
「生計向上のためのスキルを身につけたい」
という声が多く届いていました。

そこで、SGBVサバイバー(SGBV被害に遭った人)や10代のシングルマザーなど脆弱な立場におかれている女子と女性90人を対象に、液体石鹸づくりや基礎的なビジネススキルの研修を実施。さらに、製造・販売を始められるようスタートアップ支援キットも配布しました。



液体石鹸づくりの様子(マンガラ国内避難民キャンプ、2025年7月)


参加者からは、
「石鹸の販売で子どもの学費や医療費が払えるようになり、生活が大きく改善した」
「同じような困難を抱えるシングルマザーや10代の女子にスキルを教え、自立をサポートしている」
といった声が寄せられています。

経済的に自立することで、女性たちが家庭や地域での意思決定に関わる機会が増え、現状を自ら変えていく力を手にしつつあります。(参加者のストーリーはこちら:【国際女性デー】社会の壁を越え、自ら未来を切り拓く


事業を通して得られた成果とこれから

今回の事業を含む3年間の事業を通じて、避難民キャンプとホストコミュニティでは、
子どもを守る地域の仕組みが育まれ
地域の子どもや大人が、子どもの保護や子どもの権利についての理解を深め
地域のなかで、SGBVを含む暴力や児童婚をめぐる対話が活発になり
児童婚を予防するための規定が合意される
などといった、前向きな変化が生まれました。

今後は、これまでの事業を通じて知識やスキルを身につけた地域住民、学校関係者、地域リーダーが中心となり、子どもを暴力から守り、支援が必要な子どもをサポートし、暴力そのものをなくしていくための活動を続けていきます。

厳しい状況が続く南スーダンですが、地域の人々が自らの力で未来を変えていこうとする確かな動きが生まれています。

本事業はジャパン・プラットフォームからのご支援と個人・法人の多くのみなさまのご寄付により実施しました。


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(海外事業部 南スーダン事業担当)

 

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