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シリア危機
(公開日:2026.06.24)

帰ろうとした家も学校も瓦礫だったーリナさん(12歳)*の体験

 
シリア、2026年6月18日 :過去18ヶ月間で約200万人の子どもたちが故郷のシリアに戻りました。これは世界でも最大規模の自発的な難民の帰還になりますが、多くの子どもたちは、自宅が損壊し、基本的なサービスが機能不全に陥り、土地が爆発物によって汚染されている現状に直面しています[1]。



自身が暮らす避難民キャンプを見つめるリナさん*


「世界難民の日」を迎え、セーブ・ザ・チルドレンをはじめとする子どもの権利擁護団体は、大規模な帰還が行われることによって、14年におよぶ紛争が2024年12月に終結した後の「シリアの状況は安全である」というような錯覚が生み出され、シリア人に対して帰国を迫る圧力となっていることを懸念しています[2]。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の最新の統計によると、2024年12月8日のシリアにおける政治的移行以降、帰国した160万人以上の難民のうち、推定95万3,000人が子どもでした。また、セーブ・ザ・チルドレンの推計では、シリア国内で国内避難民となっていた約102万人の子どもたち[3]も、出身地に戻っています。

人々が帰還する中、人口の70%近くに当たる1,560万人(うち750万人は子ども)が、依然として人道支援を必要としています[4]。家族たちは、紛争、経済の崩壊、長年の破壊行為により、基本的な社会サービス、インフラ、保護体制が著しく弱体化した地域へと戻っています。

昨年末にセーブ・ザ・チルドレンが90世帯を対象に実施した調査によると、子どもたちは安全ではなく、生活不可能な状況下に戻っていることが明らかになりました。調査対象となった世帯の約3分の2が、帰還した後に自宅が損傷していたり、破壊されていたりしたことに気づいたと答えています。またほぼ同数の世帯が、水と電気両方へのアクセスが不十分であると答えています[5]。

セーブ・ザ・チルドレンは、ようやく帰還した世帯が、脆弱な地域に戻ることで、再び強制的に移動を余儀なくされるような事態に簡単に直面しかねない状況にあることを危惧しています。調査では、4分の3の世帯が、「経済状況がさらに悪化すれば、再び移住をせざるを得なくなる」と答え、3分の2近くが「治安の悪化」についても同様の懸念があると答えています。

また、思春期の少女たちは、通学路における危険、学校中退、児童婚など、特定のリスクに直面し、更に、障害のある子どもたちは、家族が必要としている支援サービスから排除されることも多いことがわかっています。

子どもたちは、紛争の残骸ともいえる不発弾の脅威にもさらされています。NGOの安全を助言する機関:INSOによると、2024年12月から2025年12月の間に発生した、シリアにおける爆発性残存物による民間人の犠牲者のうち、全犠牲者の37%、死亡者の28%が子どもであることがわかっています。不発弾が散在している場所の多くは農地や、人々が毎日歩く道沿いにあります。
また、完全に機能している病院は57%、一次医療センターは37%にとどまっています。

リナさん(12歳)*は家族と共に自宅に帰りましたが、自宅も学校も瓦礫と化していることを知り、5年間暮らしてきた避難民キャンプに戻ることになりました。彼女は「村に着いたとき、家も学校も瓦礫と化していて、そこに留まることはできなかったので、キャンプに戻りました。私たちは単なる数字ではありません。私たちには顔があり、夢があり、小さくても強いこころがあるのです」と言います。

セーブ・ザ・チルドレン・シリア事務所所長代行のジェレミー・ストーナーは、次のように話します。
「シリアで14年間続いた紛争により、国内の全人口2,500万人の半数が避難を余儀なくされたほか、瓦礫と廃墟の中で生まれ、戦前の生活を一度も経験したことのない子どもの世代が形成されてしまいました。今家族たちは、子どもたちがようやく安全と平和の中で成長できることを願って、故郷に戻ってきています。

しかし、電気や水道が供給されず、食料も不足し、学校や医療もない状況では、どの子どもも新たなスタートを切ることはできません。地面には爆発物が散乱しており、外へ一歩踏み出すことさえ怖くてできないのです。

国際法は、難民の帰還は自発的、安全、尊厳を保ち、かつ十分な情報に基づいたものでなければならないと定めています。しかし現在の状況は安全とは言えません。すでに、シリア紛争によって一世代全ての子どもたちの幼少期が奪われてしまいました。この世代の子どもたちがこれ以上代償を払い続けることのないよう、今こそ復興に向けた大規模な投資が必要です。」

セーブ・ザ・チルドレンは、シリア政府、難民の受け入れ国政府、国連、およびドナー国に対し、帰還に関する決定において、子どもたちの安全、権利、そして回復を最優先に考慮するよう求めています。また、子どもたちが安全に帰還し、その地で生活し続けるために必要な環境整備への投資も求めています。具体的には、爆発性残存物の大規模かつ組織的な除去、医療・水・教育の復旧支援、そして帰還した子どもたちへの身分証明書の確実な発行などが挙げられます。

セーブ・ザ・チルドレンは2012年からシリアで活動しており、子どもの保護、教育、食料安全保障と生計支援、水・衛生、保健・栄養の分野において、300万人以上の子どもを含む500万人以上に支援を提供してきました。




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※プライバシー保護のため名前は変更されています


【脚注】:  
[1]  Data from UNHCR, the UN Refugee Agency, shows that an estimated 953,000 children have returned to Syria since 8 December 2024. Children make up an estimated 57% of total refugee returnees in this time period.
[According to a UNHCR Syria operational update from December 2025, approximately 2 million internally displaced people (IDPs) had returned to their homes. According to the International Organisation for Migration (IOM), children account for 51% of Syrian IDP returns. 51% of 2 million is 1,020,000.
953,000 plus 1,020,000 is 1,973,000. 
[2] Why Syrian refugee return is driven by push, not pull - Migration Policy Centre 
[3] UNHCR Syria Governorates of Return Overview, 15 January 2026: UNHCR governorates of return dashboard - 15 January 2026
[4] Syrian Arab Republic: Humanitarian Overview Issue No. 4 | January - February 2026 [EN/AR] - Syrian Arab Republic | ReliefWeb
[5] Save the Children ‘One Shock Away’ report, based on 90 household surveys, 12 focus group discussions and 12 in-depth child case studies. Conducted between September and November 2025

















 

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