ウガンダ(公開日:2025.04.01)
【ウガンダ】「子どもの声が社会を変える」――ウガンダ・アルアで進む子ども参加の今
日本では、2023年4月1日に「こども基本法」が施行され、2年を迎えました。この法律では、「子どもが意見を表明し、社会に参加する権利」が明記されており、その理念に基づいてこども家庭庁が新設されました。セーブ・ザ・チルドレンは、子どもの声が政策に反映されるよう、国内におけるさまざまな取り組みを支援しています。
(詳しくは【開催報告】第4回自治体職員向け勉強会「子ども基本法施行からもうすぐ2年 子ども参加の現在」を開催しましたをご覧ください)
そして日本から遠く離れたアフリカ大陸東部に位置するウガンダでも、 同じように子どもたちの声が社会に届く仕組みづくりを進めています。現在、セーブ・ザ・チルドレンが同国北西部アルア県・アルア市で実施中の「子どもの保護システム強化事業」では、子どもがさまざまな場面で意見を表明する機会を支援し、それが地域の制度や政策に反映されることを目指しています。こうした取り組みは、「子どもアドボカシー」と呼ばれ、子ども自身の主体的な発信を後押しする重要な活動です。
(本事業については、【ウガンダ】社会福祉オフィサーが語る、家族としての愛着を育む子育て支援の重要性、【ウガンダ】子どもの保護システム強化事業・2年目へもぜひご覧ください)
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■子どもの声に力を――子どもグループと共に歩む大人たちの存在
アルア県・アルア市内では、10〜19歳の子ども・若者によって構成される子どもグループ(Child Reference Group、通称CRG)が活動しています。CRGは、地域の子ども・若者自身が地域の課題を話し合い、意見を取りまとめ、地域社会や行政に向けて発信する子ども主導のグループです。
アルア市のCRGの議長を務めるジュリアンさん(19歳)は、参加のきっかけについて次のように語ってくれました。
「ソーシャルワーカーのお母さんが、地域の子どもたちのために働く姿を見て、自分も子どもの権利を発信したいと思うようになりました。」
子どもたちが安心して自分の意見を発信できるようにするには、大人たちのサポートも欠かせません。CRGの定期会合には、保護者の代表や県・市の保護担当官も参加し、子どもたちが主体的に議論を進められるよう見守り、必要に応じてサポートを行っています。
さらにセーブ・ザ・チルドレンは、地域の大人たちによって構成される社会的アカウンタビリティ委員会(Social Accountability Committee、通称SAC)をアルア県・アルア市に設立しました。SACのメンバーは、CRGによる啓発活動を支援するほか、学校や地域で暮らすさまざまな背景の子どもたちの声を集め、行政に届ける役割も担っています。
■「私たち抜きに決めないで」――地域・国を超えて子どもの意見を発信
セーブ・ザ・チルドレンは、子どもの権利の実現に向けて、子どもたちを重要なパートナーと位置づけています。その理念を体現する取り組みのひとつが、「Nothing About Us Without Us(私たち抜きに決めないで)」を掲げて設立された子ども諮問委員会(Child Advisory Committee、通称CAC)です。
CACは、ウガンダ国内の各地域にあるCRGの代表によって構成され、セーブ・ザ・チルドレンの支援戦略に子どもの意見がきちんと反映されるよう、幹部スタッフと定期的な対話を行っています。
アルア市のCRGを代表してCACに所属するハビバさん(17歳)は、さらにその活動の枠を広げ、CACの代表として東アフリカ地域の子どもの権利に関する国際会議にも参加しました。そこでは、ウガンダの子どもたちの声を背負いながら、教育、ジェンダー、保護といったテーマに関して、自らの言葉でグローバルな場に意見を発信しました。
■子どもの声を社会へ ――ニュースと式典で伝えるジェンダー平等と子どもの権利
セーブ・ザ・チルドレンは、子どもの権利の実現に向けて、子ども自身の声が社会に届くよう支援しています。
2024年11月20日の「世界こどもの日(World Children’s Day)」には、アルア県のCRGを代表して、ヌスラさん(14歳)がウガンダの全国放送局の朝のニュース番組に出演しました。
ヌスラさんは番組の中で、こう語りました。
「家事は“女性がやるべきもの”だと社会が見なしているせいで、大人は女子にばかり家事を押しつけています」
「学校に通えていない女の子が地域にはたくさんいます。大人たちは、その現実から目を背けないでほしい」
子ども自身の視点から、日々の生活の中にあるジェンダーの不平等について力強く社会に訴えかけるその姿は、多くの人の心を動かしました。
ニュース番組に出演する2人の子どもとセーブ・ザ・チルドレンのアドボカシー担当のスタッフ
また2025年3月8日「国際女性デー(International Women’s Day)」を祝う式典がアルア県で開催され、500人を超える参加者の前で、アルア県のCRGを代表する4人の子どもたちがジェンダーの不平等について声を上げました。
「女子がこんなに多くの人の前で話しているのを、これまで見たことがありますか?」
「なぜアルアでは、女子が砂肝を食べてはいけないという慣習があるのでしょうか?」
子どもたちは、地域に根付くジェンダーに関する慣習や不平等な価値観について、参加者に率直な問いを投げかけ、ジェンダーに関する無意識の思い込みや地域に残る慣習に目を向けるきっかけを、会場全体に与えました。
日本で「こども基本法」が施行されてから2年。子どもが意見を表明し、社会に参加する権利は、世界各地でも少しずつ形になり始めています。子どもたちは自らの言葉で地域や社会に問いかけ、変化を生み出す力を持っています。
子どもの声に耳を傾け、共に歩む大人の存在が、その力をより確かなものにします。セーブ・ザ・チルドレンは、これからも子どもの声に力を与え、子どもたちと共に、子どもの権利の実現に向けた支援を行っていきます。
本事業は皆様からのご寄付と、日本NGO連携無償資金協力からの支援で実施しています。
(海外事業部 ウガンダ駐在員 内藤 優和)
(詳しくは【開催報告】第4回自治体職員向け勉強会「子ども基本法施行からもうすぐ2年 子ども参加の現在」を開催しましたをご覧ください)
そして日本から遠く離れたアフリカ大陸東部に位置するウガンダでも、 同じように子どもたちの声が社会に届く仕組みづくりを進めています。現在、セーブ・ザ・チルドレンが同国北西部アルア県・アルア市で実施中の「子どもの保護システム強化事業」では、子どもがさまざまな場面で意見を表明する機会を支援し、それが地域の制度や政策に反映されることを目指しています。こうした取り組みは、「子どもアドボカシー」と呼ばれ、子ども自身の主体的な発信を後押しする重要な活動です。
(本事業については、【ウガンダ】社会福祉オフィサーが語る、家族としての愛着を育む子育て支援の重要性、【ウガンダ】子どもの保護システム強化事業・2年目へもぜひご覧ください)
■子どもの声に力を――子どもグループと共に歩む大人たちの存在
アルア県・アルア市内では、10〜19歳の子ども・若者によって構成される子どもグループ(Child Reference Group、通称CRG)が活動しています。CRGは、地域の子ども・若者自身が地域の課題を話し合い、意見を取りまとめ、地域社会や行政に向けて発信する子ども主導のグループです。
アルア市のCRGの議長を務めるジュリアンさん(19歳)は、参加のきっかけについて次のように語ってくれました。
「ソーシャルワーカーのお母さんが、地域の子どもたちのために働く姿を見て、自分も子どもの権利を発信したいと思うようになりました。」
子どもたちが安心して自分の意見を発信できるようにするには、大人たちのサポートも欠かせません。CRGの定期会合には、保護者の代表や県・市の保護担当官も参加し、子どもたちが主体的に議論を進められるよう見守り、必要に応じてサポートを行っています。
さらにセーブ・ザ・チルドレンは、地域の大人たちによって構成される社会的アカウンタビリティ委員会(Social Accountability Committee、通称SAC)をアルア県・アルア市に設立しました。SACのメンバーは、CRGによる啓発活動を支援するほか、学校や地域で暮らすさまざまな背景の子どもたちの声を集め、行政に届ける役割も担っています。
■「私たち抜きに決めないで」――地域・国を超えて子どもの意見を発信
セーブ・ザ・チルドレンは、子どもの権利の実現に向けて、子どもたちを重要なパートナーと位置づけています。その理念を体現する取り組みのひとつが、「Nothing About Us Without Us(私たち抜きに決めないで)」を掲げて設立された子ども諮問委員会(Child Advisory Committee、通称CAC)です。
CACは、ウガンダ国内の各地域にあるCRGの代表によって構成され、セーブ・ザ・チルドレンの支援戦略に子どもの意見がきちんと反映されるよう、幹部スタッフと定期的な対話を行っています。
アルア市のCRGを代表してCACに所属するハビバさん(17歳)は、さらにその活動の枠を広げ、CACの代表として東アフリカ地域の子どもの権利に関する国際会議にも参加しました。そこでは、ウガンダの子どもたちの声を背負いながら、教育、ジェンダー、保護といったテーマに関して、自らの言葉でグローバルな場に意見を発信しました。
■子どもの声を社会へ ――ニュースと式典で伝えるジェンダー平等と子どもの権利
セーブ・ザ・チルドレンは、子どもの権利の実現に向けて、子ども自身の声が社会に届くよう支援しています。
2024年11月20日の「世界こどもの日(World Children’s Day)」には、アルア県のCRGを代表して、ヌスラさん(14歳)がウガンダの全国放送局の朝のニュース番組に出演しました。
ヌスラさんは番組の中で、こう語りました。
「家事は“女性がやるべきもの”だと社会が見なしているせいで、大人は女子にばかり家事を押しつけています」
「学校に通えていない女の子が地域にはたくさんいます。大人たちは、その現実から目を背けないでほしい」
子ども自身の視点から、日々の生活の中にあるジェンダーの不平等について力強く社会に訴えかけるその姿は、多くの人の心を動かしました。
ニュース番組に出演する2人の子どもとセーブ・ザ・チルドレンのアドボカシー担当のスタッフ
また2025年3月8日「国際女性デー(International Women’s Day)」を祝う式典がアルア県で開催され、500人を超える参加者の前で、アルア県のCRGを代表する4人の子どもたちがジェンダーの不平等について声を上げました。
「女子がこんなに多くの人の前で話しているのを、これまで見たことがありますか?」
「なぜアルアでは、女子が砂肝を食べてはいけないという慣習があるのでしょうか?」
子どもたちは、地域に根付くジェンダーに関する慣習や不平等な価値観について、参加者に率直な問いを投げかけ、ジェンダーに関する無意識の思い込みや地域に残る慣習に目を向けるきっかけを、会場全体に与えました。
日本で「こども基本法」が施行されてから2年。子どもが意見を表明し、社会に参加する権利は、世界各地でも少しずつ形になり始めています。子どもたちは自らの言葉で地域や社会に問いかけ、変化を生み出す力を持っています。
子どもの声に耳を傾け、共に歩む大人の存在が、その力をより確かなものにします。セーブ・ザ・チルドレンは、これからも子どもの声に力を与え、子どもたちと共に、子どもの権利の実現に向けた支援を行っていきます。
本事業は皆様からのご寄付と、日本NGO連携無償資金協力からの支援で実施しています。
(海外事業部 ウガンダ駐在員 内藤 優和)