マダガスカル(公開日:2025.07.10)
【マダガスカル 栄養改善支援編】
事業開始から1年、地域の力で取り組む子どもの栄養支援
アフリカ大陸南東部沖に位置する島国のマダガスカルでは、気候変動の影響により、干ばつやサイクロンが頻発し、特に南東部のマナンジャリー郡とヌシヴァリカ郡では、主な産業である農業が大きな被害を受けています。その結果、食料の確保が困難となり、子どもたちの栄養不良が深刻な課題となっています。
マダガスカルでは、2021年時点で、0〜23ヶ月の子どもの39.8%が慢性的な栄養不良、6〜59ヶ月の7.5%が急性栄養不良という状況にあります1 。この背景には、食料不足だけでなく、農業技術や栄養知識の不足、金融サービスの未整備といった複合的な課題があります。
こうした背景から、セーブ・ザ・チルドレンは、2024年3月から2025年3月にかけて、生計向上支援も含めた子どもの栄養改善支援を行いました 。
前編「生計向上支援編」でお伝えしたように、農業の生産性向上や収入の安定化は、家族が栄養価の高い食事を得るための基盤となります。加えて、子どもの栄養不良の予防・改善のためには、家族が子どもの栄養に関する正しい知識を得ることも不可欠です。今回は後編「栄養改善支援 編」として、子どもの栄養改善に向けた活動を紹介します。
地域での栄養改善活動の担い手として、養育者の中からリーダーを選出し、衛生習慣や栄養知識に関する研修を実施しました。医療施設へのアクセスが難しい地域では、養育者リーダーが手洗いの重要性や栄養価の高い食事の工夫を地域に広め、他の養育者の相談役として子どもの栄養不良の予防体制づくりに重要な役割を果たしています。養育者たちは、乳幼児の栄養摂取や衛生管理、出産前後の母親支援について学んだ知識を家庭に取り入れ、子どもの健康的な成長を支えています 。
左:栄養と多様な食材の大切さについての啓発セッション
右:養育者リーダー が調理した栄養バランスを考えた食事の試食
アニャさん(37歳)と娘のアイナさん(6ヶ月)。これまで1日2回の授乳のみでしたが、地域での離乳食や栄養に関する啓発活動をきっかけに、現在は1日10回以上の授乳と離乳食を取り入れています。
また、栄養不良児の早期発見のため、地域の保健ボランティアが養育者リーダー に上腕周囲径を用いた測定方法を指導し、上腕周囲径(MUAC)テープを配布しました。これにより、養育者リーダー 自身が日常的に子どもの栄養状態を確認できる体制を築くことができました。研修を受けた養育者リーダー および地域の養育者たちによって、急性栄養不良の疑いがある子ども295人を特定しました。このうち、急性栄養不良と診断された105人の子どもたちは 、地域保健センターと連携して診察を受けられるようにし、栄養補助食品や食料バスケットの支援につなげることができました。また、保健ボランティアと看護師・助産師の支援により地域保健センターで中 度急性栄養不良と診断された子どもに対しては、継続的なケアが受けられるよう、地域に支援体制を整えました。
地域保健センターや の急性栄養不良児への対応体制を強化するため、医療従事者を対象に国の公式な治療ガイドライン である「PECMAM(中度急性栄養不良の管理)」および「PECMAS(重度急性栄養不良の管理)」に基づき、栄養不良児の診断から治療・フォローアップまでの対応に関する研修を実施しました。研修前後で理解度テストを実施したところ、研修前の平均正答率は67.2%でしたが、研修後は91.3%に向上し、参加者が理解を深めたことが確認されました。 また、身長計や体重計などを地域保健センターに設置し、栄養不良児の早期発見と迅速な対応につながる体制の強化を図りました。
さらに、この事業における成果を広く共有し、国の栄養政策への反映を促すため、地域および国レベルでワークショップ を開催しました。2024年7月、10月、2025年3月に計3回開催された地域レベルのワークショップでは、公衆衛生局、栄養局 、国連児童基金(UNICEF)、他NGOと連携し、地域の栄養支援の現状を整理し、課題と連携強化の方向性を協議しました。2025年1月には国レベルのワークショップを実施し、国家栄養政策(PNN)および国家マルチセクター行動計画(PNAM)2022-2026の資金拡充の必要性や既存のセーフティネットに栄養不良児を組み込む方策について協議しました。また、養育者リーダー の活動成果を紹介し、地域での取り組みを政策に位置付けていく重要性と資金確保について提言を行いました。
この事業は2025年3月をもって完了、引き続き第2期事業を通じて支援を継続していきます。
本事業は外務省「日本NGO連携無償資金協力」によるご支援と、個人・法人の多くの皆さまのご寄付により実施しました。
(海外事業部 マダガスカル事業担当 飛松真理奈)
マダガスカルでは、2021年時点で、0〜23ヶ月の子どもの39.8%が慢性的な栄養不良、6〜59ヶ月の7.5%が急性栄養不良という状況にあります1 。この背景には、食料不足だけでなく、農業技術や栄養知識の不足、金融サービスの未整備といった複合的な課題があります。
こうした背景から、セーブ・ザ・チルドレンは、2024年3月から2025年3月にかけて、生計向上支援も含めた子どもの栄養改善支援を行いました 。
前編「生計向上支援編」でお伝えしたように、農業の生産性向上や収入の安定化は、家族が栄養価の高い食事を得るための基盤となります。加えて、子どもの栄養不良の予防・改善のためには、家族が子どもの栄養に関する正しい知識を得ることも不可欠です。今回は後編「栄養改善支援 編」として、子どもの栄養改善に向けた活動を紹介します。
地域での栄養改善活動の担い手として、養育者の中からリーダーを選出し、衛生習慣や栄養知識に関する研修を実施しました。医療施設へのアクセスが難しい地域では、養育者リーダーが手洗いの重要性や栄養価の高い食事の工夫を地域に広め、他の養育者の相談役として子どもの栄養不良の予防体制づくりに重要な役割を果たしています。養育者たちは、乳幼児の栄養摂取や衛生管理、出産前後の母親支援について学んだ知識を家庭に取り入れ、子どもの健康的な成長を支えています 。
左:栄養と多様な食材の大切さについての啓発セッション
右:養育者リーダー が調理した栄養バランスを考えた食事の試食
アニャさん(37歳)と娘のアイナさん(6ヶ月)。これまで1日2回の授乳のみでしたが、地域での離乳食や栄養に関する啓発活動をきっかけに、現在は1日10回以上の授乳と離乳食を取り入れています。
また、栄養不良児の早期発見のため、地域の保健ボランティアが養育者リーダー に上腕周囲径を用いた測定方法を指導し、上腕周囲径(MUAC)テープを配布しました。これにより、養育者リーダー 自身が日常的に子どもの栄養状態を確認できる体制を築くことができました。研修を受けた養育者リーダー および地域の養育者たちによって、急性栄養不良の疑いがある子ども295人を特定しました。このうち、急性栄養不良と診断された105人の子どもたちは 、地域保健センターと連携して診察を受けられるようにし、栄養補助食品や食料バスケットの支援につなげることができました。また、保健ボランティアと看護師・助産師の支援により地域保健センターで中 度急性栄養不良と診断された子どもに対しては、継続的なケアが受けられるよう、地域に支援体制を整えました。
地域保健センターや の急性栄養不良児への対応体制を強化するため、医療従事者を対象に国の公式な治療ガイドライン である「PECMAM(中度急性栄養不良の管理)」および「PECMAS(重度急性栄養不良の管理)」に基づき、栄養不良児の診断から治療・フォローアップまでの対応に関する研修を実施しました。研修前後で理解度テストを実施したところ、研修前の平均正答率は67.2%でしたが、研修後は91.3%に向上し、参加者が理解を深めたことが確認されました。 また、身長計や体重計などを地域保健センターに設置し、栄養不良児の早期発見と迅速な対応につながる体制の強化を図りました。
さらに、この事業における成果を広く共有し、国の栄養政策への反映を促すため、地域および国レベルでワークショップ を開催しました。2024年7月、10月、2025年3月に計3回開催された地域レベルのワークショップでは、公衆衛生局、栄養局 、国連児童基金(UNICEF)、他NGOと連携し、地域の栄養支援の現状を整理し、課題と連携強化の方向性を協議しました。2025年1月には国レベルのワークショップを実施し、国家栄養政策(PNN)および国家マルチセクター行動計画(PNAM)2022-2026の資金拡充の必要性や既存のセーフティネットに栄養不良児を組み込む方策について協議しました。また、養育者リーダー の活動成果を紹介し、地域での取り組みを政策に位置付けていく重要性と資金確保について提言を行いました。
この事業は2025年3月をもって完了、引き続き第2期事業を通じて支援を継続していきます。
本事業は外務省「日本NGO連携無償資金協力」によるご支援と、個人・法人の多くの皆さまのご寄付により実施しました。
(海外事業部 マダガスカル事業担当 飛松真理奈)
1 ONN, Politique Natinalede Nutition à Madagascar 2022-2030. P.12




