ベトナム(公開日:2025.08.26)
【事業完了報告】ベトナム・母子の健康を守るための思春期の性と生殖の健康サービス改善事業
2023年1月から2025年3月にかけて、第一三共株式会社のご支援のもと、ベトナム・イエンバイ省の山岳地域に暮らす少数民族の青少年を対象に、思春期の性と生殖の健康に関する支援事業を実施しました。この記事ではその成果についてご報告します。
事業対象地では、児童婚や意図しない妊娠、未成年の出産など、思春期の性と生殖に関する課題が根強く残る一方で、青少年自身や彼らを取り巻く大人の知識は不十分であり、地域で提供されている青少年向けの性と生殖に関する保健サービスは不足していました(事業対象地での課題の詳細はこちら)。また10代での結婚・妊娠・出産が依然として多い背景には、女性に早期の結婚や出産を期待するジェンダー規範や、婚姻・性的な関係において女性が受け身であること、避妊の責任が女性に偏っていることなどのジェンダー不平等があり、性と生殖に関する課題はジェンダー不平等と不可分との認識もありました。そこで、この事業では15歳から19歳の男女と養育者をはじめとする周りの大人が思春期の性と生殖の健康とジェンダー平等に関する知識を持ち、青少年が必要なサービスを安心して受けられるよう、学校・保健施設・地域が協働して取り組みました。
主な活動とその結果
1) 青少年とその周りの大人の知識が向上する
● 性と生殖とジェンダー平等に関する基礎的な教材として小冊子、フリップチャート(紙芝居形式の教材)、ポスターを作成しました。ベトナム語の理解が難しい一部の少数民族、シニア層などにも理解しやすいようイラストを多用しました。
● 学校・保健施設・地域での活動を支援する役割を担う、教員、保健スタッフ、地域関係者へ思春期の性と生殖の健康とジェンダー平等に関する研修を行いました。
● 学校では、生徒クラブやイベントを通じて思春期の性と生殖の健康について学ぶ機会を提供。4校で70のクラブが設立され、4,070人の生徒が参加しました。クラブでは劇やクイズを通じて、友情や恋愛、男女平等、性的関係、避妊法、児童婚の習慣などをテーマに学びを深めました。
● 地域では保護者クラブを40村で設立。1,170人の保護者が参加し、子どもとのコミュニケーションや保護者が知っておくべき知識について意見を交わしました。
[数字で見る成果]
2) 保健施設での相談窓口設置とサービス改善
● 10ヶ所の保健施設に青少年向けの相談窓口を設置し、青少年が安心して相談できる環境を整備。月経不順や避妊、性感染症などの相談が850件以上寄せられ、280人には継続的なフォローアップが行われました。
● 窓口の設置にあたっては、青少年からのヒアリングから得られた次の要望(抜粋)に配慮しました。(1)安全とプライバシーが確保されている、(2)カウンセラーは思春期の性と生殖に関する専門知識を有し、現地の文化を理解している、(3)カウンセラーが高いカウンセリング能力を持ち、青少年との信頼関係を築ける、(4)多様性を尊重し、青少年の選択する権利を尊重する。
[数字で見る成果]
• 保健施設の思春期の性と生殖に関するサービス品質基準達成率:0% → 100%
• 思春期の性と生殖に関するサービスを利用しやすいと感じる青少年の割合:23.5% → 87.5%
3) 政策への組み込みと他地域への広がり
● 事業の成果は、現地コミューン(ベトナム農村地域での最小行政単位)の保健計画に反映されました。さらにイエンバイ省が発表した保健戦略に思春期の性と生殖の健康に関する活動が盛り込まれ、事業終了後も活動が継続される基盤が整いました。
● 最終ワークショップでは他省への展開が議論され、思春期の性と生殖の健康とジェンダー平等に両輪で取り組む事業の成功モデルが広く共有されました。ベトナム国内の主要メディア12社でも事業が紹介され、社会的な認知も高まりました。
[数字で見る成果]
• 事業成果を地域計画に反映したコミューン 数:6(100%)
• 行政関係者が思春期の性と生殖の健康やジェンダー平等を、自らの担当区域で推進したいと表明した割合:96.8%
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受益者の声
「以前は、恋愛や性と生殖の健康について話すことは、女性だけが心配することだと思っていました。でも生徒クラブ活動のおかげで、男性にとっても大切なことだとわかりました。女性を尊重し、正直にコミュニケーションをとることを学びました。そのおかげで、友人関係に自信が持てるようになりました。また、こういったことでストレスを感じることが少なくなったので、勉強に集中できるようになりました。」
—事業を実施した高校に通う男子生徒
「初めて保護者クラブの活動に参加した際は意見交換する内容に戸惑いましたが、村の女性組合1 の後押しにより思春期の性と生殖の健康の重要性を理解しました。この知識は私と子どもにとって有益です。」—13歳の子どもを持つ保護者(女性)
思春期の性と生殖の健康とジェンダー平等に関する知識とスキルは、子どもたちの心身の健康を守るだけでなく、彼らの教育や将来の選択肢を広げる力となり、次世代の子どもたちの健康や地域社会の発展にもつながります。今後も、現地行政主導のもとで活動が継続され、変化が広がり続けることを願っています。
(海外事業部 瀬戸口千佳)
1 女性の権利擁護・社会参加の促進を目的とし、ベトナム政府の下に組織された、中央から地方までの組織構造を持つ団体
事業対象地では、児童婚や意図しない妊娠、未成年の出産など、思春期の性と生殖に関する課題が根強く残る一方で、青少年自身や彼らを取り巻く大人の知識は不十分であり、地域で提供されている青少年向けの性と生殖に関する保健サービスは不足していました(事業対象地での課題の詳細はこちら)。また10代での結婚・妊娠・出産が依然として多い背景には、女性に早期の結婚や出産を期待するジェンダー規範や、婚姻・性的な関係において女性が受け身であること、避妊の責任が女性に偏っていることなどのジェンダー不平等があり、性と生殖に関する課題はジェンダー不平等と不可分との認識もありました。そこで、この事業では15歳から19歳の男女と養育者をはじめとする周りの大人が思春期の性と生殖の健康とジェンダー平等に関する知識を持ち、青少年が必要なサービスを安心して受けられるよう、学校・保健施設・地域が協働して取り組みました。
主な活動とその結果
1) 青少年とその周りの大人の知識が向上する
● 性と生殖とジェンダー平等に関する基礎的な教材として小冊子、フリップチャート(紙芝居形式の教材)、ポスターを作成しました。ベトナム語の理解が難しい一部の少数民族、シニア層などにも理解しやすいようイラストを多用しました。
事業で作成した教材例
● 学校・保健施設・地域での活動を支援する役割を担う、教員、保健スタッフ、地域関係者へ思春期の性と生殖の健康とジェンダー平等に関する研修を行いました。
● 学校では、生徒クラブやイベントを通じて思春期の性と生殖の健康について学ぶ機会を提供。4校で70のクラブが設立され、4,070人の生徒が参加しました。クラブでは劇やクイズを通じて、友情や恋愛、男女平等、性的関係、避妊法、児童婚の習慣などをテーマに学びを深めました。
● 地域では保護者クラブを40村で設立。1,170人の保護者が参加し、子どもとのコミュニケーションや保護者が知っておくべき知識について意見を交わしました。
[数字で見る成果]
2) 保健施設での相談窓口設置とサービス改善
● 10ヶ所の保健施設に青少年向けの相談窓口を設置し、青少年が安心して相談できる環境を整備。月経不順や避妊、性感染症などの相談が850件以上寄せられ、280人には継続的なフォローアップが行われました。
● 窓口の設置にあたっては、青少年からのヒアリングから得られた次の要望(抜粋)に配慮しました。(1)安全とプライバシーが確保されている、(2)カウンセラーは思春期の性と生殖に関する専門知識を有し、現地の文化を理解している、(3)カウンセラーが高いカウンセリング能力を持ち、青少年との信頼関係を築ける、(4)多様性を尊重し、青少年の選択する権利を尊重する。
[数字で見る成果]
• 保健施設の思春期の性と生殖に関するサービス品質基準達成率:0% → 100%
• 思春期の性と生殖に関するサービスを利用しやすいと感じる青少年の割合:23.5% → 87.5%
3) 政策への組み込みと他地域への広がり
● 事業の成果は、現地コミューン(ベトナム農村地域での最小行政単位)の保健計画に反映されました。さらにイエンバイ省が発表した保健戦略に思春期の性と生殖の健康に関する活動が盛り込まれ、事業終了後も活動が継続される基盤が整いました。
● 最終ワークショップでは他省への展開が議論され、思春期の性と生殖の健康とジェンダー平等に両輪で取り組む事業の成功モデルが広く共有されました。ベトナム国内の主要メディア12社でも事業が紹介され、社会的な認知も高まりました。
[数字で見る成果]
• 事業成果を地域計画に反映したコミューン 数:6(100%)
• 行政関係者が思春期の性と生殖の健康やジェンダー平等を、自らの担当区域で推進したいと表明した割合:96.8%
受益者の声
「以前は、恋愛や性と生殖の健康について話すことは、女性だけが心配することだと思っていました。でも生徒クラブ活動のおかげで、男性にとっても大切なことだとわかりました。女性を尊重し、正直にコミュニケーションをとることを学びました。そのおかげで、友人関係に自信が持てるようになりました。また、こういったことでストレスを感じることが少なくなったので、勉強に集中できるようになりました。」
—事業を実施した高校に通う男子生徒
「初めて保護者クラブの活動に参加した際は意見交換する内容に戸惑いましたが、村の女性組合1 の後押しにより思春期の性と生殖の健康の重要性を理解しました。この知識は私と子どもにとって有益です。」—13歳の子どもを持つ保護者(女性)
思春期の性と生殖の健康とジェンダー平等に関する知識とスキルは、子どもたちの心身の健康を守るだけでなく、彼らの教育や将来の選択肢を広げる力となり、次世代の子どもたちの健康や地域社会の発展にもつながります。今後も、現地行政主導のもとで活動が継続され、変化が広がり続けることを願っています。
(海外事業部 瀬戸口千佳)
1 女性の権利擁護・社会参加の促進を目的とし、ベトナム政府の下に組織された、中央から地方までの組織構造を持つ団体




