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アフガニスタン
(公開日:2020.11.12)

【アフガニスタン 保健・栄養支援】緊急下で必要な保健・栄養サービスが、女性に届きやすくするための取り組み

 
アフガニスタンは、約40年もの間紛争が続いています。そして、干ばつや洪水などが頻発する災害大国でもあります。今年に入ってからは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受け、人々の生活はますます苦しくなっています。


緊急保健栄養モバイルチームによる診察の様子(2020年8月19日、パンジャイ郡)

国連が取りまとめた包括的かつ戦略的な支援計画である「アフガニスタン人道危機対応計画 *1」の最新版によると、総人口3,760万人のうち人道支援を必要とする人は1,400万人で、うち22%が女性、53%が子どもです。また、命を守るための保健分野の支援を必要とする人は1,000万人を越えると報告されています

特に、COVID-19感染拡大以前から妊産婦や子どもに対する予防接種や健診をはじめとする保健・栄養サービスは圧倒的に不足していました。その理由として、紛争の激化による医療施設の相次ぐ閉鎖や保健サービスを担う人材の不足、医療施設までの距離が遠すぎるために保健・栄養サービスの利用が難しいといったことがありました。また、文化的背景による移動の制限や、看護師のうち女性が占める割合は15%、医師はわずか2%という女性医療従事者の圧倒的な不足も、女性の保健サービス利用を困難なものにしています。

これらの状況に対応するため、セーブ・ザ・チルドレンは、2020年3月末からアフガニスタン南部のカンダハル州で緊急の保健・栄養支援事業を実施しています。この事業では、女性を中心とする緊急保健・栄養モバイルチームを設置し、移動式診療所という形で、保健・栄養サービスが行き届いていない地域で診療を実施しています。

移動式診療所は、反政府勢力の攻撃を受けやすい政府の検問所近くを避けながら、その地域の人たちにとって利用しやすい場所を、地域の人たちと相談しながら決定し設営しています。


緊急保健栄養モバイルチームによる診察の様子(9月24日、パンジャイ郡にて) 

カンダハル州では、栄養価の高い食料が手に入りづらいことに加えて保健医療サービスがほとんど機能していないため子どもと母親の栄養不良が深刻な状況となっています。州の人口128万人のうち、中程度または重度の急性栄養不良の子どもたちをあわせた全急性栄養不良に陥っている子どもの割合が13%以上、重度急性栄養不良の割合が3%以上と世界保健機関(WHO)が定める危機的レベル*2を超えており、憂慮すべき状況が続いています。

栄養状態が悪いとさまざまな病気や感染症にかかりやすく、そして治りにくくなるほか、母親の栄養状態が悪いと、子どもが低体重で生まれるリスクが高まります。重度急性栄養不良の子どもは健康な子どもと比較すると11.6倍死亡する確率が高いとの研究*3もあります。

子どもと母親の栄養不良の状態を改善するため、私たちは5歳未満の子どもと妊娠・授乳中の女性の栄養状態を検査し、他機関への紹介を含めた支援を提供しています。これまで3,000人近くの子どもの栄養状態を検査し、うち280人の子ども(男女比はほぼ1:1)が重度急性栄養不良と診断されました。

移動式診療所では、子どもたちに高カロリーの栄養治療食を提供し、定期的に診察に来てもらうことで栄養状態の改善を図っています。また約1,300人の妊娠・授乳中の女性のうち、約90人が急性栄養不良と診断され、他機関が行っている栄養プログラムを紹介しました。



上腕周囲の太さを測定し、子どもの栄養状態を検査する(2020年8月23日、パンジャイ郡)

腹痛のため診療所に来た妊娠中のムスリファさんは、いとこからセーブ・ザ・チルドレンの移動式診療所のことを聞いて、やってきました。最寄りの医療施設は自宅から14キロ離れていますが、移動式診療所は歩いて15分で来れるため大変感謝していると話します。

また、移動式診療所を運営する保健栄養モバイルチームは、7人のスタッフで構成され、半数以上が女性です。患者自身が女性である場合、あるいは子どもを連れてきた養育者が女性である場合は、医師の診察以外は女性スタッフが対応します。

例えば、毎月200〜400人の女性が移動式診療所で助産師(女性)が提供する妊婦健診を受診しています。また心理社会的支援員(女性)が、診療所に来た女性たちの妊娠、出産、子どもの栄養ケア(授乳や離乳食)についての不安を聞いて助言するなど精神面でのサポートを行ったり、診察を安心して受けられるようにサポートしたりしています。

予防接種も女性スタッフが行います。モバイルチームのスタッフに女性が多いことは、地域住民からもとても好意的に受け止められており、今年3月の事業開始から9月末までに、3,000人以上の子どもたちを含む12,000人以上を診察しましたが、女性の患者は全体の65%を占めています。

この活動では常に女性患者の割合を確認し、女性の受診が妨げられていないかを注視しています。今後は、男女双方の実際に診察を受けた人を対象に、移動診療所のサービスの満足度についてインタビューを実施する予定です。

紛争や自然災害が子どもや女性の健康に及ぼす影響は甚大です。子どもや女性を含む地域住民が、移動式診療所を通して、必要な保健・栄養サービスを受けられるよう、今後もセーブ・ザ・チルドレンは活動を続けていきます。

この事業は、皆様からのご寄付およびジャパン・プラットフォームのご支援により実施しています。

(海外事業部アフガニスタン事業担当 瀬戸口千佳)


*1:OCHA, Afghanistan, Humanitarian Response Plan 2018-2021 June 2020
*2:紛争や保健サービスの不足、自然災害が頻発する状況などにおいては全急性栄養不良の割合が10%を超えると総人口への介入(支援)が必要である危機的レベルと見なす。世界保健機関WHO, Malnutrition in Humanitarian Emergencies
*3:Olofin, Ibironke, et al. 2013. “Associations of Suboptimal Growth with All-Cause and Cause-Specific Mortality in Children under Five Years: A Pooled Analysis of Ten Prospective Studies.” 


 

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