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バングラデシュ
(公開日:2026.06.12)

【バングラデシュ支援事業】児童労働をはじめとしたあらゆるリスクから子どもを守るための支援を開始しました

 
セーブ・ザ・チルドレンは、2021年からバングラデシュ南東部コックスバザール県で子どもたちを暴力や虐待、搾取などから守るため、地域に根差した子どもの保護システム強化事業を行っています。
(現在実施中の事業の活動報告ブログはこちら
在バングラデシュ特命全権大使による事業地訪問時の様子はこちら)
 


工場で働く子ども

これまでの事業で得られた経験や学びを活かし、2026年3月31日より、同国中部のダッカ管区ガジプール県にて、児童労働をはじめとした子どもの保護の課題に対応するためのシステム強化事業を開始しました。この事業では児童労働を含む子どもが直面するさまざまなリスクの予防・対応のため、地域に根差した仕組みづくりを目的としています。

事業対象地であるガジプール県は、人口約520万人を有する繊維産業の中心地であり、全国3,315の縫製工場のうち1,839(約55%)が集中しています[1]。児童労働をはじめとした子どもの保護の課題は深刻で、児童労働に従事する18歳未満の子どもの割合は国全体では6.8%である一方、ガジプール県では9.6%(18万人)に及び[2]、世界平均(7.8%)および中央・南アジア平均(3.4%)[3]を上回っています。
 



事業対象地である市内の様子

2024年7月にセーブ・ザ・チルドレンがガジプール県で実施した聞き取り調査によると[4]、繊維工場で働く子どもたち(14歳未満を含む)は最長で1日12時間におよぶ長時間労働に従事し、最低賃金[5]の半分以下の賃金で働いている実態が明らかになりました。また、同県の中小規模の工場では、労働者の半数以上を子どもが占める状況が慢性化しています。この状況の背景には社会文化的規範にも根付いた地域全体の子どもの保護の課題に関する認識、経済的困窮や安価な労働力に対する需要などいくつかの要因があります。加えて、児童労働に関する法律の整備は進んでいるものの、現場での実践や運用に課題が残されている点も指摘されています。

この事業では、児童労働をはじめとした子どもの保護の課題を持続的に予防・対応するための、地域の子どもの保護の仕組みが強化されることを目指し、以下の取り組みを行います。


1. 地域住民に対する子どもの保護と児童労働に関する啓発活動の実施

児童労働をはじめとした子どもの保護の課題を適切に予防するためには、地域住民が児童労働の弊害や子どもの保護について理解を深めることが非常に重要です。そのため、子どもの権利、子どもの保護の課題、支援が必要な子どもを特定した際の報告方法等に関する啓発セッションを地域住民に対して実施します。

また、子どもの雇用が多く報告されている中小企業の経営者や雇用主とは会合を行い、14歳未満の児童労働の禁止および14歳以上18歳未満の子どもに対する危険な業種での就労禁止や就労時間の厳守に向けて協議を重ねていきます。 



地域住民向け啓発活動の様子


2. 地域子どもグループおよび地域子どもの保護委員会の設立と能力強化

地域で子どもの保護の考え方が浸透するためには、地域住民自身が中心となって活動を行っていくことが重要です。この事業では事業対象地の各区に子どもグループを形成し、子どもたちが自ら子どもの権利や子どもの保護についての理解を深め、自分たちが中心となって啓発活動を行っていけるよう支援していきます。

また、地域の中でいち早く子どもの異変に気づき、支援につなげるためには大人によるサポートも不可欠です。そのため地域の人と多分野の行政職員からなる「地域子どもの保護委員会」を設立し、委員会のメンバーが支援を要する子どもを特定し、行政などが提供している支援サービスへつなげることができるように支援していきます。


 
地域子どもグループの会合の様子


3. 子どもの保護支援へのアクセス改善

児童労働を撤廃し、子どもの保護の課題に効果的に対処するには、関係機関間の効率的かつ包括的な連携が重要です。そのため、子どもの保護に関わる機関や支援団体の情報整理を行い、支援を必要とする子どもを適切に関係機関の間で付託[6]できるように付託経路表を作成した上で、事業対象地で子どもの保護に関する活動に携わる関係省庁・機関や現地NGOとの会合を行い、それぞれの役割や活動状況を共有し、連携を強化していきます。

 
子どもの保護関係者との会合


このような活動を通じて、地域の子どもたち・地域住民・行政と連携しながら、児童労働をはじめとした子どもの保護の課題から子どもたちを守るための、地域に根差した仕組みの基盤を段階的に構築していきます。


本事業は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」によるご支援と、個人・法人の多くの皆さまからのご寄付により実施しています。


(海外事業部 バングラデシュ事業担当)


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[1]Government of Bangladesh, Bangladesh Census of 2022.
[2]Government of Bangladesh and UNICEF, Multiple Indicator Cluster Summary 2019, May 2021
[3]UNICEF & ILO, Child Labour Global Estimates 2024, Trends and the Road Forward, June 2025 p, 22
[4]対象はガジプール県の区議会議員や区職員等の地方自治体の代表者、地域住民、児童労働に従事する子どもとその養育者、工場主。
[5]繊維工場の労働者最低賃金は1日8時間労働で月12,600バングラデシュタカと定められている。 
[6]子どもや家族が直面する課題について、現在対応している支援者の活動領域を超える、もしくはさらなる専門的な支援が必要である場合、他の支援者へ紹介する過程のこと。


 

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