モザンビーク(公開日:2026.10.17)
【貧困撲滅のための国際デーに寄せて】シリーズブログVol.2〜モザンビーク共和国北部ナンプラ州における若者の起業支援〜
毎年10月17日は、国連が制定した「貧困撲滅のための国際デー」です。貧困の撲滅が人権の保護や人間の尊厳の確保、そして、平和の実現と切り離せないものであることを確認する日です。
セーブ・ザ・チルドレンでは、「子どもの貧困」を重点分野の一つと位置付け、すべての子どもとその子どもを支える家族が、生活や成長に必要なものやサービス、機会を得ることができるように、直接支援や社会啓発、政策提言を通して、子どもの貧困問題解決に取り組んでいます。
そこで、10月17日の貧困撲滅のための国際デーに寄せて、セーブ・ザ・チルドレンが行っている3ヶ国での事例を紹介します。今回はシリーズ第二弾として、レジリエンス(回復力)強化の一環で、モザンビーク共和国北部のナンプラ州で実施している若者の起業支援の活動を紹介します。
「貧困撲滅のための国際デー」に関する第一弾のブログは、下記をご参照ください。
・【貧困撲滅のための国際デーに寄せて】シリーズブログVol.1〜タイ・バンコクにおける若者の就労支援〜
• モザンビークの子どもたちを取り巻く環境
アフリカ南東部のインド洋に面するモザンビーク共和国。1975年にポルトガルから独立し、公用語はポルトガル語ですが、多様な言語や民族文化が息づく国です。美しい海岸線と豊かな天然資源に恵まれる一方で、1975年の独立から半世紀が経った現在も、世界でも特に貧困率の高い国の一つとして多くの課題を抱えています。 2022年時点で、人口の81%が、1日3ドル以下で生活しています。さらに、2017年以降続く北部での紛争や、気候変動の影響によるサイクロンや洪水の頻発が、人々の暮らしに深刻な影響を与えています。
セーブ・ザ・チルドレンが活動するナンプラ州は、国内で最も貧しい地域の一つです。子どもの約70%が貧困の状態にあり、多くの家庭は農業や漁業など天候の影響を受けやすい仕事で生計を立てています。
こうした経済的な困難は、子どもの権利にも大きな影響を及ぼしています。生計を維持するために、子どもを学校に通わせることができず、児童労働や児童婚という手段を取らざるを得ない家庭も少なくありません。ナンプラ州では、15歳から19歳の女子の42%が妊娠を経験しており、14歳未満の子どもの58%が暴力的なしつけを受けた経験があります。
また、12年間の義務教育を終えた後も、若者たちを待っているのは厳しい現実です。全国では毎年45万人以上の若者が就労年齢に達しますが、18歳から35歳の若者の失業率は68%にのぼります。将来への希望を持てないまま、危険な労働に従事したり、早すぎる結婚を選ばざるを得ない若者もいます。
• 私たちが取り組んでいること
こうした状況を改善するため、セーブ・ザ・チルドレンはナンプラ州の3地区で、中等教育の卒業を控えた12年生を対象に起業支援を実施しています。起業支援では、気候変動の影響を受けやすい地域であることを踏まえ、環境への負荷を抑えながら収入を得られる「グリーンジョブ」に重点を置いています。また、起業支援と並行して、青少年主体の児童婚防止キャンペーンや小学生の学習継続支援も行い、子どもから若者まで切れ目のないレジリエンス(回復力)の強化を目指しています。
起業支援は次の4つのステップで進めています。
ステップ1: 気候変動や廃棄物管理、リサイクルなどを学ぶ「グリーンマインドセット研修」と、自ら人生を切り開くために必要なスキルを学ぶ「ライフスキル研修(Life Skills for Success)」を実施 ※ライフスキル研修については、本ブログシリーズ第一弾もご参照ください。
ステップ2: 事業計画の作成や経営の基礎を学ぶ起業家向け能力強化研修
ステップ3: 生徒たちが考えた事業計画について、市場調査や実現可能性の検証を行い、事業計画の改善を実施
ステップ4: 起業のためのシード資金の提供と継続的な伴走支援
これらのステップを経て、2026年10月現在で合計228人の若者が、グループに分かれて協同組合を設立し、自ら事業運営に取り組んでいます。養蜂、環境に配慮した農業資材の販売、パンや衣類の販売など、その内容は多岐にわたります。
• 女性が働くことができるとは思っていなかった
ナンプラ州アンゴシェ地区では、20人の若者が協同組合を設立し、オーガニック石鹸の製造・販売を行っています。この地域は豊かなマングローブ林に囲まれた海岸地域です。若者たちは、その地域資源を活かし、養殖した海藻の粘り気を活かしたオーガニック石鹸の開発を進めています。2026年7月から試作品づくりを重ね、販売できる品質の石鹸づくりに日々取り組んでいます。
協同組合の副代表を務めるソフィアさんは、こう語ります。
「女性が事業の立ち上げに関われるなんて思ってもいませんでした。村に帰ったら、『私にもできた』と誇りを持って伝えたいです。」
また、経理を担当するマリアさんは、
「研修で学んだ収益の計算方法や収支の管理方法を親にも教えることで、家計の管理もできるようになりました」
と笑顔で話してくれました。
• 子どもたちの無限の可能性を閉ざさないために
モザンビークの多くの若者は、自立し、自分の力で将来を切り開きたいと願っています。しかし、義務教育を終えた後の進路の選択肢は限られ、挑戦する機会そのものが不足しています。だからこそ、起業という選択肢に出会い、自ら行動を起こせる機会を得ることには大きな意味があります。若者たちは新たな知識や技術を身につけるだけでなく、自分自身への自信や将来への希望を育んでいます。その変化は家庭や友人、地域社会へと広がり、次の世代にも良い影響をもたらします。
貧困によって子どもたちの権利が損なわれ、将来の可能性が閉ざされることがあってはなりません。セーブ・ザ・チルドレンはこれからも、子どもたちや若者が未来に向かって一歩を踏み出せる環境づくりと、その挑戦に寄り添う支援を続けていきます。
次回は、第三弾として、地域の村落貯蓄組合の活動支援を通して貧困問題に取り組むマダガスカルの事例を紹介します。
本事業は、ソニーグループ株式会社が設立した「新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」からのご寄付により実施しています。
セーブ・ザ・チルドレンは毎年600以上の企業・団体の皆さまとさまざまな形で連携し、子どもたちを取り巻く課題解決に向けて活動しています。
【企業・団体の皆さまからのお問い合わせ先】
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン 法人連携担当
japan.corporatepartner@savethechildren.org
https://www.savechildren.or.jp/partnership
*プライバシー保護のため名前は変更されています。
セーブ・ザ・チルドレンでは、「子どもの貧困」を重点分野の一つと位置付け、すべての子どもとその子どもを支える家族が、生活や成長に必要なものやサービス、機会を得ることができるように、直接支援や社会啓発、政策提言を通して、子どもの貧困問題解決に取り組んでいます。
そこで、10月17日の貧困撲滅のための国際デーに寄せて、セーブ・ザ・チルドレンが行っている3ヶ国での事例を紹介します。今回はシリーズ第二弾として、レジリエンス(回復力)強化の一環で、モザンビーク共和国北部のナンプラ州で実施している若者の起業支援の活動を紹介します。
「貧困撲滅のための国際デー」に関する第一弾のブログは、下記をご参照ください。
・【貧困撲滅のための国際デーに寄せて】シリーズブログVol.1〜タイ・バンコクにおける若者の就労支援〜
• モザンビークの子どもたちを取り巻く環境
アフリカ南東部のインド洋に面するモザンビーク共和国。1975年にポルトガルから独立し、公用語はポルトガル語ですが、多様な言語や民族文化が息づく国です。美しい海岸線と豊かな天然資源に恵まれる一方で、1975年の独立から半世紀が経った現在も、世界でも特に貧困率の高い国の一つとして多くの課題を抱えています。 2022年時点で、人口の81%が、1日3ドル以下で生活しています。さらに、2017年以降続く北部での紛争や、気候変動の影響によるサイクロンや洪水の頻発が、人々の暮らしに深刻な影響を与えています。
セーブ・ザ・チルドレンが活動するナンプラ州は、国内で最も貧しい地域の一つです。子どもの約70%が貧困の状態にあり、多くの家庭は農業や漁業など天候の影響を受けやすい仕事で生計を立てています。
こうした経済的な困難は、子どもの権利にも大きな影響を及ぼしています。生計を維持するために、子どもを学校に通わせることができず、児童労働や児童婚という手段を取らざるを得ない家庭も少なくありません。ナンプラ州では、15歳から19歳の女子の42%が妊娠を経験しており、14歳未満の子どもの58%が暴力的なしつけを受けた経験があります。
また、12年間の義務教育を終えた後も、若者たちを待っているのは厳しい現実です。全国では毎年45万人以上の若者が就労年齢に達しますが、18歳から35歳の若者の失業率は68%にのぼります。将来への希望を持てないまま、危険な労働に従事したり、早すぎる結婚を選ばざるを得ない若者もいます。
• 私たちが取り組んでいること
こうした状況を改善するため、セーブ・ザ・チルドレンはナンプラ州の3地区で、中等教育の卒業を控えた12年生を対象に起業支援を実施しています。起業支援では、気候変動の影響を受けやすい地域であることを踏まえ、環境への負荷を抑えながら収入を得られる「グリーンジョブ」に重点を置いています。また、起業支援と並行して、青少年主体の児童婚防止キャンペーンや小学生の学習継続支援も行い、子どもから若者まで切れ目のないレジリエンス(回復力)の強化を目指しています。
起業支援は次の4つのステップで進めています。
ステップ1: 気候変動や廃棄物管理、リサイクルなどを学ぶ「グリーンマインドセット研修」と、自ら人生を切り開くために必要なスキルを学ぶ「ライフスキル研修(Life Skills for Success)」を実施 ※ライフスキル研修については、本ブログシリーズ第一弾もご参照ください。
ステップ2: 事業計画の作成や経営の基礎を学ぶ起業家向け能力強化研修
ステップ3: 生徒たちが考えた事業計画について、市場調査や実現可能性の検証を行い、事業計画の改善を実施
ステップ4: 起業のためのシード資金の提供と継続的な伴走支援
これらのステップを経て、2026年10月現在で合計228人の若者が、グループに分かれて協同組合を設立し、自ら事業運営に取り組んでいます。養蜂、環境に配慮した農業資材の販売、パンや衣類の販売など、その内容は多岐にわたります。
• 女性が働くことができるとは思っていなかった
ナンプラ州アンゴシェ地区では、20人の若者が協同組合を設立し、オーガニック石鹸の製造・販売を行っています。この地域は豊かなマングローブ林に囲まれた海岸地域です。若者たちは、その地域資源を活かし、養殖した海藻の粘り気を活かしたオーガニック石鹸の開発を進めています。2026年7月から試作品づくりを重ね、販売できる品質の石鹸づくりに日々取り組んでいます。
協同組合の副代表を務めるソフィアさんは、こう語ります。
「女性が事業の立ち上げに関われるなんて思ってもいませんでした。村に帰ったら、『私にもできた』と誇りを持って伝えたいです。」
また、経理を担当するマリアさんは、
「研修で学んだ収益の計算方法や収支の管理方法を親にも教えることで、家計の管理もできるようになりました」
と笑顔で話してくれました。
• 子どもたちの無限の可能性を閉ざさないために
モザンビークの多くの若者は、自立し、自分の力で将来を切り開きたいと願っています。しかし、義務教育を終えた後の進路の選択肢は限られ、挑戦する機会そのものが不足しています。だからこそ、起業という選択肢に出会い、自ら行動を起こせる機会を得ることには大きな意味があります。若者たちは新たな知識や技術を身につけるだけでなく、自分自身への自信や将来への希望を育んでいます。その変化は家庭や友人、地域社会へと広がり、次の世代にも良い影響をもたらします。
貧困によって子どもたちの権利が損なわれ、将来の可能性が閉ざされることがあってはなりません。セーブ・ザ・チルドレンはこれからも、子どもたちや若者が未来に向かって一歩を踏み出せる環境づくりと、その挑戦に寄り添う支援を続けていきます。
次回は、第三弾として、地域の村落貯蓄組合の活動支援を通して貧困問題に取り組むマダガスカルの事例を紹介します。
本事業は、ソニーグループ株式会社が設立した「新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」からのご寄付により実施しています。
セーブ・ザ・チルドレンは毎年600以上の企業・団体の皆さまとさまざまな形で連携し、子どもたちを取り巻く課題解決に向けて活動しています。
【企業・団体の皆さまからのお問い合わせ先】
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン 法人連携担当
japan.corporatepartner@savethechildren.org
https://www.savechildren.or.jp/partnership
*プライバシー保護のため名前は変更されています。




