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日本/子ども虐待の予防
(公開日:2020.04.25)

院内集会「体罰のない社会の実現を目指して―改正児童虐待防止法の施行を目前に控えて―」を開催しました

 
2019年6月に親・養育者などによる子どもへの体罰禁止を初めて盛り込んだ改正法が成立し、2020年4月1日に施行しました。「しつけ」と称した体罰や痛ましい虐待死事件をなくす社会の実現に向けた大きな前進として歓迎する声がある一方、体罰は必要という風潮も根強く残っています。

改正法施行目前の3月25日、セーブ・ザ・チルドレンは、改正法のポイントや社会の意識を変えていくために必要な今後の施策について議論する院内集会を実施しました。なお、新型コロナウイルス感染症予防のため、会場には国会議員、報道関係者および開催団体関係者のみ参加、集会を録画・アーカイブ配信いたしました。


●実施概要
日時:3月25日(水) 12:00〜13:15
主催:セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
協力:広げよう!子どもの権利条約キャンペーン
参加者:国会議員や議員秘書、報道関係者36人(アーカイブ動画視聴:約120人)

体罰禁止の意義と今後の施策について
はじめに、元厚生労働大臣で自民党『児童の養護と未来を考える議員連盟』と、超党派『児童虐待から子どもを守る議員の会』会長の塩崎恭久衆議院議員から挨拶の言葉がありました。

続いて、厚生労働省子ども家庭局の渡辺由美子局長が改正法の要旨を説明。改正法案が全会一致で可決され、児童虐待防止法14条で体罰禁止を明確にしたことは画期的であり、これは親を罰するためではなく、社会全体で子育てを支えていくことが必要であると改めて確認したものだ、と説明しました。

厚生労働省は法改正を受けて、2月に「体罰によらない子育てのためのガイドライン」を公表しました。渡辺局長は、「体罰としつけは違うということをはっきりさせたうえで、体罰等によらない子育て、しつけを広めていきたいと考えている。法改正をしたからこれで体罰禁止になるということではない。4月1日をスタート地点として、ここから体罰によらない子育てを社会的なムーブメントにしていきたい」と締めました。

専門家リレートーク
次に、専門家3人がこれからの課題についてリレートークを行いました。

●相川裕氏(弁護士・日本弁護士連合会子どもの権利委員会幹事)
相川氏は、今回の法改正を「体罰等の禁止とは、非暴力的な子育てや指導の方法を大人が学んで実践するということ」と話しました。そのうえで、法改正後の課題として、民法の懲戒権と、子どもの権利に関する子ども向けの啓発をあげました。

●高祖常子氏(認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事)
高祖氏は、「妊娠期・乳幼児期の段階で親を支援することによって、子どもたちが体罰(暴力)を学ばずに育っていく。そうすると社会の中の暴力が減っていく。」と子育て支援の重要性について訴えました。

●岩井さくら(セーブ・ザ・チルドレン国内事業部子ども虐待の予防事業)
岩井は、体罰禁止は国際的な潮流であり、アジアではモンゴル、ネパール、そして日本が体罰全面禁止国であると紹介。「日本が今後どのような施策をとって実際に体罰を減らせるか、海外から注目されている」と述べました。

他国の経験や実践の紹介
社会の中で体罰の容認度を下げて実際に体罰をなくしていくためには、法改正と同時に体罰等によらない子育てに関する社会啓発活動を徹底する必要があることが過去の研究から明らかになっています。本集会では、スウェーデン、フィンランド、モンゴルの社会啓発事例を紹介しました。

●ペールエリック・ヘーグベリ駐日スウェーデン大使(ビデオメッセージ)
動画はこちらから視聴できます。 https://youtu.be/-b_J0RqMEm8

●堀内都喜子氏(フィンランド大使館広報部プロジェクトコーディネーター)
堀内氏によると、フィンランドでも1960年代にはまだほとんどの人が体罰を容認しており、1970年代後半から報道を通しても体罰禁止の議論が盛んに行われるようになったということです。堀内氏は「1984年に法律が施行されたが、体罰の使用は一気になくなるわけではなく、子どもや大人に向けたキャンペーンは今でも続いている」と強調しました。また、ネウボラというユニークな子育て支援の仕組みと「妊娠期から赤ちゃんが1歳になるまで、母親父親そろって月1回の面談に通う光景がフィンランドでは当たり前になった」と実践の状況を伝えました。


●豊田光明(セーブ・ザ・チルドレン海外事業部副部長)
モンゴル行政官のビデオメッセージを紹介しつつ、2020年1月から2月に実施した体罰の子どもに対する悪影響と、肯定的で暴力に頼らない子ども参加型の子育て・しつけを啓発するSNSキャンペーンを紹介。「動画やアートポスターの投稿に肯定的なコメントが寄せられたほか、悩みを書いたコメントに別の人が自分の経験を書き込むといったSNSの利点も活用できた」と報告しました。

体罰禁止を超えて〜子どもの権利を守るための今後の展望〜
最後に、認定NPO法人国際子ども権利センター(C-Rights)代表理事の甲斐田万智子氏が、日本において子どもの権利を守るための今後の展望を述べました。甲斐田氏は、子どもがひとりの人格をもった人間であるという認識が広まっていないことが、子どもに対する体罰がなくならない根底にあるのではないかと指摘し、学校で子どもの権利を教えることや、親に対する講座に誰もが参加できるよう工夫して全国で展開することが必要だと強調しました。最後に、「子どもの権利が社会の隅々に浸透するような子どもの権利基本法の整備も重要である」と述べました。


セーブ・ザ・チルドレンは、これからも子どもに対するあらゆる体罰等をなくすために、社会啓発および日本政府への働きかけを続けていきます。
(報告:国内事業部 西崎萌)

 

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