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日本/地域NPO支援
(公開日:2025.03.31)

【開催報告】「学んだことは、子どもとの向き合い方」3月7日 子ども・地域おうえんファンド助成報告会 2025

 
セーブ・ザ・チルドレンは、日本国内で子ども支援活動を行う地域の非営利団体(NPO)を対象とした助成プログラム「子ども・地域おうえんファンド」(以下、おうえんファンド)を実施しています。

※おうえんファンドについて詳しくはこちら

おうえんファンドでは2022年より毎年1回の助成先公募を続けており、現在11団体が助成先となっています。
助成先団体が支援する子どもたちの状況は、経済的困難、外国につながる、障害、疾病、不登校や引きこもりなどさまざまです。どんな子どもたちも取り残されないよう、各地域・分野で専門性や経験を活かし、きめ細やかに活動するNPOを支援しています。
このたび、開始より2年を越えたおうえんファンドの実績や成果を広く知っていただく場として助成報告会を開催しました。会場・オンラインあわせて73人の参加がありました。



■おうえんファンド 概要と成果の報告

セーブ・ザ・チルドレン国内事業部長の川上園子による開会あいさつに続き、同部 地域 NPO支援事業 プログラムマネージャーの瀬角南より、ファンドの概要と成果を報告しました。「子どもを誰ひとり取り残さない」ことや「子どもの権利保障を推進する」ために、特に子ども参加子どものセーフガーディングを重視していることがおうえんファンドの特徴である点などを紹介しました。具体的な支援内容としては、最長3年間の資金助成に加え、人材獲得・資金調達といった組織や事業の継続・発展を支えるための組織基盤強化、そして子どもの権利保障のための環境づくりとしてセーフガーディング研修を行っていることを説明しました。




■助成先団体からの報告 

子どもを誰ひとり取り残さない−事業および組織基盤強化
一般社団法人 反貧困ネットワーク

反貧困ネットワークは、「仮放免高校生サポート・プロジェクト―私たちはあなたたちを見捨てない」を通じて、子どもを誰ひとり取り残さない活動に取り組んでいます。
まず大学生チューターと事務局スタッフである加藤美和氏から、仮放免の高校生の現状や、具体的な支援内容について報告がありました。仮放免者とは、難民申請を却下されたり、在留資格を更新できなかったりなどの理由で在留資格を喪失し、法務省によって強制送還の対象とされているものの、仮放免許可を得て地域社会で暮らしている外国人のことです。そのような状況下にある子どもたちは高校無償化の対象外とされているため、授業料が払えず退学するケースがあることから、奨学金の支給とともに大学生チューターが伴走するプロジェクトを開始しました。 
経済的困難に加え、心理的な不安も抱える高校生にとって、立場を理解し相談にのってくれるチューターの存在は、一人ではないという安心感につながっています。また、支援した高校生が「次は自分が誰かを支える存在になりたい」と考え、進学後にサポーターとして活動に加わっていることも紹介されました。続いて、業務執行理事の稲葉奈々子氏から組織基盤強化に関する進捗の報告がありました。必要な事務局スタッフ像の整理および雇用を行ったこと、またおうえんファンドの収支報告業務についてファンド事務局と相談を重ねたことにより、会計業務の底上げが実現し、落ち着いて事業に取り組めるようになったとのことでした。




子どもの権利保障−子ども参加、子どものセーフガーディング
一般社団法人 Kids Code Club

Kids Code Club からは、「子どもとともにつくるピアラーニング型オンラインプログラミングクラブ」の事業における、子ども参加および子どものセーフガーディングの取り組みを中心に報告がありました。
まず代表理事の石川麻衣子氏より、無料のオンラインプログラム提供を行う背景が語られました。「家にパソコンやインターネット回線がないためうまく扱えない」、「プログラミング教室に通いたくても障害を理由に断られる。金銭的な余裕がない」などの状況があり、学びたくても学べない子どもたちがいることに問題意識を持ち、この活動を始めたとのことでした。
事業や組織の運営においては、「大人の意思決定から子どもの意思決定を中心に」という思いに基づいた、事業改善のための子どもとの対話イベント開催や、自分ができることでほかの子をサポートする仕組みづくりなど、子ども参加の多様な取り組みを進めている様子も紹介されました。また、オンライン上の子どもの安心・安全を強化するため、子どものセーフガーディングの行動規範や「子どもの権利」に関する情報を子どもや保護者にも共有しているとのことです。その結果、保護者より「子どもの安心・安全が優先される場所という意識が子どもたちに浸透してきている」との声が聞かれた、という報告がありました。




■登壇団体とのディスカッションおよび質疑応答 
登壇者3人に対してセーブ・ザ・チルドレン瀬角が聞き手となり、パネルディスカッションを行いました。
ファンドの印象・特徴については「組織基盤強化を通じて事務局業務にも意義を感じ、これも大事なNPOの関わり方だと実感」、「子どもの困りごとをとことん相談できる。自分たちなりの答えを見つける道筋をサポートしてくれたことで、安心して新たな挑戦ができた」といった声が上がりました。
また「本ファンドの支援を通じて学んだことは?」という参加者からの質問に対し、「何よりも子どもとの向き合い方です」という回答があり、子どもの権利に基づく事業・組織づくりが団体の中で浸透している様子がうかがえました。一方で、「子ども主体の活動にどこまで大人が介入するか難しい」といった発言もありました。




■参加者の声
パネルディスカッションの後、会場のみで参加者同士の意見交換も行いました。会場参加者からは、「団体の悩みや課題、支援を受けたことによる変化を感じることができた」、「仮放免や、デジタルスキルを学ぶ機会が得られない子どもたちの現実をまったく知らなかった。誰ひとり取り残さないという意義を感じた」、「活動を持続可能にするために、基盤作りが重要だとわかった」などの声が寄せられました。 




おうえんファンドによる助成は、2025年以降も継続します。今後も、子どもたちが毎日の暮らしの中で権利を保障されながら成長していけるよう、助成先団体の事業および組織の継続・発展を目指した支援を続けていきます。


(国内事業部 菅野諒子)

 

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