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日本/地域NPO支援
(公開日:2026.07.30)

「子どもに何かをしてあげるのではなく、一緒に考えて悩むようになりました」 子ども・地域おうえんファンド 子ども参加実践紹介

 
セーブ・ザ・チルドレンの子ども・地域おうえんファンド(以下、おうえんファンド)は、日本国内で子ども支援活動を行う地域の非営利団体(NPO)を対象とした、最長3年間の助成プログラムです。子どもの権利保障を重視しており、特に「子ども参加」に力を入れています。

子ども参加とは、子どもに関わることを、子どもの声を聴き、その声を大切にしながら、子どもとともに進めていくプロセスのことです。

すべての子どもは、自分に関わることについて意見を表す力を持っています。しかし現実には、子どもの声が十分に聴かれなかったり、子どもが意見を言いづらかったりすることも少なくありません。例えば、子どもに関する活動や支援が、子どもの意見を十分に尊重しないまま進められることがあります。こうした状況では、子どもたちが本当に必要としている支援や環境づくりは実現できないでしょう。

子どものための活動では、子どもたちが安心・安全な環境の中で自由に意見を伝え、その声が活動に活かされる仕組みをつくることが重要です。そのためには、大人が子どもの声に耳を傾け、意見を尊重する環境を整えていく必要があります。

おうえんファンドでは、助成先団体が取り組むさまざまな子ども参加の試みをサポートしています。今回は2つの例をご紹介します。



特定非営利活動法人 Future Seeds(事業実施地域:岩手県滝沢市)
事業名:滝沢市における不登校のための居場所拡充事業



Future Seedsは、「フリースペースたきざわスポラ」というフリースクールの運営を行っています。

スポラのスタッフは先生という立場をとらず、大人からの一方的なルールも設定していません。子どもたちは、活動に参加するかどうかを自分で決めることができます。困ったことが起きたときは、子どもと大人が互いの意見を大切にしながら話し合います。

また子どもが安心して意見を伝えられるよう、さまざまな工夫もしています。まず子どもたちの特性や状況を適切に把握するため、保護者や学校などとの対話を重ねています。保護者、学校、医療機関、団体の四者でケース会議をした例もありました。そして一人ひとりの声を適切に聴けるよう、それぞれの子どものタイミングを尊重し、配慮が必要な子どもには個別対応も取っています。例えば人前で話しにくい子どものために、電子機器による文字での意思表示などを取り入れました。はじめは自分の意見を伝えられなかった子どもたちも、「次は〇〇をやりたい!」と次第に意欲的な声を上げるようになっています。

スポラのスタッフは、研修などを通じて子どもの権利を学び、積極的に意見交換をしています。開所日ごとの打ち合わせや週次スタッフミーティングでは、活動の目的や実施方法、役割分担などを事前に確認しています。また活動後には、子どもや保護者の様子・声、アンケート結果などを確認することで子ども参加の取り組みを振り返り、日々改善を重ねています。

これらの取り組みの結果、子どもたちは意見が尊重される経験を経て、ありのままの自分に自信を持つようになってきました。保護者からも、「自分の気持ちを言葉にして人に伝えられるようになり、コミュニケーションの幅が広がっている」という声が届いています。


NPO法人 わかもののまち(事業実施地域:静岡県焼津市)
事業名:こどもに優しい商店街モデル構築事業



わかもののまちは、子どもの意見を聴く文化が地域に定着することを目指し、子どもを中心とした商店街づくりに取り組んでいます。例えば、焼津市の駅前通り商店街に「こども部」を設立し、参加する子どもたちが商店街イベントの提案などを行っています。

焼津市は、駅前通りを魅力あふれる通りとしていくために、「焼津駅前通りデザインガイドライン」を策定しました。この策定過程において、わかもののまちは地域の子どもたちの幅広い意見を届けるために活動しました。ヒアリングやワークショップ、オンラインプラットフォームを通じて約40人の子どもたちの意見を取りまとめ、市に提言しました。

完成したガイドラインには「若者を含めた多世代が楽しめる場所になってほしい」という子どもたちの声が反映され、「誰でも思い思いに過ごし多様な交流が生まれる」、「こどもが安心して楽しく過ごせる」という方針が定められました。また「商店街の活性化に関わりたい」という声は、「イベント運営やボランティア活動のポイント付与制度」などの「具体的な取組アイデア」として記載されました。

焼津市によるガイドライン策定の過程において、わかもののまちは子どもたちの声を聴くだけでなく、子どもたちへのフィードバックも行いました。どの意見が採用・不採用だったか、またその理由を子どもたちに報告したのです。子どもたちが自分の意見がどのように検討されたのか、経過や結果を知らされることも、子ども参加の大切な部分です。

このガイドライン策定過程における取り組みは、団体が子どもと地域のつなぎ役を務めることにより、子どもたちの声が地域に届き、実際に活用された例と言えます。

活動に参加するある子どもは「中学生になってもこの場所で地域を盛り上げたい」と話しています。また地域住民からは「もっと若い人の意見を聴いてまちづくりをしないといけない」との声が上がるようになりました。子どもと大人の双方が、ともに地域を良くしていく一員として認め合っている様子が伝わってきます。


セーブ・ザ・チルドレンは子ども参加に関する資料も発行していますので、是非ご活用ください。

Save the Children(日本語訳 公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン)『子ども参加のための9つの基本的要件』 https://www.savechildren.or.jp/news/publications/download/nine-basic-requirements-Japanese.pdf

公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン『安心安全な子ども参加のための実践事例集〜特に自治体において子ども参加を進めるために〜』 https://www.savechildren.or.jp/news/publications/download/jireishu.pdf

(国内事業部 地域NPO支援事業担当)

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