日本/国内災害(公開日:2025.10.10)
子ども向け防災ワークショップをコンビニエンスストアと連携して開催
セーブ・ザ・チルドレンとファミリーマートは、今年も9月の防災月間に合わせ、子ども向け防災ワークショップを取り入れた「ファミマこども食堂+セーブ・ザ・チルドレン」を2025年9月26日(金)にファミリーマート本木東町店(東京都足立区)にて協働で開催しました。
セーブ・ザ・チルドレンは、国内外で自然災害が発生した際、いち早く支援を行い、子どもたちの日常性の回復をサポートする緊急・復興支援を展開しており、防災にも力を入れています。ファミリーマートは、店頭募金「夢の掛け橋募金」を通じてセーブ・ザ・チルドレンの活動を30年以上にわたり支援しています。
多発する自然災害への備えが急務となる一方、家庭や学校だけでは防災教育が十分に行き届いていないのが現状です。2024年能登半島地震を経験した子どもたちからも、「もっと備える必要があると思った」という切実な声も届いています(セーブ・ザ・チルドレン「2024年能登半島地震子どもアンケート〜震災から半年いま伝えたい子どもたちの声〜」より)。
災害時、子どもは心身ともに特有の困難に直面するため、知識の詰め込みではない、自ら考え行動する「生きる力」を育む実践的な教育が不可欠です。こうした背景から、子どもたちとそのご家族に、楽しく防災について学び、防災意識を高めていただくことを目的に、企業とNGOそれぞれの強みを活かし、「ファミマこども食堂」と連携した防災ワークショップを企画しました。
防災についてわかりやすく、子どもの視点を取り入れたワークショップ
ワークショップでは、まずセーブ・ザ・チルドレンのスタッフと一緒に、大きな非常用持ち出し袋の中身を確認しました。「これは何に使うんだろう?」と一つひとつ手に取りながら、災害時に自分や家族の身を守るための道具について学びました。
続いて、ファミリーマートの売り場に移動し、持ち出し袋の中に「入っていたら良いと思うもの」を子どもたち一人ひとりが選ぶワークを行いました。「これもあると嬉しいかも!」と、一生懸命考えてくれた子どもたち。

その後なぜそれを選んだのか、一人ずつ発表する時間を設けました。子どもたちが選んだものは・・・割りばし、紙コップ、お菓子、ウェットティッシュ、水、絆創膏、Tシャツ、レインコートなど。必要だと思った理由を尋ねると、「ごはんを食べるときにお箸が無いと困るから」「雨が降ってきた時に傘をさしていると手が使えなくなるためレインコートがよいと思った」などの声があがり、子どもたち自身が真剣に考えてくれたことがよく分かりました。
新聞紙がお椀に変身!「工夫する力」を身に付ける
続いて、身近なもので工夫する体験として、昨年好評だった新聞紙のコップ作りを発展させ、今年は新聞紙で「お椀」作りに挑戦しました。完成したお椀にラップを敷いて盛り付けたのは「ファミチキ」です。災害時でも、工夫次第で温かく美味しい食事ができることを、楽しみながら体験することができました。

新聞紙でのお椀づくり ラップを敷き、試食
レジ打ちや飲料補充などの仕事も体験!
防災ワークショップの後は、ファミリーマートの仕事を体験できる時間が設けられ、子どもたちが店内で、レジ打ちや商品の補充などを行いました。子どもたちは少し緊張した面持ちでレジの前に立ち、「ピッ!」とバーコードを読み取る音に歓声をあげました。普段は見られない店舗の裏側を探検したり、商品を一生懸命に補充したり、一つひとつの体験が、子どもたちにとって新鮮な発見に満ちた時間となりました。最後は、店舗のイートインスペースでテーブルを囲み、今日の体験を語り合いながら、和やかな時間を過ごしました。

レジ打ち体験
みんなでいただきます
楽しい体験として印象に残る防災ワークショップに
セーブ・ザ・チルドレンは、子どもたちの声を聴き、子どもたち自身が考え、課題解決に主体的にかかわるアプローチを大切にしています。今回の防災ワークショップは、ファミリーマートの店舗という実際の売り場で、子どもたちが自ら足りないもの・必要なものを考え、選び、それを選んだ理由を発表するという一連のアクションを通じて、机上ではなく実地の訓練になり、防災を「自分ゴト」として捉えるきっかけになったのではないかと思います。
子どもたたちからの自由でユニークな発想は、周囲の大人にとっても、子どもの声に耳を傾け、子どもに参加してもらうことの大切さの気づきにもなりました。
保護者の方からも、以下のような感想が寄せられました。
「防災ワークショップで何を非常用持ち出し袋に入れたらよいか、自分なりに一所懸命考えていたようでした。また機会があれば是非参加したいです。親子ともに大満足でした。」
「数々のこども食堂に参加していますが、美味しい、体験できる、勉強になる、3拍子が揃う素晴らしいこども食堂は初めてでした。」
「小学校で防災訓練をしたことがありますが、非常用持ち出し袋の中身を確認することは初めてで勉強になりました。」
ファミリーマートからは、「セーブ・ザ・チルドレンが持つこどもの支援に関する専門的な知見をお借りすることで、『ファミマこども食堂』が提供する価値をさらに高めることができました。日常的な居場所に加え、専門性の高い防災ワークショップの体験が付加されたことは、参加された皆さまにとって有意義な時間になったと考えています。」との声がありました。
今回も、防災ワークショップとファミリーマートのお仕事体験・こども食堂を組み合わせたことで、防災知識を「楽しい体験」として子どもたちにも捉えてもらえるワークショップとなりました。
セーブ・ザ・チルドレンは、これからも店頭募金を通じた子どもたちの支援をファミリーマートとの連携で進めると同時に、子どもたちへの「体験の機会の提供」も、共同で企画していきたいと考えています。



