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GPE幹部がセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンを訪問 ― 国際教育協力の在り方について議論

アドボカシー
(公開日:2026.08.04)

【報告】日本の「教育の力」を世界の子どもたちへ
GPE幹部がセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンを訪問 ― 国際教育協力の在り方について議論

 
2026年7月15日、Global Partnership for Education(GPE:教育のためのグローバル・パートナーシップ)事務局のPadraig Power最高財務責任者(CFO)と、アジア地域対外関係担当の松吉由希子氏が、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(以下SCJ)東京事務所を訪問しました。

GPEは、開発途上国政府を中心に、ドナー国、国際機関、市民社会、民間セクターなど多様な主体を結び付け、各国が進める教育改革や教育システム強化を資金面とパートナーシップの両面から支援する国際協力組織です。

今回の訪問は、前日に参議院議員会館で開催された「GPE 持続可能な教育財政―駐日大使ラウンドテーブル」に続く、一連の対話の一環として実現したものです。



二日間の議論では、世界の教育課題の解決には政府や国際機関だけでなく、多様な主体の連携が重要であるという認識が共有されました。

「教育」は、学校や教室だけではない
「教育」と聞くと、多くの人は学校や教室での学びを思い浮かべるかもしれません。しかし、GPEやセーブ・ザ・チルドレンをはじめ、開発途上国の教育課題に取り組む多くの国際機関や国際組織が目指す教育は、学校教育だけを意味するものではありません。

多くの国際機関や国際組織では、子ども一人ひとりが心身ともに健やかに成長し、自らの可能性を発揮できるよう支える、ホリスティック(全人的)な教育が重視されつつあります。これは、日本でも大切にされてきた「知・徳・体」に、学校給食や食育などの「食」を加えた、「知・徳・体・食」をバランスよく育む教育にも通じる考え方です。

そこには、質の高い学び、情操教育や社会情動的学習を通じた豊かな人間性の育成、学校給食を含む健康・栄養の充実、体罰やいじめ、暴力のない安全な学習環境づくり、誰も取り残さない多様で柔軟な学習機会、職業教育・能力開発などが含まれます。さらに、教員養成やカリキュラム開発、教育行政や地域社会の能力強化を通じて、持続可能な教育システムを構築することも重要です。

その根底にあるのは、すべての子どもが権利の主体として尊重され、一人ひとりの個性、能力、多様な背景に応じて、自らの可能性を伸ばせる教育を実現することです。

こうした教育を世界の子どもたちへ届けるためには、一つの組織だけでは十分ではありません。政府、国際機関、企業、大学・研究機関、NGOなどが、それぞれの強みを生かしながら連携することが不可欠です。

今回、GPEが日本で繰り返し発信したのも、「それぞれの強みを結び付け、パートナーシップを通じて教育システム全体を支えていく」というメッセージでした。

教育への投資は、未来への投資
二日間の議論を通じて改めて共有されたのは、世界では今なお、多くの子どもたちが質の高い教育を十分に受けられていないという現実でした。 一方、多くの開発途上国では財政制約が深刻化し、教育に必要な投資を国内予算だけで賄うことが難しくなっています。

さらに近年は、ドナー国の財政事情や国際情勢の変化を背景に、ODA(政府開発援助)を取り巻く環境も厳しさを増しています。

こうした状況の中、GPEが今回日本で繰り返し発信したのは、「ODAは今後も国際教育協力の重要な柱である一方、それだけでは世界の教育課題に対応することは難しい」というメッセージでした。

各国政府による教育財政を基盤としながら、日本をはじめとするドナー国のODAを触媒として活用し、民間資金、インパクト投資、技術協力など、多様な資源を組み合わせる「持続可能な教育財政(Sustainable Financing for Education)」が必要とされています。

教育への投資とは、学校を建設することだけではありません。子どもの権利が尊重され、一人ひとりが質の高い学びを得て、自立した人生を歩める社会を築くための投資です。それは同時に、将来の経済成長、社会の安定、平和の実現につながる「未来への投資」でもあります。

日本だからこそ貢献できること
2026年7月14日、参議院議員会館でGPEが主催した「持続可能な教育財政」をテーマとする駐日大使ラウンドテーブル(円卓会議)には、アフリカ諸国を中心とする各国の駐日大使をはじめ、国会議員、日本政府、JICA、民間企業、NGOなどから約50〜60人が参加しました。

会議では、日本の多様なステークホルダーによる官民連携プラットフォームであるJAHE(Japan Alliance for Holistic Education)の活動も紹介されました。教材開発、教育ICT、学校給食、教員育成、理数教育、社会性と情動の学習(SEL)など、日本の企業や団体が培ってきた技術やノウハウを、開発途上国の教育課題の解決に生かすことへの期待が示されました。

日本には、教育、防災、保健医療、デジタル技術、AI、気候変動、地域づくりなど、幅広い分野で専門性を持つ大学や研究機関があります。また、NGOは長年にわたり、世界各地、特に途上国における子どもたちや地域社会とともに活動し、現場で培った知見を政策や制度づくりへとつないできました。

こうした企業の技術力や資金力、大学・研究機関の知見、NGOの現場力、政府・国際機関の政策や資金を結び付けることで、日本ならではの強みを生かした国際教育協力を推進し、各国の教育改革と、子どもや若者の学び・成長を支えることへの期待が、今回の円卓会議では共有されました。

SCJが担う「つなぐ力」
今回のGPE事務局によるSCJ事務所訪問では、日本の多様な知見や資源を、世界の教育課題の解決にどうつなげていくかについて意見交換を行いました。

特に、日本企業の強みと現地の教育ニーズを結び付け、ODAや民間資金などを呼び水としてGPEの追加資金を動員するGPE Multiplier(マルチプライヤー)を活用し、新たな官・民・学・NGO連携モデルを構築する可能性について意見を交わしました。その実現に向け、日本の多様な関係者とGPE、各国の教育ニーズをつなぐ橋渡し役として、SCJが果たし得る役割についても意見交換を行いました。

共創による、新しい国際教育協力へ
今回のGPE訪日とSCJとの意見交換を通じて、日本政府、JICA、民間企業、大学・研究機関、NGOなどが持つ強みを、GPEが支援する各国の教育改革や教育システム強化へ結び付ける、新たな可能性が共有されました。

その実現には、多様な主体がそれぞれの強みを持ち寄り、連携することが不可欠です。

SCJは今後も、GPEをはじめとする国内外のパートナーとの対話と連携を深め、日本の多様な主体と各国の教育ニーズをつなぐ橋渡し役として、子どもたちの学びを支える持続可能な教育システムづくりに貢献してまいります。

 



報告:海外事業部 新規事業開拓・パートナーシップ担当 豊田光明

 

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